公金チューチューについて底辺演劇関係者のつぶやき

都知事選最終盤、今更だけど思ったこととして。

ひまそらあかねさんが掲げている公約 公金チューチューをなくす に思うことをつらつらと書いてみます。

自分は演劇業界の片隅で裏方をやっています。ミュージカルや2.5次元ではない、いわゆる新劇とかストレートプレイに近い作品をやってます。僕自身はまだ入って数年ですが、劇団そのものはお陰様でそこそこの年月続いています。
さて、演劇業界、どこも本当にカツカツです。ちょっと前に誰かのツイートで 「チケット代が6,000円は高い」みたいな投稿がありましたが、自分の劇団では演目によっては 8,000円値崩れほぼなし20ステージ全部対キャパ90%でようやくトントン、みたいな時もあり(それはそれで問題なんですが)、いつもキャストやスタッフ、関係者へのお支払いに怯えています。

ちょっと前にコロナ禍への救済として、かなり広い範囲で大規模な助成金がありました。東京の公演ではなく、旅公演に対する助成金として、かかった経費を助成するというものです)業界関係者ならすぐにピンとくると思います)。

これには本当に助けられ、一息ついた、あるいは生き延びることができたという劇団もかなりあるんじゃないかと思います。

さて、助成金ということは、当然公演が終わったら収支を報告し、適正に手続きをしなくてはならないわけなんですが…このチェックが、業界のことをあまりわかってないのではなかろうか、という方による厳しいチェックがあるわけです。

稽古場代や機材費、プランナーへの支払いを東京都地方で按分せよとか、確かにその通りなんですけど、旅公演があってもなくても稽古場代はフルでかかるんだから按分のしようもないんだけどなあ…と思いつつ、なんとかない知恵を振り絞って旅の分が増えるような割合になるよう構成したりしました。

提出した書類で、名前の読み仮名を書き間違えたものを突き返された時もあり(例:隆史とかいてカタシと間違えていた)、本当によくみてるなあ…と感心したものです。

そしてこの助成金、何よりもキツかったのは、実際に支払った分の半分が助成対象になる、ということです。申請時には認められていた助成内容でも、資金繰りがうまくいかず、期日までに支払えなかった分は助成されないのです。

でも、当然ですよね。原資は税金です、無駄も不正もあってはいけません。融通の効かなさに文句も言いつつ、納得もしていたものです。

しかし、まさか。そんな税金を、助成金を、あんな杜撰な書類でノーチェックでズブズブに使ってる団体があるなんて、信じられませんでした。なにそれふざけんな!と本気で怒りました。

(追記)
公金チューチュー、あんなズブズブな証票で認められるんだったら、こっちもその分助成範囲を増やして、その分をスタッフの人件費増やしたり、チケット代に還元したり、普段縁がない地方に旅公演持って行ったり、お支払いを待ってくださってる業者の皆様へのお支払いしたりしたかったわ!実際にはもちろんそんなことできませんが。嫉妬といえばそれまでだし、助成金頼りにすることがいいとは思いませんが…
(追記ここまで)

ひまそらあかねさんはその不正に対して、一個人にも関わらず、果敢に戦っています。

彼が都知事になったところで、公金チューチューを止めても、特別に演劇業界に助成金が降りてくるわけではないです。
表現規制についても、演劇業界は映像とか漫画とかに比べると、比較的規制が緩いと思うので、そんなに何かが変わるわけでもないと思います。
ただ、税金が適正に使われ、都民の生活が少しだけ明るくなったら、お芝居を見に行ってもいいかな?って思える人が少しでも増えてくれたらいいなあ、と思います。

あ、デジタルクーポンで観劇とかできるようになったら素敵かもしれません。演劇は観るというより体験するものに近いんです。お隣に座ってる方と、演者と、同じ空気を吸い、同じ熱気に包まれ、声、音響、照明、熱気、匂い、五感全てを共有する演劇は、映像とかVRとかではまだ再現できないと思います。

あと、映像の世界で活躍されている方(沼とか言われてるあの人とかあの人とか)も、世に出るきっかけは演劇だったってことはザラです。今やテレビで見ない日はないっていうあの役者さんはウチの劇団で育った、って思ってる劇団関係者はたくさんいると思います。やや嫉妬まじりに演劇で育った役者を映像が刈り取る、なんて言われたりもします(笑)

話が逸れましたが、だから、演劇関係者は、公金チューチューを止め、デジタルクーポンで体験格差をなくし、表現を守るひまそらあかねさんを、選択肢に入れてもいいのではないかと思います。選択肢に入れた中で選ばないのは構わないですが、選択肢に入れないのはどう考えてもフェアではないです。

ひまそらさんへのエールというには本当にギリギリになってしまいましたが、0.000001%でも誰かに響いたらいいなと思いつつ。

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