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嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~三十四の歌~

《酔っ払い》 原作:藤原興風
歳はとりとうないな。ダチ、みんなあの世に行ってもうた。
どないしてそんなに急ぐんやろ?
もそっとこっちで遊んでからでも遅うないで……。 
きれいな浴衣のネエちゃんが居て、美味しい鱧と酒、花火がド~ンと上がったらでお祭りや。
そう言や、高砂って酒あったな。これが旨いんや。ぐいぐいっと。あ~旨い、酔ったぁ!
誰か知らへんかなぁ?…… 昔のダチともういっぺんアホでける所(とこ)
(注)ダチ=友達。鱧(ハモ)=ウナギ目ハモ科の海水魚。夏に美味。

定家「人の一生は頼りないなぁ。あまり長生きはせんほうがええかな」
蓮生「まぁ、そんなに暗ろうならんとき。想い出に浸って、独り酒も悪くはないやろ。たれをかも 知る人にせむ 高砂の 松もむかしの 友ならなくに 」
定家「せやな。でも、独り酒はかなわんな。やっぱり、綺麗な女の子にお酌して欲しいわ」
蓮生「これや! これやから、かなわん。あんたは長生きするわ」
定家「せやな、ははは!」

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