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働きながらUoPeopleでMBAを取った話-UoPeople MBAの各コースで学ぶ内容について

こんにちは。Abyssです。

UoPeople MBAのコース最終成績がようやく出揃い、Graduation Certificateを米国から日本に発送する手続きを行いました。

手元に届くまでに暫くかかるようですが、楽しみです!

さて、今回はUoPeopleのMBAの各コースで勉強する内容について、お話したいと思います。


What Do You Study at UoPeople MBA?


よく、MBAやビジネススクールは、俗にいう「人・モノ・カネ」について学ぶところだといわれておりますが、UoPeopleのMBAもその3つに関わるものを広く浅く学ぶコースという印象です。

具体的には、以下の科目を学びます。各コースの羅列だけではわかりづらいと思うので、Abyssの独断と偏見に満ちたそれぞれの科目の簡単なレビューも加えました。 

具体的なCourse Descriptionは、大学のGraduate Catalogからも確認できます。

Foundation Courses


UoPeople MBA生が入学したらまず最初に取る科目群です。この3科目を所定の成績でPassすると、Degree Seeking Student(正規学生)として認められます。なお、Degree Seeking Studentには、大学のメールアドレスの付与や、Microsoft Office 365が無料で配布されるなどの特典があります。

BUS 5110: Managerial Accounting
Foundation Courseの中では一番最後に取った科目と記憶しています。なぜなら数学苦手、計算苦手の完全文系のAbyssにとっては鬼門だったからです。

悪戦苦闘しながら学びましたが、ここで学んだ内容は今の会社の業務でも非常に役立っています。「管理会計は全てのビジネスの基礎」ということが頭に叩き込まれました。

グループワークは計算問題が提示され、それに対して回答していくという内容でした。私以外は全て中東勢。自分がリーダーシップを取っていたものの、それがメンバーの一人の反発を買い、途中からはその人がリーダー役になる事に。その人は計算は間違いなくできていましたが、独善的な学生で、同じグループメンバーからの反発は大きかったです。グループ課題を提出してからはノーサイドになり、お互いの健闘を讃えあいましたが、この時の経験から、グローバルでの環境下においても、Leadershipと同じくらい、Followershipも大事ということを学びました。(個人的にこれは非常に大きな発見でした。)

また、このグループ課題は私の担当していたパートの計算ミスでAが取れず、グループワークの結果が却ってきた時に同じグループのメンバーには平謝りしていました汗。

BUS 5112: Marketing Management
Foundation Courseの中では二番目に取った科目。マーケティングは既にその概念を理解していたので、非常に楽しく学べました。UoPeople MBAで初めてAを取った科目と記憶しています。

科目としては楽しく学べましたが、著しく低いpeer gradingを行うクラスメイトや、それを完全放置しているcourse instructorとはコース最終週直前までお互いぶつかり合っていたと記憶しています。個人的には、このコース履修を通じて、オンライン教育の「光と影」を垣間見た気がしました。

また、コースで学んだ自体は楽しかったものの、課題のボリュームはかなり多く、週によっては指定されたReading Assignmentsが計250ページ以上に及ぶこともありました。

BUS 5113: Organizational Theory and Behavior
Foundation Courseの中で一番最初に取ったコース。組織運営や人事に関連する内容を学びました。人間心理学なども関係する内容で、コースを取るまでは自分としては明るい分野と思っておりましたが、それまで知らなかった理論が沢山登場し、多くのことを学ぶことができました。

UoPeople MBAの最初のコースで気合を入れて勉強した科目ということも影響したのか、組織論の勉強自体が好きになりました。

Core Courses


全科目履修必須のコース群。文字通り、UoPeople MBAの中で中核を成す科目ばかりです。ここからFoundation Coursesで学んだ内容をベースに、更に深く経営管理学を学んでいきました。

BUS 5111: Financial Management
UoPeopleの中で5番目に取った科目と記憶しています。Managerial Accountingで学んだ管理会計の内容をベースに、財務会計も学んでいきました。B/S、P/Lの読み方などはここで学ぶことになります。(逆に学ばなければcreditsが取れません笑)

ここでのグループ課題も、計算問題を解いていく内容だったと思いますが、Managerial Accountingと比べるとよくも悪くも印象は薄かった気がしています。最終成績はB -で、あまり芳しくはなかったです。

BUS 5114: Management Information Systems and Technology
Information Systemsでビジネスに関することを学ぶコースで、IT開発現場でのアジャイル開発や、今年の3月に亡くなられたGordon Mooreさんの名前が冠されたMoore's lawなどを学ぶことができました。

コースのレビュー内容から少し外れますが、今学んだ内容を振り返ってみて、このアジャイルの概念は、何事に取り組むのも一歩遅れがちな日本企業にも特に有用なソリューションではないかと思いました。特にIT開発においては、まず小さく試してみる、ということができるため、トライアル&エラーを繰り返している会社とそうでない会社の差がどんどん開いていきます。その観点で世界を見渡すと、Teslaのように自動車のような重厚長大なモノづくり産業でも、アジャイルの概念を持ち込み、EVのような新規事業でトライアル&エラーを繰り返していた企業が結果的に成功を収めています。ビジネスが飽和状態になりつつある今、いかに早くファースト・ペンギンになれるか、ということが重要なのかもしれないと改めて思いました。

BUS 5115: Business Law, Ethics and Social Responsibility
ビジネスに関連するLawやEthics、ESGの部分まで広く学びます。倫理学・哲学は大学の時にJohn Stuart Millなどを独学で勉強しており、好きな学問の一つだったため、自信はあったのですが、UoPeople前半戦の中で一番良い成績を収めることができました(確か97点)。グループ課題がなく、全て自分のペースで課題を進めることができたのも奏功したのかもしれません。クラスメイトと企業倫理等のテーマについて意見を交わす毎週のディスカッションが楽しみな科目でもありました。

どんなに有能なビジネスマンであっても、経済合理性だけを追求していけば、いつか必ず行き詰ります。その時に大切な役割を果たすのが、個人の倫理や哲学ではないかと思います。特にコロナ後においては、社会全体をeco system(生態系)の一つとして捉えながら、ビジネスを行うことがより重要になってきていると感じています。非財務的な企業価値として、近年SustainabilityやESGなどの項目が重要視されてきているのはその象徴的な出来事と言えるでしょう。このような社会情勢の中で、UoPeopleはこの科目をMBAコースの必須科目の一つとし、ビジネスマンとして、何より個人として大事な倫理や哲学を醸成しようとしている事は、高等教育機関として素晴らしいと、個人的に思いました。

BUS 5116: Operations Management
Operations Managementの基本的な概念から、Supply Chain Managementまで、オペレーションに関わることを幅広く学びました。

Operations Managementについては、主に製造業がケースとして取り上げられる事が多いと感じました。恐らく一番概念として理解しやすいからだと思います。科目履修中に、日本企業、特にカイゼンなどに代表される、トヨタのオペレーションに関連することをよく学んだ気がします。これは、日本の製造業のOperations Managementが世界のお手本になっているからです。

現在、自動車業界は群雄割拠の時代であり、トヨタですら安穏としていられる状況ではなくなっていると思いますが、コースを通じて日本企業のオペレーションは何故世界トップ水準であるかを学ぶことができると思います。

この科目はcourse instructorがそれまでのクラスの中で一番厳しく、Discussion Forumの内容やフィードバックが基準に満たないクラスメイトは厳しい指摘を受けていた記憶があります。また、グループワークもアメリカ人のネイティブと同じチームでしたが、instructorの求める水準を満たすためにかなり苦労した記憶があります。最終的にPowerPoint15枚ほどを同じグループのメンバーで書き上げて提出して、総合成績A-を取る事ができたのは今では良い思い出です。

BUS 5117: Strategic Decision Making and Management
Core Courses内での一番の山場のコース。
新しく学ぶStrategic Decision Makingに必要な理論に加えて、それまでFoundation Courses、Core Coursesで学んできたことの応用が求められます。ケース課題もかなり出題されます。これには正解はありませんが、それまでに学んできたことから回答を導き出す必要があります。

中盤戦最後の山場で、求められる勉強量に加えて、越えなければならないハードルもかなり多いですが、ここを超えると学位取得が見えてきます。

Elective Courses

4科目のうち3科目選択が必須のコースで、選択した科目を学んでいきます。

BUS 5511: Human Resource Management
HRに関する内容を、Cultural Studiesなどの視点も交えながら深く学んでいきました。BUS 5113の応用編、という感じで、学んでいて非常に楽しかった記憶があります。

International Assignmentを課せられたExpatがカルチャーショックを受けないようにするにはどうすればいいか、といった、HR担当者なら学んでおきたい実践的な内容も勉強します。course instructorはインドの超一流大学でDBAを取得した、クラスでのencouragementを引き出すのに長けた素晴らしい講師の方でした。

グループワークでは、メンバー全員が活発に意見を交わし、UoPeople MBAコースを通じて初めて、こちらがリードする必要がありませんでした。グループワークのトピックを決めるにあたっては、私自身は最初このトピックに賛同しておらず、リーダー役のカナダ人とぶつかりましたが、カナダの一流大学を卒業した非常に優秀なクラスメイトで、議論の運び方、メンバーの巻き込み方などに内心感心していました。最終的に私が賛同していないトピックで課題を作成することになりましたが、提出後すぐに100点満点の結果がcourse instructorから返ってきて、皆で喜びを分かち合いました。

コース全体の成績としても、98点を取りました。これはUoPeople MBA全体を通じて一番良い成績でした。

BUS 5211: Managing in the Global Economy
コース全体を通じてCultural Intelligence(CQ: 文化の違いを超えて円滑にコミュニケーションすること)がキーとなる科目でした。タイトルにGlobal Economyがついているので、もっと包括的に経済学について学ぶのかと思いましたが、実際にはCultural Studiesの視点から考察することが多いコースでした。個人的には、BUS 5511とかなり勉強する内容が近いと感じました。

グループワークは課題全体の統一性が求められたため、メンバーとの方向性を合わせることにかなり注力しました。アフリカ勢、中東勢と組んだのですが、中東の方のCitationの仕方を注意したところ、グループの雰囲気が険悪になりました。個人的にはその人のことを思って注意したことが受け入れられなかったことは残念でした。それでも、課題はなんとか提出して92点を取る事が出来たので、状況が厳しい中でもリーダー役としてやりきって結果を出す経験ができたことはよかったと思います。コース全体としてもA-の成績で終えることができました。

BUS 5411: Leading in Today’s Dynamic Contexts
Autocratic(独裁型)、Democratic(民主型)など、色々な型のリーダーシップについて学ぶコース。この時期、上司との関係性に悩んでいたこともあり、ビジネスの世界ではどのようなリーダーシップの形があり、何が最適とされるのか、個人的にも知りたい欲が高まった時期で、色々な理論やケーススタディが自分の中にすっと入ってきました。個人的には、Transformationalリーダーシップ(日本語に訳しずらいので、詳細な説明についてはこちらをご参照ください)が自分が理想とする上司像に近く、将来そのようなリーダーになりたいと思いました。

このクラスで一番思い出深かったのは、自身初となる海外でのクラス受講と、それに伴うアクシデントでした。事前に海外旅行が決まっていたのですが、シラバスを先に読んで、この旅行期間中にこのクラスを取りたいと思っていました。なぜならこのクラスではグループワークがなかったからです。なるべく早め早めにという思いで進めていましたが、PCを国際線の機内に忘れるというアクシデントがあり、海外に渡航しても課題を進めることができない期間が1週間ほど続きました。その間、course instructorには課題提出を待っていただきました。PCを忘れた時点で半分dropしようかと思っていましたが、なんとかあきらめずにコースを完走できたのはこのinstructorのおかげで、 今でも非常に感謝しております。

BUS 5611: Managing Projects and Programs
名前の通り、プロジェクトマネジメントがメインのコース。Abyssは最終的にこのコースを取りませんでした。理由はグループワークの配点が高かったからです。経験上、グループワークは誰と組むかが非常に大事と理解しておりましたので、その点、かなり運に左右されるところが大きいと思いました。また、グループワークメインということは、個人の裁量が相対的に小さくなるのではと思い、会社での業務が忙しくなると対応が難しくなるのではないかという懸念がありました。しかし、逆にグローバル環境下でのリーダーシップやマネジメント能力を鍛えたい人にとっては、これほどうってつけなコースはないのではないかと思います。

Capstone Project 


BUS 5910: Management Capstone
これまでMBAで学んできたことの応用編。コース全編に渡りケーススタディが与えられ、それを学んできた理論などをベースにどのように解決していくかが求められます。

全て応用なので逆に簡単と思っておりましたが、この時のReading Assignmentもかなりボリュームがあるものが多かったです。最後なのにまだあるのか、とも思いましたし、文字通りラスボス感がありました。

Final Paperという、ミニ修士論文のようなものを最後に書く必要があるのですが、これはコース開始されたら一日でも早く着手した方がよいです。なぜならFinal Paper関連の配点はコース全体の半分を占めるからです。自分自身、Final Paperのoutlineは第2週目までに固めていました(それでもrewriteし続けて最後に提出したものは当初想定していたものとはかなり異なりましたが)。Paper提出前にはcourse instructorとPaperのDefenseのようなセッションが行われ、そこで得たフィードバックをPaperに反映して提出、晴れて卒業が確定しました。

思いのほか、各コースのレビューが長くなりました。ここまでお読みいただきありがとうございました。

Abyss

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