鑑賞の思い出その3 『花野井くんと恋の病』

本題に入る前に、太鼓の達人世界大会終わりましたね。アンリミテッドゲームズにまで裏来るのか……。

基本情報

原作:森野萌『花野井くんと恋の病』
主演:花澤香菜 (小林千晃)
シリーズ構成:雨宮ひとみ
監督:牧野友映(誤字直しました)
OP主題歌:Sexy Zone「君のせい」
ED主題歌:ミイナ・オカベ「エヴリー・セカンド(ジャパニーズ・ヴァージョン)」
あらすじ:恋がどういうものなのか実感出来ないまま人生を過ごしてきた女子高生の日生ほたるは、ある日カフェで同じ学校の「頭も顔も偏差値80越え」な男子生徒である花野井颯生が破局する場面に遭遇。帰り道に雪が降る公園で呆然とする花野井くんに再会したほたるは衝動的に傘を貸すが、これをきっかけに花野井くんに公開告白されてしまい、その愛の重さに戸惑いつつも惹かれていく。

デザート誌原作のTBS系2024年春アニメ。そもそもこの作品をどうして視聴する運びになったのかというと、このアニメの1時間前まで同じ局で放送している「櫻井・有吉のTHE夜会」というバラエティ番組をちょうど1年前くらいからずっと見ていて、そこで5秒CMをしてたのでせっかくなら、という感じ。

それでこの作品はとにかく1話のクオリティーがなかなか高かった。内容としては正直少女漫画全開なんだけど、昨今頻出する出オチ電波ラブコメに比べると本作は◯◯さん系みたいなタイトルの割に堅実丁寧な作風で好印象。
まず主人公のほたるちゃんは恋愛ってどういうものなのかよく分からないというキャラ付けがなされていて、これが自分にどストライクだった。なぜなら実際に自分がそんな人間だから(ついでに言うと自分には「推し」っていう感情も備わってません。オタク擬きなのに)。しかも、ドラマやその原作になり得る対象年齢がこれより1フェーズ上になる漫画によくいる「仕事のし過ぎで恋愛を忘れた」的な感じじゃなくて飽くまで普通に生きてきたつもりの中で「あれ、そういえば恋愛って何だっけ?」となるのが自然で良い。少なくとも冒頭3話は恋愛そのものというよりほたるの精神的葛藤が話のメインであり視聴意義でした。あとほわほわしてて花より団子なところが可愛い。

一方お相手役の花野井くんは一度好きになった相手にはどんな自己犠牲を以てしても尽くしたい激重イケメン。ほたる以外の相手には相対的に冷酷な態度を取り、ほたるのためなら何かの弾みで死んでも本望なちょっとヤバい人で、彼を受け付けるかどうかで本作は結構人を選ぶかも。でも、本人も自分が面倒くさい奴だと自覚した上でどうしようも無く奇行に及んでしまう訳だし、何よりほたるを幸せにしたいという気持ちは本物なので個人的にそこまで不快感は無かった。

本作の良いポイントとしては各話ごとの小さなエピソードを縦軸・オチとしての恋愛論に繋げていく作業がかなり上手かった点が挙げられる。1話のヘアピン探しの1件は是非とも試し読みして欲しいんだけど、ニコイチのヘアピンとピアスになぞらえた恋愛模様が良かった。ほたるの「片っぽしか幸せになれないなら恋なんてこれからも絶対にしない!!」は名言だと思います。後日人生最大の大声に自分で戸惑うほたるも可愛い。

中盤からは話を続かせる要素としてほたる・花野井くん双方の小学生時代について掘り下げが入る。正直これ以降「恋が分からない女子」という作品の特色は長続きしなかったし若干話にムラも出来た印象(本屋の店員に変なツンデレ描写入れてきたのとか良く分からんかった)だけど、これはこれで新キャラ投入により会話が増えて展開の風通しが良くなったと思う。

まあ難点を挙げるなら5年近く連載している原作を普通に切り取ってる影響でその過去話というのが若干尻切れトンボで終わっちゃったところかな。とは言え、10年前ならまだしも今時アニメオリジナルで結末をつけるとか野暮だしどうしようも無かったと思うけどね。

兎に角、これまで恋愛ものというだけで一方的に興味を無くしていた自分にとって冗談抜きで人生初のラブコメだった本作。拾い物にしてはかなり良い作品だったと思います。

最後に主題歌は……どちらも良い曲なんだけど、OPに改名直前のSexy Zoneが起用されたのはちょっと良く分からない人選だな。もしかして本来実写映画化する予定だった?EDはEDでもう少し明るくパステルにした方が良かったようにも思える。初回見終わる時に急にめちゃくちゃ物悲しいギター曲が流れ出して面食らいました笑。

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