落ち着く劣等感
ダンスの発表会の時の話。
立ち位置はいつも2列目だった。2列目の端は居心地がいい。上手い人に触発されて動けるようになって、鏡を見なくとも周りを見ることができる。
私はダンスを小学1年生の冬に習い始めた。最初はダンスアンドボーカルグループなるもの、Perfumeみたいなグループの一員になるぞと夢を持って踊っていた。運動が全く出来ない割にはダンスは踊れる方で、小学6年生の発表会ではセンターもやった。夢を叶えて、踊るということが週に一回の運動目的になった今。教室の中でのダンス歴は私が1番長くなった。だが、同い年の子は、リーダーになるくらいに立派になり、ずっと一緒にやっていた子は手に届かないくらい上手くなり、私の後に入った子は夢を追いかけて毎日踊っていてかっこいい姿をみせている。
2列目でみんなを見ながら思う。私だけが変わらないまま置いてかれて劣等感を持っている。でも嫌じゃない。落ち着く劣等感だ。
もう、あの頃みたいな一列目になってやるぞ、一列目が当たり前の位置だ!という勢いは私にはない。2列目の端でみんなのかっこいい姿をみているのが好きになってしまった。この立ち位置に腑に落ちついて、この景色を好きになったらもう、落ち着いてしまう。老後の人生はきっとこういう気持ちで生きるのだろう。
2列の目のはじっこで今日も劣等感を感じながらも落ち着いきながら踊る。
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