一首感想『拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません』

拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません

笹井宏之(2019)えーえんとくちから ちくま文庫

この短歌を一目見た時、言葉がすっと入ってくる感覚がありつつ内容の理解が及ばなくて、なんだか混乱した。

早とちりで「手紙=あなた」とはどういうこと?と思っていたけれど、「〇〇=手紙のよう=あなたのよう」となるはず。
検索すると手紙とあなたという異質なものが同化しているという解釈や、あなたが眩しすぎて見れないという趣旨の解釈をしている人がいたりしたけれど前者は難しくてよくわからないし両者ともあんまりしっくりこなかった。

そこにはあなたのようであなたではないものがある。
恋愛の歌としてとるのであればあなた=元恋人とも取れるかもしれない。

解釈が難しくなると妄想に浸る癖があるので、ここからは少し妄想の世界に浸らせていただこうと思う。

  1. 昔の恋を引きずっているままの自分だったが、新しく出会った素敵な人との縁を拾ってみると、昔の恋人を忘れられない自分への神様からの手紙のようで、新しい人を好きになれて幸せだった。しかし、深く関わるようになり、人となりを知ると、元恋人と近い部分を見つけては元恋人思い出してしまって苦しい気持ちになったから、そんな思いで会うことはできずもう見れない。

  2. 足元に飛んできたスーパーとかのビラが、自分の所に来たかったように見えて手紙みたいだな〜と思いながら開いたら押し付けがましくて元恋人の押し付けがましいところが嫌だった気持ちが蘇った。

なんて妄想のしがいのある歌なんだ‥。恋愛の歌ではない可能性も十二分に存在しているのは承知しております。
拾って開けるんだから、落ちてるもので閉じているものであるはず。栗なんかはどちらも当てはまるけれどあまり手紙で表現するようなものではない。謎解きのような気持ちになる。
1個目の恋愛解釈がしっくりきてるけど、人生経験をもう少し積んでからまた読み直して、他の読み方を探したいと思います!

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