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ワンルームマンション投資したいと思っている人が、契約前に絶対読むべき本

ワンルームマンション投資について書いた本は、世の中に山のようにあります。それだけそういったものに関心のある方が多いということなのでしょう。本書はその中で、このワンルームマンション投資のリスクについて、極めて具体的にわかりやすく、解説された良著であると感じました。

1)ワンルームマンション投資の問題点

私自身も過去に不動産について研究を始めた際に、やはり最初に調べたのはこのワンルームマンション投資でした。と言うのは、やはり1棟ものを購入となると、資金、知識や経験も含め各段にハードルが高くなるからです。当時、満足できるキャッシュフローが見込めない為、結局投資はしませんでした。このワンルームマンション投資ですが、本書で紹介されている「ワンルームマンション販売会社の収支事例」がとても面白いので、まず見てください。内容は下記の通りです。

「では収支はどうなるのでしょうか。不動産会社の想定では家賃9万円、年間108万円です。利回りは4%です。」

「経費は固定資産・税都市計画税で10万円、修繕積立金・管理費が18万円、ローン返却が91.8万円、火災保険が6万円です。家賃収入108万円に対し、支出は125.8万円。なんと年間で17.8万円の赤字です。」

「さらにサブリースの手数料もかかります。この物件の場合、家賃の10%で年間10.8 万円です。実際の収入はサブリース手数料を引いた。97.2万円となり、ここから経費125.8万円を引いた。年間28.6万円が赤字と言うことになるのです。」

「不労所得の得られるところか、赤字を出し続けることになります。生活に余裕を持つため、将来に向けて資産形成をするために投資するのに、逆に月額2万円以上の持ち出しになってしまうのでは、何のための投資か分かりません。」

「少なくとも5年140万円以上もの損失ですから、逆に生活が苦しくなってしまいます。驚くのはこのシミュレーションは、実際にワンルーム販売会社の自己出版してる本からの引用だと言うことです」

「これだけでも驚きですが、さらにびっくりする事は、この物件の
ンフレットには、月2万円払うだけで、2500万円のマンションが手に入る、と言う趣旨のことが書かれてあります。収益どころか、最初から月2万円の持ち出しになることを正々堂々と歌い、むしろとても魅力的であるかのように書いてるのはものがいいよといいますか。恐ろしいことです。」

以上が本書の抜粋ですが、販売業者もマンション価格が現在のように高値になる前は、このようなシミュレーション事例ではなく、毎月のキャッシュフローが生まれるような「まともな数値」を出していた時期もあったのではないかと思います。しかし、現在のように価格が高騰してしまいますと、毎月のキャッシュフローが生まれない為、苦肉の策でこのようなシミュレーションを出しているのだろうと思われます。

このようなワンルームマンション業者のシミュレーションに引っかかってしまうのは、投資から売却までの1つのサイクルの中で考えず、購入後の修繕費用の増加、家賃の低下、売却価格の下落等のマイナス要因を全く考慮せしていない事があると思います。この事は、少し勉強すればわかることなので、勉強不足と言わざるを得ません。

又、精神的にかなり「焦っていて」、あるいは「焦らされていて」判断が鈍ってしまっているのかもしれませんし、「収益を上げる」という本来の目的がどこかに行ってしまい、「不動産を所有する」事自体が目的になってしまっている可能性もあります。

2)著者が推奨する不動産投資方法

そこで、本書の主張する「人口減少と、低成長の日本における投資方法」とは、ずばり下記のような内容です。

・家賃が下がったとしても、毎月の収益が赤字にならない物件を選ぶ
・物件価格の上昇は期待しない
・一棟建てに絞る(東京18区、RC構造の中古ビル1棟買い)
・物件探しと同時に、金融機関巡りをして、いつでも購入できる体制を作る
・価格の高い間は手に出さず、機が熟すのを待つ
・不動産投資の基本的なことについて学ぶ
・年収500万円になるように努力する
・頭金になる2500万円の資金を貯める

本書の主張は、現時点のような不動産価格が高騰した状況においては、投資をしても収益が出せるタイミングではない。したがって投資を行うのであれば、もっと価格が下がったタイミングにすべき。しかし、そのようなタイミングいつ来るか誰も分からない。したがって、良い物件がでるまで辛抱強く待ちなさいということ。今は購入するための準備期間に充てようという事。

投資を焦らず、まずはその前段としての準備を十分に行い、準備をした上で、良い物件に巡り合った時に、即決して瞬時に手に入れる事ができるようにしようという、きわめて「真っ当な」主張と思います。不動産屋さんがこのような事を言うのは異例の事です。

3)「目からうろこ」だった事

本書を読んで「目からうろこ」だったのは、減価償却費に対する考え方です。確定申告をする際、減価償却を必要経費として、収入から差し引けるので、その分課税所得金額を減らすことができる事は周知の事実です。このため、減価償却費は「ありがたい仕組み」だと思っていました。

しかし、その不動産を売却をする際の計算では、物件の取得費は、物件を取得したときの価格ではなく、「減価償却後の帳簿価格」だそうです。

そうすると、例えば、実際の取得価格と売却金額が同額でも、減価償却費分だけ収益が出た事になり、その分に課税される事になります。要は、「減価却費と言うのは、単にその分に対する課税を先延ばししているだけ」と言うことがわかりました。世の中そんなに甘くないと言う事ですね。

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