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嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~四十二の歌~

《契った夜≫ 原作:清原元輔
契った夜
うちは嬉しくて涙した。
貴方の腕の中に身を預け、打ち寄す波にのみ込まれ
あえいで気を失う、その時に
愛を受け止めた。
契った夜
うちはその夢が終わらないようにと祈った。
 
定家「契りきな かたみに袖を しぼりつつ末の松山 波こさじとは。初めて契った夜、娘は眠られへん」
蓮生「決して心変わりはしないと約束したのに……。あの日、あの夜、交した愛は何だったのか。永遠を誓った男の愛も時と言う密やかな嵐の中で粉々になってしまったようや」
定家「儚いな」
蓮生「それだけに、契った、その一瞬は尊い」
定家「せやね」

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