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こんな北朝鮮に注目! 原油採掘の噂

北朝鮮が自国内で石油を生産しているという話が以前からあるが、それは事実なのか。複数の専門家が北朝鮮の石油の輸入と輸出データを基づいて分析しているが、2013年以降、中国と北朝鮮の間で行っている原油の貿易量は外部に公表されておらず、実態は把握できていない。また、北朝鮮経済や中国と北朝鮮の間における貿易に関しては、正確なデータがないため様々な推測が飛び交っている。

 2012年に韓国のKBSは、北朝鮮の北東部にある羅津(ラジン)港から4〜5キロメートル離れた内陸地点で石油が発見されたと報じた。油田の規模や埋蔵量などは公表されなかったという。当時、コトラは、北朝鮮が北東部の羅津(ラジン)・先鋒(ソンボン)で石油を開発しているとみていた。年間100万トン程度の採掘という見立て。KBSによると、予想生産量が100万トンだったら、原油で換算した北朝鮮の年間のエネルギー需要量(2012年現在)500万トンの5分の1程度の量という。

アメリカの北朝鮮専門のインターネットメディアであるNKニュースは、CNPC中国石油天然気集団の掘削船である中油海17号が2016年5月、北朝鮮のEEZ内で停まっているように見えると伝えている。その船舶の位置が、1980~1990年代に発見された、油層を探すための試掘井の位置と非常に近いとし、中国が北朝鮮の原油に関して、関心があるとの分析だ。北朝鮮と中国は、2005年12月に「海上での原油の共同開発に関する協定」を締結している。

現代グループの故・鄭周永(チョン・ジュヨン)名誉会長は1998年6月に牛1001頭を連れて訪朝してきた際、平壌で石油が出るという話を韓国に伝えた。鄭名誉会長は「平壌は石油の上にある」と当時語った。それゆえKBSは、西朝鮮湾地域に石油が埋蔵されている可能性が高く、探査が行われてきたとしている。

ただ、北朝鮮の石油開発会社は小規模なところが多く、長期間にわたって探査し続けるのは困難なため、途中で中断するケースが多いとされる。

羅津・先鋒がある会寧地域では、2001年にシンガポール企業が探査。石油埋蔵の可能性が高かった西朝鮮湾地域より先に、その羅津地域で石油が発見されたことが、ニュースで取り上げられたのだ。さらに、中国のシノペックなど国際的な企業が北朝鮮の油田開発に興味を示しているという。こうした動きは、北朝鮮で石油が生産される可能性が高いからではないか。

中国は、この地域の油田開発投資を拡大する計画があると明らかにしている。油田開発技術はもちろん資金が不足している北朝鮮は、中国の助けを借りている。中国も地理的に近い北朝鮮の石油資源を囲い込もうとする動きがあるとされる。

2015年9月、イギリスの地質学者マイク・レゴ氏は、石油分野の地球科学専門誌で「北朝鮮の石油探査と潜在力」というリポートを発表した。石油探査に関した北朝鮮の資料が、外部に公開されたのはこの時が初めてだ。北朝鮮は国家機密という理由で投資家にさえ探査資料を公開していなかった。レゴ氏は「北朝鮮の陸地と海に原油と天然ガスが存在するという多くの証拠がある」とし、「北朝鮮で原油とガスの商業生産ができていないのは驚くべきこと」と書いた。レゴ氏はイギリスの石油会社BP(British Petroleum)に数年間勤務し、イギリスの石油開発会社であるアミネックス(Aminex)で探査分野の最高責任者として働いた。アミネックスは2004年、北朝鮮の朝鮮原油開発総会社と、原油を探査した会社だ。レゴ氏は、北朝鮮での探査作業を陣頭指揮したという。

北朝鮮全域の探査権を与えられたレゴ氏は、北朝鮮内の石油・天然ガス埋蔵の可能性が高い地域として、計7ヵ所を指定した。内陸は平壌、載寧(ゼリョン)、安州(アンジュ)~温泉(オンチョン)、吉州(キルジュ)~明川( ミョンチョン)、新義州(シニジュ)の鴨緑江流域の5ヵ所、海は西朝鮮湾と日本海域の2ヵ所だ。レゴ氏は、2004〜2005年大同江(テドンガン)付近で地表に原油とガスが流出する現象を撮影した。また、黄海南道載寧(チェリョン)付近にある、調査用の試錐孔から直接抽出した原油を確認。咸鏡北道の吉州(キルジュ)〜明川(ミョンチョン)でガスの可能性を確認した。

 

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