メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種 4-4「長時間労働の防止」


 長時間労働になれば、帰宅も遅くなります。睡眠時間も少なくなってしまいますので、疲労も取れません。ストレスへの耐性も弱くなってしまいます。

 過重労働は月45時間を超える時間外労働によって発症リスクが高まります。交感神経が活性化されて、アドレナリンやノルアドレナリンが分泌されます。結果、高血圧症・脂質異常症・糖尿病・心筋梗塞・脳梗塞などを発症します。
 自律神経系が乱れると自律神経失調状態となり、微熱・肩こり・頭痛・生理不順・動悸や検査をしてみ病気の見つからない不定愁訴の不調が見られるようになります。メタボリックやメンタルヘルス不調も起こります。
 
メタボリックシンドロームの診断基準
腹部肥満ウエストサイズ 男性85cm以上 女性90cm以上2. 中性脂肪値・HDLコレステロール値中性脂肪値 150mg ⁄ dl以上
HDLコレステロール値 40mg ⁄ dl未満
(いずれか、または両方)3. 血圧収縮期血圧(最高血圧) 130mmHg以上
拡張期血圧(最低血圧)  85mmHg以上
(いずれか、または両方)4. 血糖値空腹時血糖値 110mg ⁄ dl以上
とされています。
この結果と合わせて、血圧・体重・血糖・脂質異常・心電図・喫煙習慣を持っている場合は注意が必要です。
 また、メタボリックは内臓脂肪の蓄積が原因ですので、保健指導が有効です。
 メタボリックの予防
①定期健康診断 毎回受診して、ウェスト、血圧、血中脂質、血糖値のチェック
②食事 規則正しく腹八分目。よく噛む。睡眠前の食事をしない。夜食は消化の良い物。日本的な食生活。低脂肪・高食物繊維・低カロリーを心がける。
③運動 定期的に軽い有酸素運動を行う。
④禁煙 減らすのではなく、禁煙

 高血圧の予防
①減塩 食塩は一日に6グラム未満
②肥満の予防や改善 BMI25未満を目標
③酒 男性で20~30ml以下、女性で10~20のアルコール分
④運動 1日30分もしくは週に180分の運動
⑤食事 野菜果物青魚などを積極的に、飽和脂肪酸バター・ラード)やコレステロール(牛乳・バター・卵)をさける
⑥禁煙 受動喫煙も避ける
⑦その他 防寒や精神ストレスのコントロール




 心身の極度の疲弊を伴ってうつ病の原因になるものとして下記の条件があります。
Ⅰ発症直前の一ケ月に160時間を越える時間外労働
Ⅱ発症直前の3週間に120時間以上の時間外労働

 精神障害の労災件数は年々増えています。年間の労災請求が2009年には1,000件を越えました。また、自殺の労災認定が50件を超えたのは2006年です。過重労働が原因と思われる自殺に関しては労災として認定されます。

 長時間労働に伴う精神障害のチェックには下記の条件があります。
Ⅰ評価期間は発症前の半年間
Ⅱ心理的負荷が中程度の出来事の後に恒常的な長時間労働があれば「強」の評価に変わる

 メンタルヘルスが崩れると生活習慣が乱れます。飲酒や喫煙が増え、食生活の変化、運動不足にもなります。


 特定検診特定保健指導というものもあり、活用できます。
大正は40歳から74歳の医療保険加入者で、メタボリックシンドローム該当者や予備軍です。生活習慣を改善して生活習慣病の罹患を防ぎます。

 メタボリックや精神障害に関する対策や相談の窓口としては、衛生委員会や地域産業保健センターがあります。
 衛生委員会は常時50人以上の労働者を雇用している事業場に設置義務があります。過重労働やメンタルヘルス対策を現実的に計画的に行う組織です。社内組織のため状況の把握もしやすいのが特徴です。
 地域産業保健センターは産業保健センターの地域窓口で、50人以下の雇用の事業場が活用しています。労働基準監督署単位で設置されています。医師による面接指導を行えます。


 最後までお読みいただき、ありがとうございます。健康を崩さないことは事業所の努力も必要ですが、私たち労働者も必要です。日々の節制はやらなけてはいけません。

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