2023年ボカロ10選〜後編〜

どうも、半額(@HANGAKUnnbe)です。
さて、前編・中編と続いてきた2023年の振り返りもこの後編で終わりです。気づいたらとんでもない文字数になってます。多分全部で1万5000字近くあります。好きなことだと無限に文章を書けちゃうのあるある。
紹介していく曲たちは1選候補だった曲と1選です。というか1選は2曲が1ヶ月くらい争ってました。(ネタバレ)年10選決めとかいう年末恒例行事、普通にカロリー使いすぎなんですよね。まぁそれが楽しいんですけど…

後編からでも全然読めますが他の10選の解説も見たいという人は
中編→https://note.com/gifted_macaw741/n/n9e10540c8fc9

はじめからがっつり読みたい人は
前編→


(↓なんかすごいことになってるけど見なかったことにして)



No.5 虚像の過多の上に夏/霧四面体

今年のトンデモ枠。
こういうギミックが大量に盛り込まれた曲がすごい好きです。西島尊大とか。

霧四面体さんはかなり前からそのギミックの一つとしてトンデモ変拍子(可変拍子)を組み込んでいたんですが、この曲は特にそのギミックを盛り込むタイミングが巧いんですよ。
まず、前奏に一番ヤバい変拍子を入れることによって初見時のインパクト+視聴者を離れさせないことができます。逆にテトが歌い出してからはくどくなってしまうので、ずっと4拍子でテトの歌声にフォーカスを当てる。そして、間奏では思い出させるかのように変拍子に戻りつつ途中で歌声も合わせることによってラスサビへの文脈を作る。ラスサビはその文脈を踏まえて安定感のある4拍子に戻して爆発感を煽る。といった感じに一見インパクトを増すためのトンデモギミックの数々も非常に考え込まれた上で組み込まれています。

そんなトンデモギミックの数々を味わった上でやっぱり気になるのは重音テトSynthesizer VとUTAUによる、1人のデュエットですよね。重音テトSVの発売が発表された頃からこういう新たなデュエットも出てくるんだろうな〜と思っていましたが、現状私が聴いた中でこの曲が一番1人のデュエットを活かしている曲ですね。
そもそもこの曲全体が音楽そのものを歌った曲なんですけど、それを15年前の嘘で生まれたUTAUからSVという言ってしまえば公式の合成音声になった重音テトが歌うというのがエモいですよね。細かくその2つの合成音声を切り替えることによって、曲に変化を与え飽きさせないというギミックも素晴らしいです。
そして、一番個人的に感動したのはラスサビのUTAU・SV両者による合唱ですね。「納得の感動」タグ付いててもいいんじゃないかな。同じ人なのに違う声が重なり合うなんて人間にはできない代物です。

この曲で一番好きなところはめちゃめちゃ細かいところなんですが、2番サビ直前の唐突に入るアコギですね。そこまでがこれぞDTMといった感じの音楽だったのの対して、唐突に入るアコギによるギャップ。男の子というものはギャップに弱いんです。温度差によって一撃で惚れてしまいます。アコギ主体の曲も好きなんですが、この曲みたいにピンポイントで使われるとエモすぎて死んでしまいます。


No.4 アイドル(ついなちゃんカバー) /Creuzer

Creuzerさん⑤
このカバーが現状Creuzerさん1選です。

まず最初に原曲の話をしようかな。いや〜流行りましたね。YOASOBI(というかAyase)、強すぎますね。作る曲全部とんでもないヒットを飛ばしていきます。いつむでAyase最強時代続くんだろう…
なんというか好きとか嫌いとか抜きに曲を作るのがめちゃめちゃ上手いんですよね。最近のDECO*27とかもそうですけど大衆が好みような曲を完全に理解していてそれをさまざまなジャンルで応用できる。大分手の届かない存在になってしまいました。
このカバーが年10選入りした理由の一つにシンプルに原曲が好きなのもあります。元々「推しの子」を結構読んでいたので結構期待してたんですが、初見時は曲の雰囲気含めドンピシャな曲作ったな〜と期待のハードルを大きく超えていきました。

そして、原曲の投稿日中に投稿されたのがこのカバーです。マジでCreuzerさんの時間軸どうなってるんだ…
このカバーの初見時、最初の部分の原曲のしゃくり上げるような歌い方がほぼなくなっているのもあって、原曲のイントロで引き込むような力が薄れているなと思ったんですよ。
でもそのまま聴いているとその考えが間違いだったことがわかります。それまでCreuzerさんのカバーが原曲リスペクト多めなのを知っていたので、このアイドルのカバーもそうだと思っていたんですが、実は原曲とは独立したまた少し違った歌い方をしているんですよね。特にボーカルのついなちゃんの「可愛さ」を引き立てるような歌い方になっていました。サビ前のBメロとかめっちゃ可愛いです。これがまた原曲とは違った圧倒的な「アイドル」感を醸し出しているんですよ。また原曲とは違うアプローチでアイドルという曲を解釈してるんです。曲の再解釈こそがまさにこのカバーの醍醐味だと思ってます。

Creuzerさんの調声技術については他の曲の紹介で散々触れたので、割愛するとしてこの曲の一番好きな調声ポイントを挙げるとすれば

「そんな私の嘘が本当になること 信じてる」

この歌詞の「信じてる」の部分ですね。原曲だと弱めながらも決意が伝わってくる感じで歌ってるのがですが、このカバーだと力強く決意を伝える感じで歌い上げてるんですよね。めちゃめちゃ言語化が難しいな…是非とも注目して聴いてみてください。SVってこんなことできるんだ…ってなります。



No.3 ピトフーイ/ナナホシ管弦楽団

舐めてました羽累。正直私はCeVIOあんまり好きじゃないんですよね…可不もあんまり好みじゃなかったですし、他の音楽的同位体も好みの声じゃなかったです。あ、でも星界だけめっちゃ好きです。音楽的同位体は全体的にどうしても拙さがあるんですよね。星界はその拙さが可愛い方面に作用するので好きなんですけど。
そんな感じで羽累にもあんまり期待してなかったんですが、見事に裏切られましたね。さすが史上初のラップ機能を実装した合成音声ですよ。ラップ部は他合成音声を寄せ付けません。その上でラップ以外も音楽的同位体特有の拙さがほとんど無いように聴こえます。この曲でどの部分でラップ機能を使っているのかは詳しくは分からないんですけど、ラップ機能を使わなくてもラップ特有のクールさを持って歌ってように聴こえます。

この曲の話に入ると、まず絵がいいんですよ。性癖にぶっ刺さってます。特に手と目!!!!!!絵を描いたしくさんに感謝……

サウンドとしてはさすがナナホシ管弦楽団の一言に尽きます。羽累のデモソングなのもあって、歌声(特にラップ部分)に注目が行くような構成になっている上で間奏では2番に自然に繋がるようなサウンドにすることで全体としての「ナナホシ感」は残っています。
そして、特筆すべきは全体のリズム感の良さですよね。曲調がラップなのもあって韻を踏んだそのリリックは小気味いいです。そのノリやすさにサウンドが相まって一瞬でラスサビまで駆け抜けていってしまいます。

一番好きなところはサビの一番最後の歌詞のところ

「思ってるより危険かも」

というところですね。他人にあーだこーだ言われることに飽き飽きしている主人公を一見可愛らしいけれど世界で唯一毒を持つ鳥の「ピトフーイ」に例えた歌詞です。ここでの歌い方がめちゃめちゃ好きなんですよね。先ほども書いた通り、全体的に羽累はクールに歌っているんですが、ここだけ急に可愛さを持って歌うことで歌詞にもぴったり合いますし、ギャップを生み出します。『虚像の過多の上に夏』の紹介でも言いましたが、男の子はギャップに弱いんですよ…急に可愛くならないでよ…


No.2 もう、溶けた。/Mealerrand

最後まで1選争いをしてた曲です。
これまでその曲の紹介したい好きなところを結構挙げてきたんですが、この曲は紹介したい好きなところがいっぱいあるんですよね〜〜〜できる限り紹介していこうと思います。

まずMealerrandさんの話をしようかな。元々そのとんでもないコード進行の引き出しと知識量を活かした曲を作ってた人なんですが、特にこの曲は再生数多かったですね。割とみんなに刺さりがちな進行が多めでした。実際、私にもぶっ刺さりました。私だけかも知れませんがMealerrandさんの曲、コード進行が好みか否かが、刺さるか否かに直結してます。その中で特にこの曲の進行は刺さりましたね。

そして、このイントロですよ。昨今の動画サイトの発展とともにインターネットの海に大量の曲が溢れたことにより、曲のイントロでどれだけ視聴者を引き込めるかが重視されてます。でもこの曲はピアノ一本勝負なんですよ。私が一番好きな楽器がピアノなのもあってごちゃついたイントロよりも引き込まれてしまいました。

そこからスッと入ってくるヒメの声です。この曲の雰囲気を形作っているのは間違いなく彼女の声だと思います。鳴花姉妹だと妹なのもあって元気系で幼さを持った声で使われることが非常に多いですが、この曲ではまた違った使い方がされています。特に高音は柔らかく染み渡るようで全体の雰囲気として重くなりすぎないようになってます。

まだまだ一杯好きなところがあるんですが、あんまり話しすぎるとこの曲の解説noteになっちゃうので最後に一つだけ。この曲で私が一番好きなところのアウトロですね。動画時間が6:00もあるので、かなり満足感のある曲になっているんですが、その満足感の余韻に浸れるようになってるんですよね。目まぐるしい展開が続いたからこそ「少し疲れたでしょうから。涼んでいってください。」と動画にあるようにピアノの優しさが沁みます。イントロと同じようにピアノ一本で終わることでやっぱり6:00という動画時間でも重くなりすぎないようにもしています。

もっと語りて〜〜〜〜他にもドラムの話とかパーカッションの小物の話とかシンセの話とかリズムの話とかもしたいんですけど、収まりきらないのでこの辺で。聴いたことない人は是非とも至極のサウンドを味わってみてください。


No.1 かまぼこかまほろかまことか/真島ゆろ

年1選です。ここでちょっと自分の話をしたいんですけど私のボカロを聴く目的というか目標みたいなのがあるんですね。それが

自分の『好き』を言語化する

なんですよね。その為に作曲しないのに音楽理論を学んだり、自分の好きだと思った曲の分析をしたりしてるわけです。でもこの曲はそんな『好き』部分をめちゃめちゃ『好き』なのに言語化できないんですよね。
つまり…






好き!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!好き!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!愛してる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!𝓶𝓪𝓳𝓲𝓭𝓮 𝓱𝓸𝓷𝓽𝓸𝓷𝓲 𝓛𝓸𝓿𝓮…






ってことです。コードもメロディも全体としてサウンドもそこそこ好きって感じですし、ボーカルもあんまり知声ってボーカルが好みじゃないですし………
でもなんか好きなんですよ。しかも聴くたびにどんどん好きになっていく。そうして100選に入りました。一切「好き」を言語化できなかった一選の『太陽系デスコ』も長年の付き合いを経てようやく少しずつ言語化できるようになってきたので、この曲とも末永くやっていこうと思います。

そんで、年1選を決めようと思った時、最初は先ほど紹介した『もう、溶けた。』を1選に据えようと思ったんです。そこに立ちはだかったのがこの曲でした。年1選を争う戦いは、「好き」なところをしっかり言語化した上でめちゃめちゃ好きと言える曲となんかよくわからないけどめちゃめちゃ好きと言える曲の争い、言い換えれば理性と感情の戦いだったんです。
その結果…

感情が勝ちました

皆さんも自分の感情には素直に生きましょう。あとこの曲を聴きましょう。好きな部分を言語化できないので後編のなかで一番あっさりした紹介になっちゃいました。


おわりに

2023年の曲を自分なりに解説できて満足しました。年末割と暇だったのでだらだらと書いていたらとんでもない文字数になりました。ちょっと反省。拙い文章でしたが最後まで読んでいただきありがとうございました!

中編→

前編→


おまけ

かまぼこかまほろかまほことかのMVより

年一選のMVに半額シール…?投稿された時点でこうなることが決まっていた…??

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