異形者たちの天下第3話-4
第3話-4 踊る漂白民(わたり)が笑ったあとに
仙洞御所が傾奇踊りで賑わいを見せた同じ日。
朝家恒例正月御観覧のことを
「またか」
と苦笑しながら、それでも今年の徳川家康は遠慮をしなかった。家康の心の内では、常に天下を取るための詰将棋が動いている。その矛先は豊臣家やキリシタンに向けていた。ゆえに、これまでは朝廷に手心を加えてきた。しかし、その対局も終焉であることを家康は自覚していた。
キリシタンは廃止へと進み、都合よく豊臣家がこれに引摺られていく。両者とも先はない。だ