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7回目のカウンセリングの内容

今日は「言語的価値低減法」の実践の日です。
あえて何も調べずに向かってきたので、何をするのか楽しみです。

まず、この方法が何者であるのかの前置きを、
カウンセラーのサトウさんが話し始めました。
ちょっと長いですが以下の通りです。

・自分と悩み事や問題がフュージョンしてしまっている状態は、過去や未来に囚われている状態。今に集中できていない。
これを、体の側面から解消していこうというのがマインドフルネス。
認知の面から解消していこうというのが、言語的価値低減法。

・強迫神経症(何度も繰り返し同じことをしてしまう症状(ex 手洗い強迫))の治療の方法がベースになっている。
手洗い強迫の場合、「もしかしたら手が汚れているかも」というifで手を何度も何度も洗い続けると、それは結果として「手が汚れている」という証拠集めになってしまっている。それゆえに、他者から見た現実と、自分から見た現実にギャップが生まれる。ループを繰り返せば繰り返すほどに出れなくなっていく。

・認知においても、ぐるぐると、延々と同じことを考えてしまう状態は、繰り返し行動をやめられない状態だと言える。まるで森に迷い込んで抜けられなくなってしまったかのよう。そして、考えるほどに「そのことで悩んでいる」という証拠集めをしていることになり、考えることをやめられなくなる。

・その繰り返しを断ち切るのが断ち切るのが言語的価値低減法。
辛抱強く何度もやっていけば、1日100回思い出していたものが翌日は90回になり、翌々日は80回になり、・・と、段々と頭に浮かぶ回数を減らしていく事ができる。
そうして、森に迷い込まないで、入りかけた森からすぐ出てくる事ができる。

ということです。

「これからいう呪文を、一つ残らず、完璧に覚えて帰ってくださいね、記憶力に自信はありますか?」

「わかりました、そこまで言われると心配ですけど・・」

1 ふーん
2 あっそう
3 ハイハイ
4 そんなこともあるよね〜

「以上です」

「・・前回前置きで少し仰ってた、”軽く肯定する”てことですね」

「その通りです」

「一字一句間違えずに・・いや、嘘です。
 覚えなくても良いんですが、この辺が使いやすいと思いますね」

実際のところ、サトウさんも、この方法を普段実践しているようです。

「何か、練習してみましょうか。最近の悩み事はありますか?練習なので、なんでも良いですよ」

そう言われて、私は体重が12月(薬を開始した時)からみるみる増えて、今や10キロも増えてしまったことを言いました。

ええ!と驚くサトウさん。
元々かなり痩せ型だったんですね。

そういえば、こんなに体重が増えたことをパートナー以外の誰にも言えていませんでした。人に言うと、秘密から解放されたみたいで、少し楽になるなあ、とぼんやり考えました。

「1日にどのくらい、体重が増えたことで悩んでる時間がありますか?」

「四六時中考えている気もするんですが、ぎゅっとまとめると数時間でしょうか。朝体重計に乗る時と、服を着て鏡を見たタイミングとか、食事を朝昼晩記録するタイミングで考えたりします」

「それは、、、思い出す機会がそもそも増えてしまっていますね、管理の仕方が、嫌なことを想起させる仕組みになっちゃってますね」

確かに。

「言語的価値低減法とは別ですが、管理する機会を減らした方がいいですね。痩せるという目的に対しては、体目線からするとすごくいい方法だと思いますが、精神的には最悪(笑)ですね。」

「効果は変わらずに、思い出す回数は減る組み方をした方がいいです。体重を朝イチで測るのを夜にするとか。思い悩むためのセッティングができてしまっているのでそれをどうするかは次回考えましょうか。」

ストイックさで、体だけではなく心も縛り付けていたんだと気づきました。

「では、本題に戻って練習してみましょう。朝体重計に乗った時の思考を、言葉にしてみてください。ナツミさんの言葉に、僕が返します。」

「今日も体重減らないなあ」
「ふ〜ん」
「毎日頑張って運動して食事制限してるのになあ」
「あっそう」
「来月友達の結婚式に出るのになあ」
「ハイハイ」
「笑いながら、心の中では太ったって思われるんだろうなあ」
「そんなこともあるよね〜」

こんな簡単なロールプレイを、逆の立場に立ってもう一度やってみます。

すると不思議です。逆の立場、つまりサトウさんが悩んでいて、私が相槌を打つだけであれば、本当に「あっそう」「そんなこともあるよね〜」という気がしました。
自分が悩んでいる立場だと「そんな適当に返さないでよ」と言いたくなるのですが・・。
サトウさんも痩せたいらしいです。でも、別に痩せなくても良いんじゃない?と思いました。
それは私のパートナーが私にいう「別に今のままでも良くない?」と同じような感情なんでしょうか。でも私の今の気持ちは、無関心に近いような・・。

「さっきお話しした「証拠集め」ですが、ナツミさんが体重計に乗るのも、服を着て悩むのも、白米減らそうかなと考えるのも、何度も繰り返すのは「太った」という証拠集めになってしまっているんです。」

「だから、考えるたびにそれを軽く肯定して切っていってください。
考え陥るのは耽溺(たんでき)と言います。この耽溺に陥らずチョキチョキと切っていくんです。
この方法を考えた人は、「何度やっても考えるのをやめられない」という人に対して、それは切る練習が足りていないからだと言い切っています。
何度も繰り返し根気強く切っていくことを心がけてみてください。
そのうち、思考が長続きしないことに気づけるようになります。」

そこで、もやもやすることをぶつけました。

「こういう話になると、考えるのって良いことなのに、どうして考えるのをやめなきゃいけないんだろう、と考えてしまうんですよね。
考えることをやめるのって、なんだかダメなことをしている気がするんです。考えないと、馬鹿になっていくような気がするんですが・・」

「わかります。私もナツミさんも、ぼーっとしていると常日頃何かを考えているタイプですよね。でもこれは酔っ払いと一緒で、しらふに戻った方がいいんです。」

サトウさんは続けました。

「私もこの方法が、若い時はしっくりこなかったんです。でも社会人になって歳を重ねていくと、考えてもわからないことって増えていきませんか?今までは、考えて考えてどこかでブレイクスルーする時があったけれど、ブレイクスルーしきらない問題も増えてきたと思うんです。」

まさに、そのブレイクスルーという成功体験欲しさに考えているところがあるので、同感です。

「普通の人はブレイクスルーまでたどり着けないんですよ。考え続けるのは、基本的には難しいことです。でもそのタイプの人の思考の仕方自体が、耽溺に陥りやすいんです、考えない人は陥らないんです。」

パートナーの顔が浮かびました。

「考える、コミットして幸せになることと、不幸になることとありますよね。不幸になることにコミットする必要はないと思います。
たくさん考えること自体が問題の中心になってしまう事があるので、それは分けてしまった方がいいです。」

つまり、考えることで目的が達成されるのであれば、考え続ければいいし、
考えても目的が達成できるわけではないのであれば、やめてしまえばいい。

「痩せる」という目的には、「太った」「つらい」ということを考えていたところで近付きやしないし、
「あの時あの人に言ったこの言葉、合ってたかな」と一人で考えても答えは分からないから、何も問題が解決することのない時間です。
考えても目的に近づけないことは、途中で切ってしまって、脳のCPU稼働率を下げてしまった方がいいです。
その方が健康的ですよね、とサトウさんも言いました。

「あと、医学的にはっきりしているんですが、ストレスが減るだけで人は痩せます。自分が痩せるためにも、ふーん、ハイハイ、を繰り返してください。」

そうか、ダイエットの一環だと思って、「太った」という証拠集めはできるだけしないように努めようと思います。

「僕は「思い出したくないこと」を思い出した時にスクワット3回やるようにしてたら、先週は太ももパンパンでしたが今週はほぼしてませんね。」

「ちょっとずつ楽になることに気づいて、続けてもらえたらなあと思います。ナツミさんのストイックさがどっちに傾くのかわかりませんが(笑)」


そんな感じで、今回のカウンセリングは終わりました。

帰宅してシャワーを浴びているときに、もう一個いい呪文を思いつきました。
「それでいいじゃん」

まあまあ、いいじゃん、それで大丈夫じゃん。
そう言い聞かせて考えるのをやめていくと、
この数日だけでも前よりちょっと楽になった気がしています。

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