ひらめき☆マンガ教室 第6期 最終課題 「第6回 ゲンロン ひらめき☆マンガ大賞」 完成稿・感想

ひらめき☆マンガ教室とは?


「ゲンロン ひらめき☆マンガ教室」は、株式会社ゲンロンが主催するスクール講座のひとつです。

(ひらめき☆マンガ+「ゲンロン ひらめき☆マンガ教室とは」より引用)


ぼくはそんな「ひらめき☆マンガ教室」のマンガに感想を言う人という形で参加させてもらっているヤツです。

ついに、最終課題ですね…第6期の今期、個人的に色々ありすぎて、忘れられない1年間だったなぁと将来思い出しそうな感じです。

色々あったって言うと

自分の可能性とか、自分のやりたい事とか…ね。

少し基盤というか道筋が見えたような、そんな感じ。

まあぼくの事はさて置いて…

マンガや!マンガ!マンガの話をせい!

ってなわけでひらめき☆マンガ教室第6期・最終課題・完成稿の感想です!


1 『痴話喧嘩無敗伝説』 大須賀健

ラブコメというよりラブバトルマンガみたいで、ラップバトルみたいな感じが面白いな〜と思いました。『スコット・ピルグリム』感。ターン制のバトル、応答が日本のリズム感で楽しかったです。


2 『怪物』 あい乙いなびこ

あぁ、あい乙いなびこさんが最近描きたいのって『デビルマン』だったんだなと最近気付きました。(最近ぼく自身が『デビルマン』を読んだから気づいたのかも)ここに『お酢』のようなエロティックさが入ってくると、もっと『デビルマン』感が出てくるのかも知れません、なんとなくの思い付きですが。


3 『少食二郎訪問〜環七一之江店』 くまのぶ

スッキリと読めちゃいました。読み終わって実際の二郎系ラーメンも意外とあっさりとしているのではないかと思ってしまいました。ぼくもnoteをよく使っているのですが、noteのスッキリとした感じが好きなので、こんなスッキリとしたマンガはnoteに相性が良いのではと思いました。


4 『パティスリー・ヨシダ』⭐️ 山岡兄弟

失礼かと思われてしまうかも知れませんが、アピール文をマンガにして欲しい!と思ってしまいました。マンガになったらなんとなくサイバーパンク的な、ハガレン的な感じかなと思いました。本編は映画的で洒落たヨーロッパ系のサイコホラーな感じ(言わばジャン=ピエールジュネ感)がぼくの好み過ぎて大変良かったです。


5 『メルトDT』  ぼんち。

ラブコメだ!すれ違いな感じは、ぼくの世代的にはアンジャッシュのコントを思い出しました。ぼんち。さんは「ヤンデレ」というのが病んだ人という否定的な、レッテル・イメージを変えようとしているのではないかと思いました。本当はヤンデレは不安いっぱいで真面目で、気づかいの出来る人なんだよ、というのが1年間を通して伝わってくるようでした。


6 『志摩先生とうるるちゃん』⭐️ 形井中へい

ひら☆マン奮闘記のようなマンガで、ひら☆マンファンのぼくはニコニコと読むことが出来ました。うるるちゃんのやる気が教室に変化をもたらしているのが、ひら☆マンに重なり合うようで、ひら☆マンってこんな感じなんだろうな〜と想像してしまいました。このマンガがもし連載を重ねた時に、この場の力、この教室の力が、このマンガの力が、誰かの背中を力強く押してくれるのではないかと思いました、良かったです。


7 『オタクに優しいギャルの兄ちゃん』 やながわけんじ

少しカマキリのような、虫のような、やながわけんじさんのキャラ造形と物語のテーマから手塚治虫『奇子』を思い出しました。虫のような人間が愛を貪るようなイメージ。ラストの一言はテレビ版エヴァのエンディングを思い出してしまって、兄と妹の2人だけのセカイへの欲望が垣間見れたな〜と思いました。エモい絵面と「キモい」という辛辣な一言が異化効果みたいなものを生み出していて、良いなと思いました。


8 『可愛がり専用職員』 深田えいひれ

SMバトルマンガみたいな感じ。労働者を奴隷=Mとして、上司=Sの女王様にするアイデアはなにか可能性があるような気がしました。深田えいひれさんのマンガのテンションは『岸辺露伴は動かない』の『ザ・ラン』のような苛烈なテンションが毎度楽しいです。荒木先生も筋トレしてらっしゃるし、何か近しいものがあるのかも。


9 『私が家を燃やした』⭐️ アキオ

失礼な言い方になるかも知れませんが、いつもよりキャラがカワイイと思いました。淡々と物語が進み、不意に、唐突に切なさと祝福、癒し、希望みたいなものがふりかかってくる感覚はアキオさんのマンガでしか読めないもの、アキオさんの作家性だと思いました。良かったです。


10 『カイジューのちいちゃん』⭐️ たにかわつかさ

フェティッシュ満開で良かったです。恐竜ではなく「怪獣」なのが特撮の日本らしくて良かったです。『のび太の恐竜』のような来たるべき日常・生活の終わりへと向かっていく切なさもあって、読み応えがあって面白かったです。最後はあっけらかんとしていて、まあ人生なんとかなるか!と思いました。


11 『警察不在の街』⭐️ ヤギワタル

今の時代の日本社会の不安を見事に捉えているなと思いました。ひとつの事情が新たな事情をバタフライエフェクト的、連鎖的に引き起こして、新たな不安を発生させ、新たなルール、新たな空気が支配する。しかしその空気、不安はまるで今まであったかのように感じる。本当にこうなってしまうのではないかというリアリティ、リアルSFとして面白かったです。


12 『聖夜の女』 明青りんご

すっきりとした絵柄が「普通」っぽさを感じさせて良いなと思いました。首をかしげる女性の表情から「何か」ありそうな感じが漂っていて、緊張感というのが出ているのかなと思いました。りんごのようにさっぱりすっきりとして面白かったです。


13 『ドイツと日本のモノレールを乗り比べてみた』 はやしなおと

すごい行動力!身体性がすごい!マンガ。時間の感覚、身体の感覚がグッと伝わって来て、良いマンガでした。もっと長めに読みたい感じがありました。


14 『プリンセス探して』⭐️ ひむか 

読んでいて、人間は永遠に「自分探し」し続ける生き物なのではと思いました。押しつけられたイメージを受け入れられない、受け入れてしまっては自分が自分じゃなくなる。ぼくも「男」というイメージが脳裏から離れず、どうやっても抗えないこともあって、非常に共感・感情移入してしまいました。ぼくのひらめき☆マンガ大賞はあなたのマンガでした。素晴らしいマンガでした。


15 『姉は、人魚姫40歳』 中山墾

誰かにきっかけをもらいたい、誰かに引っ張られたい。受動的ですが、ぼくもそういうところがあるので共感・感情移入してしまいました。なんでしょうか、末っ子とか、田舎とか、そういうのが関係しているのでしょうか。ずっと都会を、誰かの背中を、ここではないどこかを焦がれている人生。主人公もそういう焦がれている人生に飽きて来たところだったのかもしれないですね。


16 『あらゆる文士は娼婦である』 藍銅ツバメ

ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』を強く思い出しました。東京03のコントのような、エスプリたっぷり、ユーモアたっぷり、軽妙洒脱な感じ。分かりませんが、演劇っぽいんでしょうか。言語化が難しいですが、掛け合いがなんか面白いんだよね〜という感じ。


17 『あこがれ』 馬場 逸

AKIRA的なサイキックマンガ。エフェクトがカッコいい。数学的な、詠唱系異能バトルみたいなカッコいいマンガ。


18 『夜を泳ぐ魚たちは』⭐️ 藤原ハル

ひらマン6期、大トリにふさわしいスケール感のある、読み応えのあるマンガでした。現代の浦島太郎のような物語で、昔話のようでありながらしっかりと今の時代のお話で、不思議な感覚になりました。トー横とサイバーパンク(雨から想起される)を掛け合わせたかのような世界観(言わばトー横パンク)、今気づきましたがトー横=竜宮城というイメージだったのでしょうか。藤原ハルさんから多く産み出される「返せない恩を返す」かのような物語、過去に起きてしまった事を忘れたくないという強い意志、それは「生かされた人生を、生きる、生きぬく、たくましく生きること」であって、普遍的で素晴らしいなと思いました。


 編集後記


おわりっ!

今期も感想を書き切る、感想の完走は出来ませんでしたが…試行錯誤、紆余曲折、1年を通して自分なりの感想が書けつつあるのかなと思いました。

3月9日、第6期・卒業式。


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