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妊娠には制限が多いのか③

あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

能登半島地震で被災された皆様におかれましては、心よりお見舞い申し上げます。
東日本大震災で自身が被災し、被災地の産科医療などの実際を知っている身としてはいても立ってもいられないニュースではございましたが
現状、自分自身が力になれることが少なくもどかしい思いでおりました。

しかしながら、皆が自粛し、皆が暗くなる必要はなく
動ける人が動く、働けるひとが働く
どんな状況でも、自分にできることを淡々と貫くこと
それこそが、間接的にではあるけれど何かの力になると信じて
自分の目の前のことに一生懸命でいようと思います。

さて本日は妊娠と制限について
食事と飲酒について述べさせていただきます。


妊娠と食事

妊娠と食事についてですが、本日は食べ物の種類についてのお話です。
食べる量だとかカロリー計算ではありません。
それについてはいずれ別記事で述べようと思います

妊娠中食べてはいけないもの

一切たべてはいけません!!!というものはないのですが、リスクのある食べ物というのはいくつかあります。

というのも妊娠中は非妊娠時とは体が別物です。
普段はリステリアなんてかからない食中毒だけど、妊娠中はかかりやすいなど。

リステリアに関しては流産・早産・死産にかかわるので注意が必要です。
生ハムやナチュラルチーズは感染のリスクがあります。

それから、よく生肉はトキソプラズマに注意とあります。
先天性トキソプラズマ症という病気があり、妊娠中に胎児へトキソプラズマに感染するとは発症する場合があります。
妊娠初期は胎児への感染リスクは低いものの、感染した場合は重症で
妊娠後期では胎児感染率は高いけれど、発症しない場合が多くなります。
妊婦の初感染であっても7割は胎児へ感染しないといわれています。

なのでこの辺りは妊娠したら控えていただいた方がいいと思います。

妊娠中摂取しすぎには注意してほしい食べ物

摂取しすぎには注意してねという食べ物もいくつかあります。
妊娠初期にビタミンAを多く含む食べ物は胎児の形態異常を起こすことがあるので注意が必要です。

ヨウ素も取りすぎることで赤ちゃんの甲状腺機能の低下をきたすことが知られています。

水銀は食物連鎖によって自然界に魚に取り込まれています。
大きな魚を食べすぎは水銀の過剰摂取となる可能性があります。

カフェインも取りすぎには注意しましょう。

と多くの本などにも書いてありますが、バランスよく食べることが大事です。またつわりなどで偏った食べ物しか食べられない…ということもあるかもしれません。なので、あまり気負う必要はないですよとお話しすることが多いです。
なにごとも「〇〇しすぎ」にならなければ大丈夫。


妊娠と飲酒

妊娠と飲酒について、知らない人はもういないのではないかと思うのですが
基本的には飲酒はNGです。

飲酒による妊娠への影響

健康日本21(第二次)に、妊娠中の飲酒は胎児性アルコール・スペクトラム障害や発育障害を引き起こすため、妊娠中あるいは妊娠を望む女性はアルコールを断つことが求めらると記載されております。
授乳中も同様に血中のアルコールが母乳にも移行するため飲酒を控えるべきと記載されております。

さて、胎児性アルコール・スペクトラムとは一体なんでしょうか?
妊娠中の飲酒による、胎児・乳児に対し、低体重や顔面を中心とする形態異常、脳障害のことを指します。

妊娠中は全期間を通して影響があると考えてほしいと思います。

飲酒してしまった場合の対処

妊娠に気づかずに飲酒してしまった、アルコールが含まれてるなんて、知らないで口にしてしまった。
というような相談を受けることも多いです。

実際に、どの程度の飲酒でなんの影響がでるか、というのはわかりません。1日アルコール量として15ml以下(ビール350ml程度)では胎児に影響がなかったとの報告もあり、例えば「時々多量に飲んでいた」でも影響するようです。アルコールの安全な量というのは確立されていないのが現状です。しかしながら気づかず少量のんでしまった!!などは問題になることはほとんどありません。

口にしちゃったものを無かったことにすることはできませんし、そのあたりは気にしすぎることなく気持ちを切り替えて、今後気をつける、程度で問題ないです。

でも、そこの気持ちの切り替え、なぜかお腹に子供がいるとなると、難しいんですよね。私もつい飲み会で、少しだけなら…と口にしてしまったこともある身です…やっぱりその後少しだけ自己嫌悪になりました。

いつまでも自分を責めてしまうこともあるかもしれない。

あるいは、やめたいのにお酒をやめられない方もいるかもしれません。そのため自分で自分に母親失格と烙印を押してしまったり。

もしお酒をやめられなくて1人で悩んでいたならば
迷わず相談してください。
ジャッジはしません。

本日は妊娠と食事、アルコールについてのお話でした。
妊娠するとついついいろいろ検索しちゃって調べていくうちに不安になりすぎることもあるかもしれません。
妊娠する前から知っていたら、え!知らずに食べてた!と後から不安になることも減らせるかもしれません。
よかったら参考にしてみてください!!

お読みいただきありがとうございました。

困ったら相談したくなる産婦人科医を目指しています。そしてこれからも、ポジティブに妊娠出産育児期を過ごすための情報をお届けしていきたいです!

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