レインボーな彼女~第二章~

画像1 わたしには、秘密がある。誰にも誰にも内緒なんだけど、きっと話したって誰も信じてはくれないだろう。そして証明してみなさいよとか詰め寄られたら、とてもわたしは困る。だって、見せなければいけないから。
画像2 「変わってるね」という言葉をずいぶんとまわりの人から投げかけられてきた。その度に自分はわたしっておかしいのかな、変なのかなって気持ちはロンリーだった。トモダチがいないわけじゃないし、わりと誰とでもうまくやれてるつもりでいたのに、そう思っていたのはわたしだけだったのかな。
画像3 「なんかドツボなんですけど。」ポケットの中の彼に向かって囁いてみる。彼はまどろみながら聞いてるのか聞いてないのかわからない。マイペース。彼は常に自分の好きなように生きている。時々うらやましくなる。
画像4 「ねぇ、」わたしは呆れ気味にこう言った。「今度、わたしが翔君のポケットに入ろうかな?」
画像5 あ、起きた。わたしは思わずクスクス笑う。「えええ?」大きな目をさらに大きくして彼はポケットの中から顔だけ出して「ちょちょちょちょっと待ってよ、えーと、なんだっけ?」クスクス「冗談よ。」わたしは笑う。あなたはわたしといつもいっしょにいてくれて、そうやって笑わせてくれていたらそれでいい。それだけでいい。彼の存在はそれほどまでにわたしの生きる力の糧となっている。そして彼もわたしといられてご満悦なのは十分感じている。「あのさ、体温って大切だよね。」ポケットの中から彼が小さく言ったのが聞こえた。
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