網口渓太
とりあえずダーッと書いてみたよ原稿を。いつも通り好きな字数の6000字で。流れはだいたい出来た気がするけど、しばらく一人で作っていたから、一端ふたりに見てもらって、意見をもらおうと思って。
EMちゃん
仕方がないわねー。いいわよ、私たちの原稿でもあるからね。
ESくん
ハイハイ、網家の「ハイパー・スコア・リーディング」のプレゼンの物(ブツ)ね。あがってきましたか。ダーッといいつつ、2、3カ月は待ちましたよ(笑)
網口渓太
他の仕事もやってるから遅くなってゴメンね。じゃあ、早速聴いてもらおうかな。てらいなく意見を下さい。それではお手柔らかに。
ESくん
コメントはどうしよう。通しでみてからにする? それともあいだに挟む?
網口渓太
『Fall in Love Again』方式であいだに挟んでもらおうかな。
EMちゃん
KREVAさんのリアクション動画の奴ね(笑)
ESくん
Ok.では茶々入れていきまーす。どうぞ。
EMちゃん
まずはイントロ部分ね。さっそく新しい読書術の紹介があって、門をくぐるかどうか躊躇するような、あやしい雰囲気はあるけど、渓太くんがそんな感じの人だから、このままでいいんじゃないかしら。
ESくん
新しいって言葉は、自分たちが他の誰かよりも先にいると自覚していて、高い視点から世界をみています、みたいな印象を聴き手に与えて、潜在的にね。必要以上に構えさせてしまうのもやりずらいから、余談をうまく挟みたいね。
網口渓太
そのつもり。雑談はその場の機に応じていくよ。では、続けていくね。
ESくん
いいね。これから伝えたい事全部詰め込んだんじゃないかってくらい熱いね。ハイパー・スコア・リーディングが初見の方にとっても、既知の部分と未知の部分の両方が感じられて面白いんじゃないかな。
EMちゃん
そうね。ハイパーの対比にスーパーを置いたり、松岡正剛さんの多読術を親に見立てたり、工夫しているのが分かる。私も面白かった。
網口渓太
ふたりをイメージして書いていたから、ふたりからの面白いは嬉しいな。
EMちゃん
でも、内容の盛りに対して、スライドの背景のシンプルさはアンバランスな気がするな。
網口渓太
そうなんだよね、ふたりも好きな『何か分かりずらいチャンネル』を真似て作ったんだけど、もうちょっと素材を探してみるかな。
ESくん
ヴィジュアルのイメージは大事だからね。手伝うよ。じゃあ続きいこうか。
ESくん
まるで仏教思想×資本論だね。ハイパー・スコア・リーディングはメディテーションをして煩悩を消す方ではなく、むしろ煩悩を表出して使い方を学ぶ方だから、その辺りを勘違いしてほしくないとは思う。
渓太くんがよく話すけど、インターネットだけで知識を得ていると何でも知っているような気になってくる。なのにいつも不満や不安を抱えている。一方、本と読書の良さは、自分がいかに物事を知らなかったかが分かること。稔ほど頭垂れる稲穂かなじゃないけど、そうすると足るを知ることができるんだよね。
EMちゃん
SNSの炎上もたとえば情報のCだけを囲んで燃えてしまってるような感じ。炎上に関わる発言の多くがABの文脈が考慮されていない。ましてやDの可能性もない。読書はインターネットより情報のやりとりに時間がかかるかもしれないけど、ABCの文脈を読んで、組み合わせて、新しいDに向かえるものでありたいわね。
それと「怒り」という感情への認識も最近歪んでるなと思うの。“個人的な怒り”はできるだけ抑えて、政治家に怒ったり、官僚に怒ったり、不景気に起こったり、社会的に公認された“世間的な怒り”をぶつけて、怒ってるふりをしているけど、それはその人本心の怒りではない。みんなと同じ事に対して怒っている分には危険がないもの。あと、怒りの感情の制御不制御にも思うところがあるわよね。
網口渓太
すばらしいね。むしろ、社会的な怒りと私個人の怒りのズレを正確に見極めようとする事が大事なんだよね。人間の本来と社会の現状を見据えて、ハイパーな読み前でした。
ESくん
我らが中島義道先生が『怒る技術』でこの辺りの話しに触れておられたから、いい引用文があるかも。
網口渓太
引用文に差し替えてみるのはいいかもしんない。Ok.じゃあ続きいこう。
ESくん
家では馴染みの「兎と亀」の時間論だね。遅らせて待っているのは何かといえば、目覚めって事が伝わるといいけどね。
EMちゃん
鹿島茂さんの『「パサージュ論」熟読玩味』とか重ねてみるといいかも。
網口渓太
察しがいいなぁ、実は後半部分で参考文献として使わせてもらってる。目覚めもまさにだね。この読書は遅らせるの下りまでで、この読書術は面白いぞって、聴き手を前傾姿勢にしたいからね。もう一度読み返してみるか。
ESくん
でも、渓太くんが語っている内容と、語っている様子が重なっているのは家らしくて、やっぱり外せないなと思った。二次元と三次元の行き来ね。
EMちゃん
目覚めについて語りつつ、同時にこの場を目覚めさせているみたいな?
網口渓太
目覚め目覚めってめちゃあやしいやん(笑) まぁ、でもうちらは方法に徹しているだけだから、なってしまったものは受け入れるしかないね。
EMちゃん
なんか弱らせてしまってゴメン(笑)
ESくん
ひとつ思ったのは、速い社会のエビデンスは、もっとたくさん収集しておいた方がよさそうじゃない? いかに編集をする時間が自分達から奪われているかのリアリティを感じてもらうために。意外性のある情報が他にある気がするし、比較対象はもっと探しておいた方がいい気がする。
網口渓太
アドバイスありがとう。ここは図書館にいって参考文献を集めてみるよ。
EMちゃん
「関係を主語にして、私を述語にする」って、(→12-2)の時の対話を思い出すわね。あ、あと『私記から超私記』ってベンヤミンの本のサブタイトルね。
網口渓太
そう初見で食らって。お借りしてる。ハイパーな感じがしていいでしょ。
ESくん
何かを定めないと物事が起こっていかないけど、定めすぎるのも同じ事。この矛盾した感じがいいね。あと色々な要素を組み込んでいるけど、そのたくさんの要素をメッセージが支えている。スーッと通っていて清々しいよ。
網口渓太
読む人によってはごちゃごちゃして見えるだろうけど、ESくんの眼でそう言ってもらえるならよかった。まずは自分達が楽しんでいないとね。では、ここから先が後半部分です。よろみ。