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嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~十八の歌~

《好きな娘、親とは別棟に住んでたんや》 原作:藤原敏行朝臣
波の音か、思いだすな、十八の頃。
住之江岸の公衆電話、土曜の夜は決まって狂いよってな、
10円で2時間でも3時間でも電話でけた。それでよく朝まで話したなぁ、
人目も気にせんと。今となっては夢みたいや。
昼も夜も逢いとうて逢いとうて・・・よう通うたわ。
おかしいか?でも、それが恋なんとちゃうか?

定家 「分かるわぁ、その気持ち。住の江の  岸に寄る波   よるさへや
夢の通ひ路  人目よくらむ。俺もそんな頃があったな」
蓮生 「定家はんにも好きな娘おったんかいな?」
定家 「まぁな……。言えんけど」
蓮生 「言えや」
定家 「あかん。秘めた恋や」
蓮池 「ふ~ん、ま、ええわ、そのうち聞かせてもらうさかい」
定家 「絶対に言わんで」
蓮池 「心配ないて。あんたは酒飲むと話さずにはおられん人や」
定家 「ははは、そうかもな。ま、その時はその時や」
蓮生 「せやせや、ははは」

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