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建築写真=ストーリーを撮る

建築写真撮影で大事なこととは

とても有名な建築ジャーナリストの平良敬一さんが、住宅建築の基本について書かれていた言葉がとても好きです。

「住宅建築を作る場合は、それを作る建築主。設計者。大工、工務店等々のあいだになりたつ知恵の交流と共感と信頼関係の体験の積み重ねがあって、はじめて成就できるものなのです。その関係がいい住宅建築を生み出す」

建築写真を撮る自分にとっては、目の前に見える建築物をいかに撮るかも大事ですが、平良さんの言葉を借りれば「知恵の交流と共感と信頼関係の体験の積み重ね」をいかに感じて写真に写し込むかが一番大切なのではないかと考えています。

住宅で言えば

設計者や工務店の方が建てられた住宅に住む人を想像すること。
そこに住む人の生活のストーリー。
家族構成や、生活のスタイル、生活の動線など、目に見える景色と見えない空間を想像し撮ること。
キレイな写真、美しい写真はもちろん大事ですが、空間から生活の匂いが感じられる写真を大事にしています。その差が建築写真家の差かなと思っています。

コロナで変わった写真観

自分の中ではっきりとその意識を持ったのは、コロナ禍の2,3年が影響しているのかもしれません。コロナはとても大変な時期でしたが(もちろん今も収束しているわけではありませんが)、家の中の生活を見つめ直す良いきっかけであったことも確かです。平日はほとんど仕事をして夜帰って、数時間食事をしたり団らんをしたりした後寝る事がほとんどであったのに、コロナはテレワークという生活スタイルを体験させて、家で仕事をする=1日ほとんど平日も家にいるという新しいワークスタイルを体験させてくれました。もちろんこれが家族との関係性も大きく見直すきっかけとなったことは、言うまでもありません。
同時に建築を撮る自分にとっては、被写体である「家」に対する見方が大きく変わり、目に見えないストーリーを写し込む意識が強くなっていった気がします。

横の壁一面に収納スペースに変更
玄関、リビングダイニング、キッチンの動線を見直した間取り
余計なものは置かないシンプルな生活感

どのような暮らしをしたいか

住む家探しも新築、リフォーム、リノベーションと様々な選択肢がありますが、結局はどのような暮らしをしたいか、短時間に住む人(施主)の生活スタイル、人生観を共有し、撮ることが大事だと思います。
だから建築写真は面白い。

村山オフィシャルホームページ
https://www.t-mura.com/


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