メガネ冠婚葬祭②【毎週ショートショートnote裏お題】

「急で、すみません。本日はIT研の方々に相談があり、お伺いしました」

見覚えのある誰かが話してるけど、そんなことは、どうでもいい。

目の前に、初恋の子が現れたのだ。

卒業式の日、最後に遠くから見たあの時から、全く変わっていない彼女の姿。大きなレンズの丸眼鏡も、ツインテールにした髪型も昔のままだった。

「この作品のタイトルはメガネ冠婚葬祭ですわ！」

「私のSNSを見て、この水島菫すみれさんが絵を描いてくれたんです。これを動画にする方法などは、分かりますか？」

いや、動画制作なんて俺は一切…

「これは幼馴染である二つの眼鏡の物語…」

ん？

「共に育った二人は、やがて大人になり…」

彼女が描いたのは登場人物が全て眼鏡の物語だった。

「結婚に至りますの」

衣装は何故か二人ともタキシードだ。

「一度だけ、そんな二人を死が分かちますが…」

独り遺された方の眼鏡が雨に濡れていた。

「天国で再び結ばれるのです！」

彼女の話が終わる頃には、僕の目も涙に濡れていた。

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(410字）
たらはかに（田原にか）さまの企画への参加作品です。

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410字の群像劇｜照田八月｜note