先日3才の娘に上から 「遊んでないで早く歯を磨きなさい!」 と怒鳴ったことがあった。 仕事に家事に育児に慌ただしい毎日の中で 昔からの趣味だったギターもサイクリングもやらなくなった。 とにかく時間がない時間がないと言いながら過ごしていた。 ある日、中途半端に空いた時間があったのでこれといった目的もなく偶然的に近所の中央図書館に立ち寄った。勘で選んだ小説を手に窓際の 椅子に座る。木漏れ日が射し込み、久しく忘れていた静かな空間がこの上なく心地よく時間の流れがやたらとゆっくりに感じ
(第3回たはら言の葉コンクール 大賞受賞作) この町に越してきて、なかなか馴染めなかったのが年に一度の町をあげての夏祭りだ。土日には交規制されるし、早朝から号砲が轟いてゆっくり寝てもいられない。夜勤明けの時などは不愉快にさえ思っていた。 何年か前のお祭り当日、子供がくじ引きをするというので午前中に神社に出かけると、すでに法被を着て集まっている人達の中で顔なじみの岩本さんが忙しく駆け回っていた。 「祭りの間は血が騒いで仕事にゃならんよ」 と言うほどのお祭り男ぶりだ。た
#はじめて買ったCD 小学3年生まで団地に住んでいて4年生になるタイミングで引っ越した。団地にはシゲちゃんという高校生のお兄ちゃんがいたが5月になっても革ジャンを着てるような、絵に描いたようなロックかぶれだった。 「あんまりシゲちゃんと仲良くしちゃだめ」と母親達が言う中 「おい、すごいのあるぜ」 と、シゲちゃんに誘われるのが楽しみで仕方なかった。彼の部屋に入るなり目に入るのが壁一面にディスプレイされたLP盤だ。当時音楽番組といえばザ・ベストテンのようなものしかなく、テレ
雨 雨 雨が降る 晴れたら虹がかがやく雨 いろいろなかさや花や生き物がおどる雨 私はそんな雨が大好きです かみなりと走る雨も つむじ風と走る雨も 大好きです 雨で落ちるしずくは巡り 私の行ってみたい草原や青色の空に上がり さらには宇宙までいくのかなと思うと わくわくします それだけではありません 雨は とても落ち着くのです 雨の音色を聞いただけで落ち着いて 私もみんなも すてきな雨の音色につられ みんなで雨音を口ずさむ きれいなしずくと音色と 共に歌おう 笑い合おう 生き物と
運動会を間近に控えた保育園に通う娘と約束をした。 「お父さん、かけっこで一番になったらレストランに行きたい」 私はいいよ、と答えた。娘は去年の運動会でもかけっこで一番になった。 ところが数日後、消え入りそうな声で 「かけっこ二番じゃダメ?」 と言うので理由を尋ねると、どうにも自分より速い子がいて自信を失くしていたのだった。毎日毎日かけっこの練習をしたのに、一番になれないかもしれない。それは小さな子供にとっては深刻かつ大問題であって、大人は真剣に向き合って伝えなければなら