〈韓国原書〉ピーナッツ日記を読みました

イラストレーターのチョンチさんが2019年からインスタグラムに掲載した絵日記から抜粋して作られた本です。今年の2月に8刷されており、人気の高さが伺えますね。現在はシリーズ本が3冊目まで発行されているので、すでに続きをネット書店のカートに待機させているところです(笑)。

「日常のなかでふいに訪れる寂しさや小さな喜びの瞬間を、きめ細かく言葉で表した本」

背表紙に書かれているこの文が、本の特徴そのままです(笑)。なにかの拍子にふと、ある考えが頭をよぎる時っておそらく、なにがしかの感情が動いているんだろうけれど、そういうことはたいてい言葉にするのが難しい(もしくは不可能)ことが多いように思います。そのようなことが言葉で書かれているので「分かる~」「あ!あの時思ったのはこれに近いかも」など、共感できる話が多い内容でした。


題 名 땅콩일기(2021年12月発行)
著 者 쩡찌(チョンチ)
出版社 아침달

印象深かった内容を、いくつかご紹介します。

それでも、ピアノの椅子は必要。

筆者が子供のころ、両親がけんかしている時や、死が漠然と怖く感じた時などにピアノの椅子の下で泣いたり、夢で宇宙人が家の中に入ってこないように、ピアノの椅子で玄関を塞いだりしていた、というエピソードが載っていました。

いまは大人になって、泣いたり怖がったり悪夢を見ることもそうそうないけれど、それでも、ピアノの椅子は今も必要だと思う時がある、と。

ほんの一時でも、自分を落ち着かせてくれる安全な場所。もう、ピアノの椅子の下に入れるサイズではないけれど(笑)、そういう場所があったら心強いだろうなと思いました。現在、家の中は平和そのものなので問題ないですが、仕事中は・・・・・・車の中かな・・・・・・。

「好きだという言葉を三回も言った」

職場で筆者の同僚が「これ、すごく好きなんですけど」と言って机の上にある本を置き、さらに「短編集で、本当に好きなんだけど、これ、ほかの人とも読んだことがあってね・・・・・・本当に好きなの」と、話したそうです。

そして、「三回も好きだと言った」とすごく冷静な(笑)コメントが。

自分が無の状態(冷静な状態)だと、相手のそういうワード数を無意識レベルで数えることが時々あって、深く共感してしまいました。逆に、自分が興奮していたら、同じワードを連発しているかもしれませんが(笑)。

不安がおかしくさせるのか、おかしくなると不安になるのか

禅問答のような話ですが、不安にとことんさいなまれてほんの少し気持ちが浮上したあたりで、このようなことを思い浮かべた覚えが、私もあります。毎日なんの問題もなく楽しく過ごしていても、ちょっとしたシチュエーションで不安を感じること、ないですか?

・バスに乗って、席の真下のエンジンが爆発するんじゃないか
・寝ている時、親が死んでしまったんじゃないか。「愛してる」と言ってい
 たあの言葉は遺言だったんじゃ・・・・・・
・天井や壁の小さな音は、家が崩れる前触れじゃないか、などなど・・・・・・

このような不安に襲われて気がおかしくなりそうだ、というエピソードが綴られています。小さな不安が積み重なっても、夜は眠れて朝起きた時にほぼ忘れていれば大丈夫。でも眠れない時は、心に絆創膏を貼った方がいいですね(実際、筆者はこの時、心療内科を受診しているようです)。


どんよりした心の中の話が多いですが、ピーナッツ(筆者自身)をはじめ可愛いキャラクターとイラストで、ぷっと笑ってしまうような表現で書かれているので、暗さを感じない本でした。誰にも共有できず(する気もなく)一人で悶々と思っていた自分ワールドを、思いがけず共有してもらえた気分になりました(笑)。


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