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利用者様 ≒お客様

「利用者様はお客様」

言われてみれば、当たり前かもしれません。

実際に
区分6の利用者様は、
福祉サービスを利用すると
生活介護…約27万円
グループホーム…約36万円
入所施設…約50万円

という利用料を1ヶ月で支払います。
※過去の投稿参照

ただ、
日頃から利用者様の事を「お客様」という認識で
支援している職員さんはどのくらいいるのでしょうか?

正直、そこまで多くないと思います。
そして、それはしょうがないことだとも思います。

利用者様がレジで支払うこともない。
施設・事業所の通帳に利用料が入金される。
ゆえに、毎月の利用料を知る機会がない。


この「お金」にまったく触れない環境こそが
「利用者様はお客様」という認識をさせない原因の1つだと思います。

職員さんが「お金」に触れる機会があると、
意識は変わってきます。


例えば…
施設・事業所が職員さんに対して、
研修で利用料について学ぶ機会を設けたり、
毎月の会議で利用料を報告したり、
利用料の請求書について学んでもらったり、
決算書について説明したり、
職員さんの「お金」について触れる機会を増やすと
「利用者様はお客様」という認識が定着することができます。

そうすると、
意識の高い職員さんは、
高額な利用料を頂いている事実を知ることで、
「利用者様」を「お客様」という視点で考えられるようになり、
利用料に見合ったサービスや価値を提供しようと思ってくれます。

「お金」と「サービスの質・価値」のバランスで考えていくと
他のサービス業と比較する感覚が少しずつ芽生えて
利用者様への言葉遣いや配慮の仕方も
良い方向に変わってくるのではないでしょうか。

しかし、
利用者様はサービス業とまったく同じ「お客様」ではないと考えています。

福祉は「利用者様=お客様」ではありません。

福祉は「利用者様≒お客様」

だと考えています。

福祉は
利用者様からただお金を頂いて、サービスを提供する関係ではありません。

利用者様は単なるお客様ではありません。

上手く表現できているかわかりませんが…
家族に近いような、
利用者様にとって職員は不可欠な存在であり、
空気のような当たり前の関係性。
福祉ならではの素晴らしい関係性だと思います。

それは、
毎日毎日…
何年も何年も…
ずっと一緒にいることで築き上げてできたもの。

他のサービス業でこの関係が築ける職業はあるでしょうか。
私はすぐに思い浮かびません…
支援員は他のサービス業以上に親身になって
利用者様と寄り添える職業だと思います。

職員と利用者様のとても素晴らしい関係性は、
福祉の仕事の魅力の1つですよね。

ただ、
一歩間違えてしまうと惰性な関係性にもなってしまいます。
毎日一緒にいるので、
関係性に緩みが生じて、支援に甘え・妥協が生まれやすくなります。
また、
関係が近過ぎて、知人・親などの身内の感覚になってしまったり…
悪い方向に進んでしまいます…


もし、ここに「お金」の概念があれば、
サービス業でいう「お客様」としてしっかりと敬意を払うことができます。
利用料に見合ったサービスを提供しなければならないという意識が出てきます。
緊張感も生み出すことができます。

「お金」の認識があると、
福祉の素晴らしい関係性に一定の規律ができて、
マイナスの関係性になるのを抑えてくれます。

「福祉」に「お金」の概念を入れることは、
とても大切なことだと思います。


ということで、
利用者様から毎月高額な利用料をいただいていると意識しつつも
他のサービス業にはない素晴らしい利用者様との関係性を保ちながら
質の高いサービスを提供する。

福祉は「利用者様≒お客様」だと考えています。


余談ですが、
一般的なサービス業だとお客様のことを「○○様」と呼びますが、
福祉では利用者様のことを「○○様」とあまり聞いたことありません。
「○○さん」が一般的だと思います。
こういう所からも「利用者様≒お客様」だなって感じます。

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