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辞めないで、君が必要だっていえますか。(前編)


「退職しようと思ってます。ここじゃ正社員になれないので生活安定させたい」
「職場に不満はないです。だけど、なんかこのままじゃいけないと思って」
「30代に入るので、そろそろ環境を変えようかなと」

契約面談時、後輩達からの次回更新を行わないという退職希望。
契約社員であるため、例年1〜2名の退職は通常であったが、今回ばかりは違った。
現場の主力クラス3名が一斉に退職希望を申し出た。

そこから事件は始まった。

主力メンバーの退職を本人達から聞いたのか
元々面談で更新予定だった他のメンバーが次々と態度を変えてきたのだ。

「すいません、更新予定してたんですけどやっぱ辞めたいです。」
「特に理由ないんですけど、なんとなくこのままじゃいけないって」

どこかで聞いたセリフ。。
所謂、「あなたが辞めるなら私も辞める」というやつだ。
最終的に主力メンバー8名全員が退職希望を申し出た。

今、新規採用しても退職者分の人は集まらない。
人が欲しいのはウチのチームだけじゃないからだ。
現状でも、アイデアを出しながら少ない人数でギリギリで現場を回している・・・
主力8名が退職したらどうなるか考えたくもない。

そんな中でのチーフマネージャー昇格。
素直に喜べる状況ではなかった。
しかも前任者である、当時の上司からは

「俺は去るものを追わないから退職を止めない」

       かっこいいセリフだけどさ・・・じゃあ、現場どうすんだよ・・・

新規採用も業務の効率化も限界。
現場を回す為に今できることはただ1つ、退職希望を出しているメンバーに
続けてもらえる様に話し合うこと。
それが私のチーフマネージャーとしての最初の仕事でした。

結果を先に言うと、退職希望を出していた8名中、6名が退職しました。

あなたはこの結果を見てどう思いますか?

「やっぱり辞めないでなんて説得しても意味はない。前任者が正しかった。」
「退職決断に至る理由や根本を直さないと。退職しない様に説得ってブラック企業と同じ考え方じゃん。」おっしゃる通りです。とってもとっても理解できます。

まず誤解を恐れずにいいますが、私自身、本当に退職したいなら意見を尊重する、というか応援するよ。という考え方です。いくら現場人数が足りないとはいえ、たった一つの人生ですから。それは当時から今でも考え方は変わってません。
いきなり守りに入ったか!と思われそうですが(笑)

実際、6名の退職者の中でもビジョンを持ちながら次のステップへ行きたいというメンバーに対し引き留める様なことはしておらず、寧ろ頑張れと背中を押しています。
その逆も然りで、メンバーがこの職場で働いてることがベストではないということもあります。辞める時はポジティブな場合でないことの方が多いと思います。
そういった状況下で引き留める様なことはしません。

ただ、退職希望者と本気で耳を傾けていると中にはなんとなーく退職を希望する子がいたり、考え方変えてウチに残った方が絶対得じゃね?と思う子がいるわけです。チーム事情は関係なく・・です。

勿論、退職希望を出しているメンバーは辞めたいわけですから、上司である私達に「理由なんてあまりなくて、なんとなーく辞めたい」なんて言えませんからそれっぽい理由をつけて退職希望を伝えてきます。メンバーの発言した言葉だけに囚われて、メンバー自身も気づいていない本音を理解できているのかがポイントです。

「会社を辞めたいというメンバーに上司や先輩が本気で向き合えているのか?」

私の最初のミッションである、退職希望者を説得することに対し、
6名の退職というのは事実だけで見れば失敗だと考える方も多いと思います。
実際、私自身もこのミッションは失敗談だと思っています。
しかし、それは「8人のうち、6名が退職したという数字」ではないのです。
数字(成果)という観点でいうなら、

退職者6名のうち2名は他人に流された退職理由にも関わらず、
私がこの職場で働くメリットややりがいを伝えることができなかったこと。
これが私が考える、「成果」という視点で見た失敗です。

数字だけを追うと、退職希望者を何がなんでも止めるブラック上司になります。
だからと言って理想論だけを追いかけると現場は回らず、退職者にとってはいいかもしれませんが、残っているメンバーが疲弊します。

中間管理職が挟まれるのは人だけじゃない。現実と理想にも挟まれます。
世知辛い役割ではありますが、そこで大事なのはどっちが正しいかを判断するのではなく、どれだけベクトルが違う両方の考え方に向き合いながら折り合いをつけるかなのです。

当たり前のことだと思われるかもしれませんが、私が今まで見てきた
「仕事のデキナイ中間管理職」はこの当たり前ができていないんです。
そして私自身もチーフマネージャーでいる間、どんな課題においても、
理想と現実の間に挟まれました。

私のミッション「退職希望者を説得する」に関しても
そのまま言葉の通り実行して退職者を減らす・・・という
成果を出してはいけないと思ってます。

管理者は去るもの追わずが正しいのではなく
去るものを説得して会社に残ってもらうことだけが正しいわけでもなく

ひとりひとり向き合って、従業員とチームがwinwinとなる答えを見つけていくしかないのです。

では具体的にどう行動すればよかったのか。
後編では、そこを記載しますね。

長文、ご覧いただきありがとうございました。





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