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執念第一①【毎週ショートショートnote】

「執念第一」

そう呟いた店長の言葉には、どことなく自信と満足感が感じられる。いま店長の腕の中には、色鮮やかな茶トラの猫が抱かれていた。

数年前、この近所で初めて見たときは、まだ子猫の面影を残していて、目が合うと、すぐに住宅街の隙間に姿を消してしまった。人間に対する警戒心がとても強い野良猫だった。

しかも、この茶トラは非常に賢くもあった。きっと他の猫が捕まっている所を目撃したのだろう。捕獲機の中の餌を見つめながらも、決して入ろうとしない。そんな姿を見たことがある。NTR活動において捕獲機で捕まらなければ、ほぼお手上げに等しい。

そんな野良猫が今は店長に抱かれている。生まれて初めて来た保護猫カフェに緊張していても、逃げ出そうとする様子はない。店長に対して本当に気を許したからこそ、ここにやって来たのだ。

「執念第一、正義かどうかなんて二の次...」

茶トラを安心させるように撫でながら、店長はもう一度だけ、暗い瞳でそう呟いてた。

(410字)

たらはかに様の企画に参加させて頂きました。

『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』

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