「習近平の夢」は夢のまま

「習近平の夢」は夢のまま
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」298/通算729 2024(令和6)年6/9/日】このところ室温28℃前後、まるで真夏だ。涼しい早朝7時から営繕に精を出しているものの、3~4時間で終わりにしないと足腰が痛くなる。経年劣化というやつ・・・老後は「努力はするが無理はしない」のがヨサゲのようだ。昼食後は昼寝をして気力、体力を充電し、夕方から報道や論稿をチェックしたりブログを書いたりする。

産経2024/6/4「正論大賞の江崎道朗氏『安保戦略に理解を』」東京で受賞記念講演」は良い記事だった。小生は体力がないし耳が遠いから講演拝聴は無理だが「ナマ」だと「ここだけの話ですが・・・」などというオフレコ話があってとても面白いのだろう。以下、産経から引用する。
<第39回正論大賞を受賞した麗澤大学客員教授で情報史学研究家の江崎道朗氏が4日に東京都内で行った記念講演の主な内容は次の通り。

◎日本にとって中国の台頭は一番の問題だ。習近平国家主席の下で、インド太平洋、アジアを自国の影響下に置く「一帯一路」構想が打ち出された。戦略を持たない日本が経済力も失っていった30年間、中国は経済成長を軍事、外交と連動させてきた。
中国だけではない。日本はロシアや北朝鮮にも直面している。国内の破壊工作や天災といった脅威もある。これらの問題にどう立ち向かうかが、わが国の最大の課題だ。
こうした問題意識の下、第2次安倍(晋三)政権は、課題に対処する国家戦略を策定する前提としてまずは経済立て直しを図った。若い人が就職もできない中、自衛隊だけ強くしても国は守れないとの発想だった。
安倍政権下で決定されたわが国初の基本方針「国家安全保障戦略」は、官邸主導で、軍事・外交・インテリジェンス・経済を統括する仕組み作りを狙ったものだ。その後、特定秘密保護法や安保法制や各国軍との物品役務相互提供協定(ACSA)など詰め将棋のように対応策を一つ一つ形にしてきた。

◎岸田文雄政権では安保戦略をバージョンアップさせた「安保3文書」を新たに策定した。ただ、岸田氏が閣議決定後の記者会見で「率直に申し上げて、現状では十分ではない」と述べているように現状は極めて厳しい。
また、政府だけが動いても国民は守れない。自国の安保戦略を知らないことは国民にとって大きなリスクだ。有事に際し、自助、公助、共助をどうするかの議論をしていかなければならない。政府は万能ではない。自分の身は自分で守る考えを持つべきだ。(以上)
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戦争に備えよ、ということだが、一般に庶民というのは「白河の清きに魚も棲みかねて もとの濁りの田沼恋しき」で、面白おかしく暮らせている間は危機感を持たないどころか、危機を叫ぶ人を「オオカミ少年だ、どうかしてるぜ、メシの種にしているのじゃないか」などと揶揄するのだろう。
1941/昭和16年12月8日の真珠湾攻撃で大東亜戦争が始まったが、我が父のように「大変なことになった」と危機感を持った人は多かったろうが、それを表沙汰にはできないから黙るしかなかったろう。で、多くの日本国民は「イケイケドンドン」派、「暫く娯楽は控えよう」派、「戦争特需期待」派、永井荷風のような「キリスト教国も軍国主義、儒教・仏教の日本も軍国主義、バカにつける薬なし」派のようではなかったか。
井の中の蛙大海を知らず、と言うが、当時の戦争は1、2年で休戦、3年目で講和条約というパターンが普通だったから、まさか4年も戦争が続き、さらに1945年に敗戦国になって、以来、2024年の今なお80年間も米国の属国というか51番目の州になっている・・・こんなことを予想した人は誰もいなかっただろう。第2次世界大戦は想定外の戦争だった。
「歴史は勝者が創る」と言うが、勝者=米国にとって「日本を挑発した真珠湾の罠」「フランス人住民を殺しまくったノルマンディー上陸作戦」など「不都合な真実」を暴いていく時期ではないか、と思う。「誰も書かなかった日米史 過去、現在、そして未来」なんて結構売れそうだが、高山正之氏とか細谷雄一氏、古森義久氏、江崎道朗氏など一流の識者の出番で、腰痛老人の小生には無理筋だ。

「不都合な真実」と言えば、産経2024/5/22「反スパイ・反分離主義 中国『五反闘争』宣言 内憂外患 毛時代に回帰」は習近平の狂気をしっかり報じて多いに勉強になった。以下、転載する。
<中国の国家安全省が「反スパイ闘争」や「反分離主義闘争」など5つの闘争を宣言した。「五反闘争」は習近平」は建国直後の1950年代初頭、社会主義建設の障害となる思想を一掃するために展開された社会改造運動「三反五反運動」になぞらえたものだ。国内での経済低迷、米欧との対立長期化という内憂外患を抱える習近平政権は、権力維持のために、毛沢東時代のような強固な独裁に回帰しようとしているようだ。(桑村朋)

「五反闘争」が打ち出されたのは4月29日、共産党幹部の養成機関、中央党校の機関紙「学習時報」1面。「国家安全保障の揺るぎない保護」と題する陳一新・国家安全相の論文が掲載された。
◎強力な壁と鉄壁の長城: 陳氏はこの中で、習近平総書記(国家主席)が提唱する「新時代の中国の特色ある社会主義思想」を称賛した上で、「五反闘争」を徹底的に行っていくと宣言した。「強力な国家安全保障の壁を構築する」という。
「五反」は具体的に、「反国家転覆、反覇権主義、反分離主義、反テロ、反スパイ」を指す。
「反国家転覆」の説明では、対外的に「鉄壁の長城」を築いて反中勢力などを取り締まり、対内的にも政治的安全に影響を及ぼす土壌を根絶するとした。誤った思想潮流からインターネットや学校を守ると強い表現で記されている。
◎反革命勢力取り締まり: 「反スパイ」についての段落は、昨年7月に施行された「改正反スパイ法」の実施を徹底すると説明。「毅然とした態度で(国家の障害となる)『くぎ』を掘り出し、裏切り者を排除しなければならない」とある。
「五反」は毛時代の「三反五反運動」を意識したものだ。建国後の中国には国民党の残党や共産党への各種の抵抗勢力があり、官僚の不正や資本家の汚職もはびこっていた。このため共産党は、「公務員三害」(汚職、浪費、官僚主義)と「資本家五毒」(贈収賄、脱税、原料のごまかし、国家財産詐取、国家情報漏洩)を取り締まる運動を打ち出した。旧社会の思想を一掃し国内の統制を強めた結果、資本家らが党と国家に従属し、社会主義の土台が固まったとされる。
◎強固な独裁権力維持へ: ただ、この過程では、党に不満を持つ「反革命勢力」を含め、多くの人が逮捕され、拷問されたり死刑にされたりした。過剰な運動によって社会の混乱と経済活動の停滞を招いた面は否めず、社会に緊張を生んだ運動だとの見方も根強い。
習氏が党総書記3期目に入った2022年以降、政権は規律検査を強化して国内の反発を封じ、反スパイ法などで外国人・企業の摘発を強めてきた。体制に脅威を与えるとみなす者を「国家安全」の名の下に監視し、取り締まってきた。陳氏の論文は、この路線をいっそう推し進める決意の表れだといえる。
カナダ・クイーンズ大学の頼小剛・非常勤助教授は米政府系メディア「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA、中国語版)に対し、「新五反」宣言は、習氏の中国が「毛沢東時代に戻る」ことを予見させると指摘した。
中国では習政権の発足以降、経済低迷や、西側諸国による中国経済の「デカップリング(切り離し)」などの困難が続いている。
頼氏は、党が権力を維持するには、毛時代のような強固な独裁体制に戻るしかないのではないかとみている>(以上)

毛沢東の真似っ乞食、習近平。その習近平にべったり寄り添い出世して美味しい思い、つまり金儲けをしようとする銭ゲバたち・・・漢族4000年の歴史は「私利私欲」の歴史と小生は軽蔑しているが、1911年の辛亥革命でも臨時大総統の孫文は安全地帯でカネも集まる“母国”の米国にさっさと逃げてしまった。漢族は「良い鉄は釘にはならない」と兵士をゴロツキ、ろくでなしとトコトン侮辱してきたから、現在でも国家、国民のために命懸けで戦うなんていう勇武の精神があるわけがない。中共軍も私利私欲にいそしんでいる。

習近平は箔をつけるために台湾軍事侵略を叫んでいるが、まるでオオカミ少年、口先だけで、実際に開戦すれば中共軍もかなりの死傷者が出る。「金儲け命」の私利私欲の国民、子供はほとんど一人っ子、その大事な子供が徴兵されて台湾で戦死・・・民は習近平と中共を激しく憎悪し、習近平一派は排除され、中華人民共和国は再びトウ小平式「改革開放」に戻るのではないか。
習近平はそういうリスクを知っているだろうが、台湾奪還は「建国の父」毛沢東と並ぶ「発展の父」を目指すためにどうしても必要なのだ。「何が何でも戦争したい、勝利したい」と病膏肓、結局、圧政で国民を押さえ込むしかないが、21世紀版の辛亥革命や軍閥の台頭という、想定外の事態を招くことになるかもしれない。小生はそう思っており、できればいくつかの国に分断すべきだと期待している。

産経2024/5/21、村井友秀・東京国際大学特命教授の「正論 共産党の私兵組織 中国軍の弱み」は刺激的だった。以下、一部を転載する。
<各国政府は二本の柱、すなわち国民の同意と国民を強制する力によって支えられている。民主主義政権は国民の同意により、独裁政権は強制力により支えられている。中国共産党の権力を支える柱は国民の同意ではなく、軍や警察といった強制力である。
共産党を支える軍の第一の任務は反革命勢力の打倒であった。外国の正規軍ではない国内の反革命勢力を打倒するのに高レベルの軍事能力は不必要である。したがって、中国軍幹部に要求される資質として、共産党への忠誠心が戦闘能力よりも優先された。
中国軍では、戦闘指揮官としての能力は高いが共産党への忠誠に疑いがある軍人(専)よりも、戦闘指揮官としての能力は低いが共産党への忠誠には疑問がない軍人(紅)が高いポストについてきた。

しかし、今、中国軍には米軍との戦争という大きな課題が突き付けられている。現在、中国では国内治安維持の要であった陸軍が削減され、外国との戦争で重要な役割を果たす海軍やロケット軍が増強されている。共産党が人気取り政策として「中華民族の偉大な復興」を掲げ対外進出を図る限り外国との衝突は避けられず、「専」の軍人を重視せざるを得ない。
「専」の軍人を重視すれば、中国軍は「共産党の私兵」から「国軍」へと変質せざるを得ず、共産党は軍を信頼できなくなる。世界初の空挺部隊や機械化部隊を発案し、強力なナチス・ドイツ軍に勝利したソ連赤軍は、ソ連崩壊に際して共産党を支持しなかった。人民解放軍の近代化は共産党支配に深刻な矛盾をもたらすだろう>(以上)

中共軍は「私利私欲の利権軍人」対「私利私欲の利権党人」の縄張り争い=利権争奪戦が一層激しくなるかもしれない。習近平は軍人を手なずけるために軍事費を拡大してきたが、ちっともなびかないので無為徒食の「利権軍人」の整理を始めたということだろう。代わりに元気になるのは無為徒食の「利権党人」で、彼らはクソの役にも立たない寄生虫で質が悪いから、軍の近代化なんぞそっちのけで財布を膨らますだけである。

かくして「習近平の夢」は夢のままで終わりそうだが、強権独裁、経済低迷、台湾侵略失敗となれば「利権軍人」のクーデターで処刑されるのではないか。それを裏で支援する欧米日加豪は狂喜乱舞し中国を分割統治し、「二度と戦争できない国」にするはずだ。これに成功すればロシアも北朝鮮も弱体化、やがて赤色独裁国家は地球から消えるだろう。ま、自由陣営の為政者次第だが・・・
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*読者諸兄の皆さま、御意見を! ishiifam@minos.ocn.ne.jp
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渡部亮次郎 「頂門の一針」ryochan@polka.plala.or.jp
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