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三井記念美術館と庭園美術館

三井記念美術館を初めて訪れた。
地下鉄三越前駅から外に出ることなく行かれるのは、この暑い最中
有り難かったが、地下鉄から直接美術館に行ったために、いったい自分が
地上のどの位置にいるかも心許ない。全くのお上りさん状態だ。

日本橋界隈は再開発もめざましく、2000年代に入ってから
「日本橋再生計画」によってcoredoのタワービルができたり、
日本橋三井タワーが竣工したりしている。
日本橋三井タワーは重要文化財に指定されている三井本館の歴史や文化を
引き継いで、日本橋地区の再開発をすると言うコンセプトの下に作られた
超高層ビルで、中にはショップ、レストラン、ビジネスフロアー、ホテルなどが入っている。美術館もその一つだが、美術館のある本館は昭和初期に
建てられた三井本館の重厚な洋風建築がそのまま残されている。

そのため、美術館の中は重厚な雰囲気で、柱、壁、カーテン、暖炉など落ち着いていてとても好ましい。

三井記念美術館そのものは2005年に開設された。
江戸時代以来300年におよぶ三井家の歴史の中で収集されたもので、
国宝や重要文化財を含む貴重な文化遺産として残されたものが収蔵されているという。

今回の展覧会は「五感で味わう日本の美術」と題して三井で所蔵する美術品を展示している。

入り口にあったポスター

展示品については、このnoteの中でも何人かの方が紹介しているので、
私は省略するが、夏休みの子供達に興味を持ってもらいたいという
意図は伝わっているように思う。

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を作品から感じて欲しいと言うことで、
作品はこの分類で展示されている。
大人でも「えっ、これから味覚?、聴覚??」などと今まで考えたことの
なかった鑑賞の仕方に「ふーん、そうなんだ・・・器として好みだとか、
絵の雰囲気が良い!とか、超絶技巧だとかでなく・・・ねぇ〜」と、
今までになかった鑑賞方法が新鮮だった。学芸員の工夫が感じられる。

最後に五感にプラスして「気持ちを想像してみる」と言うテーマもあり、能面などは、まさに気持ちを想像させる典型的な作品だと思った。

流石に三井財閥、所蔵している作品が素晴らしい!
貧富の格差が言われることが多いが、このような収集を見ると、
財閥や富裕者あってこその美術品収集、保存だなといつも思う。

今日は美術館2館を訪れる予定だったので、朝早く家を出た。
三井記念美術館を見終わったのが11時半ごろで、地下鉄で白銀台へ向かい
12時頃、「YUMEJI 展」の開催されている庭園美術館に到着した。


パンフレット

竹久夢二生誕140年と言うことで、岡山にある夢二郷土美術館からの作品を中心に展示されている。

庭園美術館というアール・デコ様式で建てられた旧朝香宮邸での夢二展覧会は場所を得ていると思われ、その雰囲気を楽しめると期待した。

小さい頃から目にしていた夢二の絵は、その独特の憂いを含んだ表情が
馴染み深い。画家の絵という認識よりも挿絵としての認識の方が強かった。

今回は新たに見つかったという油絵も展示され、夢路の作品中油絵は30点だという。確かに夢二の絵として印象に残っているものは、水彩画でさらりと描かれたものだ。

描かれた人物を見ると、人体としてはバランスはくづれており、必要以上に細かったり、顔が大きかったりしている。
だが、そこから生まれる表情は独特の雰囲気を醸し出し、いかにも
大正ロマンを彷彿とさせるものがある。

夢二は正規の美術教育を受けたわけではなく、独学で学び人々の暮らしを
芸術で彩ることに関心を寄せたという。そのため、自らデザインした封筒、千代紙、小間物などを手掛け当時の女性たちに人気があったという。
今でいうグラフィックデザイナーの先駆けとして活躍したと言われるそうだ。

「憩い」
「立田姫」
夢二が「自分一生涯の締め括りの女だ。ミス日本だよ」と言ったという

私の世代だと、中原淳一と通じるものがあると思った。彼も同じように
「可愛い」と思われる洋服や、生活雑貨などあらゆるもののデザインを
試み、販売した。
淳一監修の雑誌「それいゆ」や「ジュニアそれいゆ」は毎月発売されるのを楽しみに買い求め、そこに掲載されている洋服のデザインを真似て仕立ててもらったことを思い出す。

夢二の作品が庭園美術館に展示されるというので、作品と相まった相乗効果を期待したが、作品保護のためと思うが、窓は全部閉められ、部屋も
区切られたりしており、アールデコの朝香宮邸とのコラボを味わうという
点では期待外れだった。

作品鑑賞の途中で、一旦外に出て「comodo 庭園美術館」でランチ、
英気を養って再び美術館に戻り、残りのスケッチなどの絵を鑑賞した。

蛇足ながら、緑いっぱいを目にしながらの「comodo」でのランチは
美味で美しかった。



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