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ゴールデンな物語~ラスト~

オレは、今、風呂だ。
夜中の1時半。
雨音が窓越しにつたってくる。
オレは、もう、疲れきって声も出ない。
やっと終わった、ゴールデンな日々。


オレは、漫画家になりたかった。と親には言ってあるが実はアニメの仕事がしたかった。
それで、奨学金で美大に行った。
そこでオレは、思い知らされることになる。
絵が描けるやつなんて、たくさんいるってことに。
そこからいじけてしまった。中国からの留学生の子がめちゃめちゃ絵が上手くって、ぶっちぎりだった。その子がオレの絵を見てなんと言ったらいいか困ったような顔をしていたのを覚えている。


就職活動からオレは、逃げた。
怖かったから。
就職浪人して、コンビニでバイトしてた。
そんなオレに大学の恩師がデザイン会社の期間限定だが、欠員代行の仕事を紹介してくれた。
ところが、向こうは即戦力が欲しかったわけで、
オレは、怒られてばーっかり、いた。
絵を描くのは、趣味でいいや。


オカンはオレが美大に行くと言うから、グラフィックデザインを専攻するのを薦めた。
オカン的には、それで広告代理店に就職して欲しかったらしい。


任期満了で、元のコンビニのバイト生活してたらどんどんまわりのやつらがピカピカに輝いて見えてきた。オレは、何がしたいんだ。
このままでいいのかよ。
しっかりしろ、オレ。


オレもさすがに焦り出した。派遣やら契約社員やらいろいろな職種を渡り歩いた。
そしてたどり着いたところが今いる職場。
どうやら意外なことに、オレは接客に向いているらしい。そしてお客さんに好かれるようだ。
ブラックでもないし、大手だし、信用出来る。


いっしょに働いてる仕事仲間ともちょうどいい距離感を保ちながら、お互い割りと平和にやっている。そう、なんの不満もない。


ただ、ゴールデンウィークは、キツかった。
オレが甘ちゃんなことはわかっている。
足が、腰が、
い、痛ぇ。
立ちっぱは、キツイ。
ゴールデンウィーク中は人の波の間をすり抜けながら、補充の荷物を倉庫から段ボールごと台車を使わずに運ぶため何往復もしなければいけない。
平日なら台車を使うから、そこまで大変じゃないことがこんなに負担になるとは。
業務用エレベーターは優先順位があるし、
オレらは後回し組。階段使った方が早いとか思っちまう。


とか、愚痴愚痴言いたくても、しゃあねぇわな。
きっと仕事してるときのオレはカッコいいにちがいない。
オレ、ゴールデンだからよ。
なんてな。
風呂で寝ないようにしなきゃな。
これ、重要。
オカンが心配してるからな。

とにかく、乗り切ったので、明日は休日もらったので思いっきり、寝るぞー。







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