群馬のエメラルドを求めて
ご無沙汰しております。主です。最後の投稿がいつだったかもわからないくらいさぼってしまいました。
さて話は変わりますが8月のインセクトポート、9月のインセクトフェアに標本屋 筬菱会(おさびしかい)として出店しました。
ご来場いただきました皆様へ、誠にありがとうございました!
次回2月23日のインセクトポートにも出店予定でございます。皆様のご来場心よりお待ちしております。
そして遡る事9カ月前、2024年2月。
インセクトポート出店の声が掛かったころ。
主はあるオサムシを求め群馬へ向かいました。
そのオサムシはCarabus(Ohomopterus)insulicola okutonensis…
そうです。オクトネアオオサムシです。
名前にある通り奥利根に生息するアオオサムシ亜種で本種は濃く美しい緑が特徴のオサムシです。
アオオサムシはいくつか亜種が存在しますが、オクトネは全亜種の中でもトップクラスの採集難易度だと言います。特に冬季の採集はかなり渋いとのこと。
そんなことを調べもせず、SNSにアップされたオクトネのあまりの美しさに魅せられた主は後先考えず採集に向かうのでした。
2月16日 主は夜行バスで東京に降り立った。いつも通り八重洲で朝マックを食し、目星をつけた群馬県某所に向かう。
電車に揺られること約3時間。ポイントに到着。
ポイント的にはミヤママイマイカブリ(D.b.cyanostola)も採れるはず!
そこそこ広く朽木も多い。これは良いスタートが切れるぞぉ~
と意気込むこと5時間なんんんんんんんにもいない。。。。
材のフレークからはアオゴミムシやコクワ等いつもの面々が登場
しかしそれ以外かすりもしない。
ヒメもサドもキタ、コアオ、ルリオサも採集してきた。地元ではそれなりに数もこなしてきた。これまでのオサ堀経験をフル活用している。
なぜだ・・・なぜなんだ・・・どう考えても当たりな場所から何にも出ない。
GoogleMapで見ていた時、ここで決まるだろうと思っていた自分が憎い
当然だが自然相手、こんなことはざらにある。が心に来るものがある。
夜行バスとは言え諸経費を考えればそれなりに金がかかっている。
一人新規開拓を初めての地で行う時は各方面からプレッシャーや焦りが襲ってくるのだ。
期待大のポイントに敗北した主、
落ち込んでる暇はないので次のポイントへ急ぐ。
30分ほど歩き第2ポイントへ。目ぼしい材はないが土手沿いの藪に掘れそうな崖が広がっている。
良さげなところを片っ端から探っていく。
すると崩した土砂から見覚えのあるパーツが見えている。
!!!!!!オサムだ!!!!!!!!!!!やっと遠征第1号となるオサムシを採集!
がしかし体色は銅っぽい。もとめていた緑とはかけ離れたカラー。見た目は完全にアオオサのそれだ。地域的にも間違いない。オクトネだ。オクトネアオオサも当然個体差がある。このポイントでは計3匹のオクトネを採集することができたが全て赤銅色。
堀での採集が難しい種だしうれしい。だが求めているのは息をのむようなあの美しい緑。
その後あたりは無く遠征初日を終えた。
6時間以上歩き回って3匹。採れただけでも御の字ではあるが悔しい。
ここで初日の疲れがどっと押し寄せたのか両太ももが同時につった。
背中から倒れこむ主。立ち上がろうとするとさらに痛み起き上がれない負のループ。
体中に大量のひっつきむしをつけてポイントを後にしたのであった。
電車で少し移動して向かうは温泉。
疲れた体と心に天然温泉が染みる。2月の寒空の下で浸かる露天風呂は形容しがたい至福の時であった。
2日目
遠征最終日、初日の不振を挽回すべく昨晩再検討したポイントへ向かう。初日の渋さが悪さをして良いイメージが湧いてこない。
向かったのは昨日とは別の河川。
良ポイント衛星写真詐欺常習犯GoogleMapとの勝負の行方やいかに
1時間ほど歩きポイントへ到着。
目についたのは洪水で流されてきたであろう大量の朽木、木の又に溜まった土溜まり、土たっぷりの根返り。
これらを見た瞬間一気に視界が広く澄み渡っていく。
過去の勝利の記憶が一気に呼び起こされるようなそんな感覚に体が支配されていく。
手始めに根返り周辺を描き出すとその時は突然やってきた。
目に飛び込む不自然に眩い緑色の輝き。
間違いない、これだ、これがオクトネアオオサムシだ!!!!!!!!!!
あまりにも突然すぎて手が震える主。
深く濃い緑はまさにエメラルド。ルリオサとはまた違った美しさを持っている。
この瞬間ずっと押さえつけていたプレッシャーと焦りから解放されたのか体がスッと軽くなったことをよく覚えている。
最終日に最高のスタートを切った主のエンジンは某とうふ屋の86の如く勢いよく吹きあがる!
お次はお手本のような立ち枯れの先端部に溜まったフレークを描き出す。
すると何か黒っぽい甲虫が出てきた。コクワか、、、、?
いや違う!これは!!!!!
!!!!!!!!!ミヤママイマイカブリだぁぁぁっぁぁぁぁ!!!!!!!!!!
さすがヒメとコアオの移行帯、前胸の蒼が美しい。某河川のヒメとは違い瑞々しい蒼だ。今回の遠征の目標はこれで達成。一安心である。
その後も土溜まりなどからミヤママイマイをテンポよく採集。10匹ほど採集することができた。
途中オクトネも一匹追加。オクトネは運よくペアでそろえることができた。
ミヤママイマイはヒメとコアオの移行個体群ですが見分けるポイントとして、前脚フセツに絨毛を持つオスとそうでないオスが混ざっているかを見る必要があり、数いないと比較ができないわけであります。
今回オスもそこそこ採集でき無事?絨毛があるオス無いオスが混ざっていました!ミヤマです!いぇい♪
ということでなんとか採集らしい成果をあげた主は早々に撤退。
駅の自販機で祝杯を挙げるのであった。
ハイになったところで主は初日に訪れた温泉へ(あまりにも良かったので)
15時ごろに温泉へ到着(ポイントから結構離れてた)
露天風呂へ出ると素晴らしく澄んだ青い空が広がっていた。
明るい時間帯の露天風呂という背徳感MAXのシチュエーション、目標を達成した喜びと心地よい疲れを温泉が優しく包み込んでくれる。
温泉につかりながら今回の遠征を振り返る。初日の焦りと絶望は自身の下調べ、準備不足を思い知らせてくれた。たかが虫捕りとは言え貴重な休みとそれなりの金がかかっている以上失敗はできないのだ。
結果的に目標は達成できたがかなりリスキーな採集であったことに違いはない。もっとしっかりポイントを見極めていかなければ。
こうして何とか目的を達成した主は試される秘境、群馬を後にした。
帰りももちろん夜行バス。乗る前に第二の故郷秋葉へ。
神田明神で参拝のち帰路につくのであった。
最後にTGで撮影したオクトネアオオサムシを載せることにする。
これぞオクトネグリーン。どうぞご覧あれ
それでは!