鑑賞の思い出その2 『ブルーアーカイブ The Animation』

基本情報

原作:NEXON Games『ブルーアーカイブ-Blue Archive-』
主演:小倉唯 (花守ゆみり、三浦千幸、大橋彩香、原田彩楓)
シリーズ構成:大野木寛、山岸大悟
監督:山岸大悟
OP主題歌:アビドス高校対策委員会「青春のアーカイブ」
ED主題歌:アビドス高校対策委員会「真昼の空の月」
あらすじ:数千もの学校によって形成された学園都市「キヴォトス」は、少女達が銃を片手に闊歩する危険な世界。その中の一校であるアビドス高校は砂漠化などを原因として全校生徒が砂狼シロコ、小鳥遊ホシノ、黒見セリカ、十六夜ノノミ、奥空アヤネの僅か5人になってしまい、学校としての機能はとうに停止していながらも残った5人は廃校対策委員会として借金完済に勤しんでいる。そこに、キヴォトスの統治機構である連邦生徒会から大人として「先生」が派遣されてくる。

この作品はテレ東系列の2024春アニメで、同じ日曜日に見ていた2番組(アクマゲームと乃木坂工事中。というかデスゲームものの実写ドラマとソシャゲ原作アニメとアイドルバラエティ番組って3つとも趣味違いすぎ……)の間に挟まった時間帯に放送されていたのでついでに見ていた感じ(裏にTBSの「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる」というのもあったけどあっちは稀に放送が遅れるので乃木坂工事中と同じチャンネルのこちらを優先)。まあ単純に覇権ソシャゲとやらに興味もあったけど。

で、世間的には原作ゲームの圧倒的シェアを背景に覇権候補として結構な期待を受けてスタートした本作でしたが……まあ結論から言いますと面白いという言葉をあげる訳にはちょっといかなかったかなあ…。
そもそもが興味本位での視聴とは言え、
・1話から頭の輪っかとか少女と獣人とロボしかいない人口構成とかカタカタヘルメット団とか世界観が独特過ぎる上に初見層への説明が上手くないし(これに関しては調べたところゲーム既プレイなら分かるというものでも無いらしい)、
・原作ゲームのプレーヤー兼主人公に相当する「先生」の挙動を上手くアニメの脚本に落とし込めてなくて(原作だとプレーヤーとしてバトルの操作をしてるのであろう箇所で「◯時の方向から回り込め!」的な初歩的な指示しかしてなかったり)全体を思い返してもこいつ何か役に立ったっけ?って印象だし、
・5話のラーメン屋爆破からの一連の流れが爆破実行も超展開なら和解・共闘も超展開で必要なエピソードに思えなったし(真相も知らないまま謝罪もされないまま店だけ屋台になった柴大将かわいそう)、
・大した意味もなく(意味が0とは言ってない)水族館滞在で尺を使い果たした8話や中盤のホシノの独白がちょっと長すぎた12話など尺配分も上手くないし、
・そもそも大砂漠のど真ん中の近未来的都市にある銃火器持ち込み上等な学校が舞台で「青春」をメインテーマに据えられてもピンと来ないし……

個人的に何とも言い難い作品になってしまった理由としてはやはりソシャゲのストーリーを映像作品に置き換える作業の難しさがあるのでしょう。ゲーム本編では先生には姿も声も無いけどアニメではそういう訳にもいかないし、全体的に手探りでやってる感じが凄かった。

それでも推しがフルボイスでヌルヌル動くのが見たい原作ファンだけ喜ばしておけば商品としては成功できる……と思いきやそちらの方にも茨の道が(一部キャラのサプライズ登場などのファンサービスは素直に高評価された)。
まず先生が普通に固有の姿を持つ成人男性として描かれることに対してティザーの段階で一部からキモいとか女にしろとか猛バッシングが飛んでくる。でもこの有男不玩(主に中国のソシャゲ界隈においてどんな形であっても男キャラがいるなら課金しない、という風潮)的な動きには個人的には全くもって同意してあげられない。別にこれは男だけど異常に胸が(略)案件では無いというか寧ろ逆で、男自ら男という自分の性別を見たくもないものとして嫌悪するとはあまりに情けなく無いかと思う訳でして……。
そして先程取り上げた5話では先生の「私のおかげかな?」という原作に無い台詞に対して原作勢の一部が先生はそんな偉そうな事言わない!と激怒、この回で初登板した友山くにという脚本家のXには誹謗中傷スレスレのクレームが殺到した。正直私は初見なのでそんなことは頗るどうでも良いんだけど、今作はプロローグのカットとかちょくちょく改変は入ってるらしいし、それが出来るならそもそもラーメン屋爆破をカット出来なかったかなあ…とは思う。ついでに言うとこのアニメ脚本家事情が今ひとつ不明で、5話から友山くにが2連続担当したと思ったら8話では突如脚本がYoster名義になり、最終話はシリーズ構成の2人は参加せず10話から参加の浅藤蛍なるおそらく原作ゲーム系であろう人が担当するという……。

まあ何よりの問題は多くの原作ファンが指摘する通り、原作ソシャゲのストーリーが評判になり始めるのは今回アニメ化された範囲よりもっと先の「エデン条約編」であって、序盤の迷走期の対策委員会編に基づいてアニメ作ったらどうしても盛り上がりには欠けるということでしょう。そしてやらおん住人によればそのエデン条約編をアニメ化するには少なくとも3期は必要らしく……わざわざ完走したんだし、そこからは面白くなるからと喧伝される範囲がアニメ化されるなら見たいけど、これ3期もあるのかなあ…。
最期に主題歌は……OPは疾走感あるしEDは優しげながら冗長さは避けていて普通に良い曲だと思います。特にOP映像は反転アンチと化した原作勢なんかもここのクオリティーだけは認めざるを得ん、って感じだったし。というか途中でくじらみたいな雲とか運命共同体とかOPの歌詞を凄い勢いで回収し始めて驚いた。

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