ヴィータと火音坊ちゃんと俺と紫音坊ちゃん

 いつも通りに、昼飯食って、退屈しのぎにゆっくりしていたら、たまたま通りがかった火音坊ちゃんとヴィータがいた。
 ヴィータはドラゴンでありながら、猫にもなれるという不思議体質である。拾った頃から、結構長く一緒にいるが不思議なことが尽きない。

「火音坊ちゃんたちよ」
 手を上げて挨拶をする。すると、二人はこっちに気がついて、近寄ってきた。なんだなんだ?

紫音「二人ともこんなところでなにをしているんだ?」
火音「ああ、お土産を買いに来たんだ。な?ヴィータ」
ヴィータ「ああ」

 火音坊ちゃんと紫音坊ちゃんは双子で、そっくりである。炎の国の第二王子と第三皇子。まあ、ドラゴン族だが。
ヴィータは肉まんを手に取って、食べ始めた。どこから取り出してきたんだ?

紫音「それなら、特に美味しい肉がタミが仕入れていた。だから食べるといいぞ」
火音「そうか、タミが帰ってきているのか。あのおっさんは、とても強いし美味しい料理を作ってくれるから好きだ」
ヴィータ「俺は?」
火音「ヴィータは別。愛してるからな。あのおっさんは、ただの友愛だよ」

 ヴィータはそれを聞くと満足気な顔をしていたが、どこかほっとしているようだった。
 服を引っ張られる。なんだろ、と思って見てみると、そこには、二人の子供が立っていた。

「學と風鈴。なんでここ」

紫音がとても嬉しそうな顔をして、抱き上げる。
全く、子供には甘いんだから。

紫音「保育園と学校はどうした?」

學「今日は抜け出してきました」
風鈴「うん、俺たち、今日は抜け出して、パパたちの所に帰ってきたくなった」

「おーい、デレデレするなー」
火音「相変わらず、親バカだな」
ヴィータ「帰ろうぜ、俺らの子供も待ってる」
火音「紫音達見てたら恋しくなったな。帰ろうか。タミには、また今度お土産、持っていこう」
ヴィータ「ああ」

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