【読書記録#5】伊坂幸太郎『チルドレン』

伊坂さんは自分の人生で初めてのめり込んだ作家だ。

中学生の頃『オーデュボンの祈り』を読み、洒脱なワードセンス、爽快な伏線回収に衝撃を受けた。
それから『ラッシュライフ』『陽気なギャングが地球を回す』と読み進め(なんとなく読んだ順番も覚えてる)、『アヒルと鴨のコインロッカー』でボブ・ディランを知り、『絆のはなし』から斉藤和義にはまった。
伊坂さんの小説との出会いが人生に彩りを与えてくれたのだ。

伊坂さんの小説では印象的な人物が数多く登場する。
今回の『チルドレン』の陣内はその筆頭だ。伊坂幸太郎ファンに「印象的な登場人物は?」とアンケートを取ったら確実に5位以内には入ってくるだろう。

陣内は『チルドレン』におけるメインキャストだ。あえて、主人公ではなくメインキャストと表現するのは、物語が陣内視点では一切進まないからだ。学生時代の友人や職場の後輩から見た陣内という視点で物語は展開する。

一言で言えば、すごく変な奴。
自由で、適当で、変な持論を振りかざし、すぐトラブルを招く。

陣内を逆さに吊るして叩けば、おそらく出てくるのは、「失礼」と「無遠慮」だ

伊坂幸太郎『チルドレン』 P32

周りは皆んな陣内に振り回されるが、どこか憎めない。というか皆んな陣内のことが好き。
いつしか読者も作中の登場人物に取り込まれ、同じく陣内にうんざりしながらも、好きになっている。不思議だ。

陣内の力強い言葉の数々に妙に納得させられてしまう。

そもそも、大人が格好良ければ、子供はぐれねえんだよ

伊坂幸太郎『チルドレン』 P229

「絶対」と言い切れることがひとつもないなんて、生きてる意味がないだろ。

伊坂幸太郎『チルドレン』 P161

なんかこういう言い回しに出会いたくて、伊坂作品を読んでる節もあるなぁー。

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