論語 季氏7 成長と老化による欲の種類

 孔子先生は言われた。「君子に三つの戒めがある。(一)青年期は血気が定まらず、情が強くなりすぎる時がある。だから色欲(異性問題)を戒めておく必要がある。(二)壮年期は、まさに血気盛んとなり強いものがある。だから闘争(ケンカ)を戒めなくてはならない。(三)老年期になると血気はすでに衰えている。したがって、我欲(特に銭欲)に走りすぎぬように戒めなくてはならない」。

野中根太郎(訳)(2016)『全文完全対照版 論語コンプリート』 誠文堂新光社

 同じ人物でも年齢において陥りやすい事は違うという事だ。
 若いうちは異性との関係性を戒めるという事が必要である。思春期が多感な時期というのはよく言われているが、気持ちが前面に出やすいのだろう。 
 中年頃には仕事に精を出している時期である。価値観もある程度固まり自分の意思が強くなる傾向があるので、必然的に相手とけんかになる事が多くなるだろう。
 老人になると仕事上での活躍が難しくなる。自分の人生を仕事以外で充実させる必要がある、その際にお金を必要以上に浪費してしまってはいけないという事だろうか。それとも、貯め過ぎて何も使わないことを危惧しているのだろうか。

 私個人としては青年期、壮年期、老年期で言っている事がその時期、特有の問題であると感じてはいない。
 それぞれの時代に限らず、その時々の出来事で節制しなければいけないことであると思うからだ。
 そう思う理由としてもっと単純に色欲やら闘争で失敗した経験がないからなのかもしれないが。

 我欲という事に関して言うと、お金の使い方や仕事以外での生き方に関してはずっと課題がある状態だ。余計な事にお金も時間を使ってしまっているので、老人になってからの問題とも思わない。
 そう考えると、私は既に精神的には壮年期のような状態にあるのかもしれない。単純に外との関わり合いが薄いだけなのかもしれないが。という事は、老年期にある方でも色欲をコントロールしなければいけない人もいるかもしれない。

 今回の話は一般的な話なので自分が実感する必要はどこにもないと言えばない。ただ、これから年を取るので闘争や我欲に更に悩まされる可能性はある。頭の片隅には置いておきたい。

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