仕事を辞めた日のこと。

今日は、事務のパートの最終日だった。
そんな日の服装は地味で、白いブラウス、紺のカーディガン、それにブラウンベージュのプリーツ風のパンツ。

最初に会社に到着をして驚いたのは、引き継ぎをする女性と、服の色が全て同じだったこと。彼女も白のブラウス、紺のカーディガン、ブラウンベージュのプリーツ風のパンツを履いていた。デザインは少し違うけど、ほとんど同じで、足元の靴や靴下にシルバー色を使っているのも同じだった。

シンクロ、というものなのだろうか。

お昼休みに食事を2人で取りながら、LINEを交換した。
アイコンは彼女はもう亡くなって何年かの飼っていた猫。私は亡くなって何年かの飼っていた犬。

猫はなんと5匹も飼っていたそうで、1匹がママ、4匹は実家にいたときに家で産まれたそうだ。とても懐いていて、擦り寄ってきて、外にお迎えに来てくれたり、歩いて家まで先導してくれたりするほど懐いていたらしい。
言葉もわかって、これダメだよ、といったら止めるし、従順な子たちだったそうだ。人の名前も話した指示の内容も全部わかっていたそうだ。自分が結婚して引越す数日前に最後の1匹が見届けるように亡くなったそうだ。もう大丈夫だね、という感じだったんだと思う、話してくださった。あまりにもその猫ちゃんたちが、可愛くて、もう新しく猫や犬を飼うことはない、とのこと。

お昼休みに、その猫の話に感動して、いい話を聞かせてもらったことに感謝をした。

今日、会社を退職する日にこの話を聞いたのは、不思議だった。
この会社にいた人たちは私の他に5人の男性で、とても親切で会話はあまりしなかったが、それが楽で困ったことがあれば助けてくれる協力的な良い人たちだった。

猫と人間とは別だけれど、猫と心が通った経験をされた彼女の話と、今日ここでお別れする親切な人たちのことがとても似通って感じてしまって、自ら退職を希望した私がとても心苦しくなってしまった。

最初、家にずっといて、メンタルが不調になって、なにかを始めなければと穏やかで無理のない職場を探して見つかったところだった。
今はきっと辞めても、メンタルは不調にはならない、大丈夫だと思いたい。

最後エレベーターまで1人が送ってくださった。1番近くで仕事をしていた人だ。
「少し前、メンタル大丈夫かな?と思ったけど、今は吹っ切れた感じで大丈夫そうだね」と言ってくれた。



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