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彼との出会い

はじめまして。
まずは自分のことと、何を書きたいかのお話を。
ただただ長いので、時間潰しにどうぞ。

最初は昔話から。
小学5年生の時に宿泊訓練があった。
地元で天狗の棲家として有名な山には少年自然の家(今は少年自然の家自体が消滅してる?)があって、そこで3校合同の宿泊訓練をした。
基本的に作業などは学校ごとに行われるが、集会イベントでは3校寄り集まって行った。
その中で、地元の天狗を迎え入れる儀式をする(作り話でなく、本当にこんなオカルト紛いなことやったんだよ!)があった。
その儀式では各校から男女一人ずつが火の守りとして選出され、蝋燭を携えて天狗をお迎えする役となる。
自分はその中の一人であって、このノートを作ろうと思ったきっかけの彼も別の学校の代表として来ていた。
ただ、この時は彼とは思わず、一校だけ女生徒二人が来ていると思っていた。
彼はサラサラストレートの髪を肩より下に伸ばして、前髪も眉下でぱっつんに切っていたし、その下には綺麗な切れ長の目にスッと通った鼻筋、白い肌に桜色のふっくらした唇を覗かせていたからだ。
はっきり言って美少女だと思ったし、こんな綺麗な子が同級生になるのかとドキドキしたし、ずっと目が離せなかった。
多分、この時に一目惚れしていたんだと思う。
この時はお互いに喋ることなく、最後に先生の提案で火の守り全員で写真を撮って終わった。

その2年後、火の守りの事など忘れて入学した中学校。
私は入学初日に家の階段で蹴躓き、アキレス腱を切った。
まだ馴染めてもいないのに、移動や運搬の際には人に助けを求めなければならない生活となった。
給食の時間、自分の分の給食の運搬を頼もうと顔見知りになったクラスメイトの女の子のニックネームを呼んで声をかけた、つもりだった。
配膳の列に対して声をかけたのに、後ろから「はい」と給食のお盆を机に置く手が伸びて来た。
びっくりして振り向くと一人の男子生徒がいて、さらに驚いた。
「ありがとう、でも、なんで?」
困惑して尋ねると「名前、呼ばれたし」と予想もしない返答が来た。
後から知ったが、自分が呼びかけた女の子と彼はたまたま似通ったあだ名であった。
しかし、入学直後の顔も覚えてないクラスメイトから名前を呼ばれたからと給食を配膳する彼はなかなかに理解しずらかった。
でも、その瞬間から彼が愛おしくて仕方なかった。
彼とは何かと話や趣味が合ったし、一緒にいて心地よかった。
休み時間になると大体自分が彼の机まで遊びに行き、ほとんどの時間を机に突っ伏して寝ている彼に構ってもらいに行っていた。
次の年も同じクラスだった。
修学旅行では自分が班長なのをいいことに、彼の班と一緒に行動するプランを立てたり(男女で別れた班分けだったが、どちらの班のメンバー同士も仲良かったからできたことだが)、文化祭の当番のタイミングを合わせて一緒に他の模擬店を回ったりと仲良くさせてもらっていた。
そんな中、クラスメイトの男女カップルが一緒に下校して男子生徒が女子生徒を家まで送ったとの話が聞こえてきた。
今思えばやめておけば良かったのだが、それがとても羨ましく、彼とは付き合ってもいない仲だったが、どうしてもしてみたいと自分が提案した。
すると、学校からの帰りが真逆の方向であるにも関わらず、気の優しい彼は二言返事で了承してくれた。
ただ、やはり元来なら真逆の方向に帰る生徒の姿はよく目立ち、翌日には各部活の顧問から呼び出された。
しかし、自分で言うのも何だが、成績優秀者上位に常に居た自分と、日中ずっと寝ている彼とでは対応が違ったのだろう。
その日から彼はもともと学校を休みがちだったが、それが常習化になり、3年のクラス替えをきっかけに全く姿を見なくなってしまった。
彼がどの程度の成績だったかは知らないが、自分の進路として選択した県内有数の進学校に行くはずがないのは分かりきっていたので、泣く泣く心の中でお別れを言い、高校へと進んだ。

高校へと進んだものの、さすがは県内トップクラスが集まる場所。
常に上位をキープしている人間は格が全く違い、自分は得意教科以外では真ん中以上の順位にはなれなかった。
正直、しんどい。
それ以外感想のない日々が過ぎ、いつの間にか受験シーズンが見えて来た三年の秋口。
その日は放課後に塾の予定があったが、どうしてもすぐに行く気にはならず、普段なら絶対入ることのなかった中古ゲームショップにふらりと入った。
店内に入ってすぐに目に入ったのは、下駄履きで熱心にゲームのパッケージに目を通している彼であった。
心臓が飛び出るかと思うくらい驚いたが、咄嗟に彼の名を呼んでいた。
彼はゆっくりと目線をこちらにやると、何とはない風に「よぅ。」と一言答えて柔らかく笑ってくれた。
その日、初めて塾をサボった。
彼とは何の話をしたかは全く覚えてないが、メールアドレスをやっと交換できたのは覚えている。
嬉しくて嬉しくて、それから何かにつけて連絡をし、たまに彼の家にも遊びに行った。
お互いに好きではあることは察しているが、それが友愛のlike止まりなのか、恋愛的要素があるloveなのかは明言しなかった。
そんなある日、図書館では人が多いと公民館の寂れた学習スペースを一緒に利用した後だったと思う。
公民館が閉まり、裏口辺りで座り込んで話をしていた。
何か恋愛的な話だったと思うが、今はもう思い出せない。
普段は横並びで話をするが、いつ、どのタイミングでそうなったかは分からないが、いつの間にか自分は彼の三角座りする足の間にすっぽりと収まるように座っていた。
無言で彼が後ろから抱きしめていて、しばらくの沈黙の後に一言だけ「ごめん」と言われ、ゆっくりとキスをされた。
そして、肉体関係を結んだ。

それからすぐに自分は県外に進学し、彼は特殊な職業へ就職した。
家を出る際に自分の荷物を整理していると、机の奥から小学校時代の宝物入れにしていた缶箱が出て来た。
中にはお気に入りだったビーズやシールのコレクションに紛れて火の守りの写真があった。
一目惚れした美少女は彼であったと、その時にやっと気付いた。

その後も何かしらの節目(大体がマイナスのイベントで気持ちが下がっていた時だった)には申し合わせたように彼から連絡があり、その都度会っては励ましや慰めを貰った。
その辺りは後日話をしようと思うので割愛。

さて、今回このノートを書こうと思ったきっかけである。
引っ越しを機に彼の近くに移り住んだのだ。
ただ、やはり友人関係の長さや、交流の薄さから関係の進展が難しく、自分からの近づき方もマズかったため彼の警戒心を強くしてしまっている。
その中で、自分がどんな行動をして関係性が変化していくかを観察しつつ、このノートに記していきたい。
それをご覧頂けることで、共通の困りごとを持つ人への一助となれば幸いです。

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