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好きな名画を気楽に紹介して好きな感想を書く記事③

こちらの記事は、もう3回目になるのですが
ネット上で拝見できる著作権フリーとなっている名画を集めて、この作品のこういうところが好きです~って言ったり、この絵に描かれているのはこういうこと? などと、妄想して好きな感想を書いたりしてる記事です
でも、たまに拙くも調べてみた内容を書いたりもしてます
つまりは気楽にやってる記事なので、どうかのんびり、ご覧頂けたらと思います



フランシスコ・デ・ゴヤ 『猫の喧嘩』

ゴヤさんは、時に反戦の絵を描かれていたり
と思えばギリシア神話を題材とした恐ろしい絵を描かれたりする方なので、こんなかわいい絵があったとは! と驚きました
雄大な空を背景に威嚇し合うネコチャンが可愛いです
毛並みもぽわぽわですね
この絵が横に細長い形をしているのは、ゴヤさんがスペインの宮廷画家をしてた時の、ベッドボードの装飾絵の作品だからだそうです


マーカス・ストーン 『物語の結末』

ネコチャンかわいい絵画その②です
すりすりしているトラ縞ねこのしなやかでやわらかそうな姿がとてもリアルですし、本を読んでいるご令嬢が本に引き込まれているのが伝わります
タイトルのそのままの、美しい瞬間が描かれたほっこりする作品です


ジェームズ・ティソ 『寡婦』

この作者さんの作品は、前回の記事でも取り上げたのですが、女性の表情も衣装の描写も素敵なんですよね
タイトル通り、配偶者と死別したご婦人の絵なんでしょうが、悲しみにくれてる雰囲気は感じず、むしろ庭でのんびりお茶とお菓子を楽しんでいるように見えます
背後のつまんなそうにしている女の子と本を読んでいる人物(老婆なのかおっさんなのか分からない)は、娘と姑なのかな、だとしたら穏やかで和やかな印象です

ヨハネス・フェルメール 『合奏』

このシリーズにて、なにげに一度も取り扱ってなかったフェルメールさんの作品です
室内への光の入り方や、床のモダンな市松模様の陰影も素敵だし、手前に雑多に置かれている弦楽器と豪奢な織布の表現もやはりいいです
ちなみにこの作品は、1990年にイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館より盗難され、現在も行方不明だそうです
不謹慎ですが、そこに一番ぐっときてしまいます


カール・シュピッツヴェーク 『本の虫』

階段の梯子に立ちながら本を読む紳士ですが
よく見ると、両手に開いた本を持って脇にも抱えてて、両ひざにも挟んでいます
「お父さん! 一回降りてちゃんとテーブルで読んで!」って怒られてそうで、すごく好きです
タイトルもこれしかない!


パスカル・ダニャン=ブーベレ
『ルーブルの水彩画家』

ルーブル美術館(に限らず海外の美術館では)館内の作品を、許可を得た芸術家の方が模写をするのが認められているそうですが
こちらもその一幕なんだと思いますが…
この桜色のドレスの女性が、なんとも楽しそうに、嬉しそうに描かれててめっちゃほっこりするんですね
立てかけてあるカンバスの裏面に書かれたサインと落書きも可愛いです
精密な静物と風景と人物画で、取り上げられてる場所はルーブル美術館だというのに、気負わずほっこりする絵なのがいいですね


アントワーヌ・ヴァトー
『シテール島への巡礼』

先ほどの作品で、女性の背後に展示されていた作品はこちらです
題名は巡礼と付いていますが、男女がそれぞれペアになってのんびりピクニックをしている風景に見えます
(そんな習慣があるのかはわかりませんが)合同の新婚旅行中の一幕のように見えます


ジャン・ベロー 『菓子店グロッペ』

お菓子やさんの店内の風景なんて、すごく素敵です
老若男女がめいめいに、美味しいお菓子を頬張っているし、立ち働く店員さんも素敵です
このお客さんの人数に対し、店員さんらしい人は2人しかいないので、熟練の店員さんなんだろうなと思います

グスタフ・クリムト
『ウィーンの旧ブルク劇場の観客席』

クリムトさんと言えば、黄金、モザイク、官能的、みたいなイメージがあったのですが、前回の記事で涼やかな風景画を取り上げたので、他にないかな~と探したら、精密な室内画が見つかったので上げました
館内のざわめきが伝わるようですし、遠景のボックス席の人物ひとりひとりまで描写されていて恐ろしい手間がかかってる絵画です 
そして画面左の豪華な垂れ幕がかかった席の中にいる人物2人は何者なのか気になります
ひょっとしたら、この絵を発注した貴族の人かも知れない(調べてはないです)


ミハイル・ヴルーベリ 『白鳥の王女』

こちらはロシアの画家さんの作品ですが
ロシアと言えばバレエ、バレエと言えば『白鳥の湖』という事で、白鳥のオデット姫が、人と白鳥の姿を変えてるシーンなのだと思います
ドレスの回りの白鳥の羽が折り重なる表現に、ヴェールから艶やかな黒髪が透ける様子、そして何より印象的過ぎる美しく大きな瞳が素晴らしいです
きっとこの絵は、あの話の王子(名前忘れました)がオデット姫に出会って一目惚れをしたシーンの、王子の視点なのだと思います
(でも『白鳥の湖』の王子って実にぼんくらなんですよね、惚れっぽかったり、女性を取り違えたり…)


メアリー・カサット 『青い肘掛け椅子の少女』

ひたすら可愛い室内画です
ませた表情の女の子と、そばで眠る子犬
保護者の人はそばで友達と長話してて退屈してるところかなと思います
すごく身近に感じる、愛らしさが素敵な絵です


メアリー・カサット
『親指をしゃぶっている眠そうなトーマス』

赤ちゃんのむちむちふくふくした腕の質感や、まだ平たい鼻のかたちなどがリアルです
一方、服の表現がパステルと鉛筆で粗めに描かれていて、背景もざざっとパステルの跡が見える描き方です
それがむしろ、母子二人だけの空間の印象を強くしているように感じます


エドガー・ドガ 『メアリー・カサット』

前の絵画2作品の作者さんの肖像画です
パリのカフェで、画壇仲間とカード遊びをしているシーンなのでしょうか
メアリー・カサットは、自身が画家として活動するだけでなく、新天地のアメリカで印象派絵画の普及やプロモーションなどにも携わっていて、やり手の画商でもあったそうです
このカードを持った姿から、肝が座っててゲームにも強い人だったんだろうなと思います
優しい子供や母子の絵も描き、やり手の実業家でもあった、かっこよすぎるメアリー・カサット氏です


アドルフ・フォン・メンツェル
『武器庫の空想』

甲冑の光沢の表現が素晴らしいのですが、その一方で背景は描かれてないし、甲冑も描かれていないところがあります
でもタイトルに空想ってあるから、描きたいところだけ描いたのかなと思います
この絵を見ると、久井諒子さんの『ダンジョン飯』の序盤を思い出します
現在は2023年11月16日ですが、12月15日に最終巻が発売されるので、楽しみで楽しみでたまりません


アルノルト・ベックリン 『戦争』

戦争をモチーフにし、またそれを擬人化した作品は色々とあるようですが
こちらの作品は、すごく滑稽みがあります
三頭いる馬の表情は、狂気にみちているし
おそらく死を告げる乙女的な精霊は、急ぎ駆けつけなければならない惨状に悲鳴を上げてるのだと思います
赤いトーガの男性は金槌を持ってるからトール神でしょうか だとすると神話の世界観がバラバラな気もします
戦争なんて、神様でさえしっちゃかめっちゃかになるんだから止めろよって事ですかね


アンリ・ルソー 『戦争』

アンリ・ルソーさんは、絵によっては人物や生き物の描きかたなどがあまり達者でない作家さんですが
この戦争をもたらす幼女と、目のない馬の不気味さと、その下に描かれた人間が物のように転がってる様子が、大変おぞましく感じます
子供の頃にこの絵を見た時は、まったく好きになれませんでした
でも、目が離せなくて、そして何度も見てしまう絵でした

ヤン・マテイコ 『スタンチク』

ぐったりしてる中年の道化師、というなかなかに珍しいモチーフの絵画で、すごくやさぐれ感が伝わります
この道化師スタンチクは、王のそばに侍る道化師だったそうですが、大変な知恵者で政治でも軍事でも王から助言を普通に求められていた…という逸話のある人物だそうです
道化でいなければいけないのに、宰相役も将軍役も求められたら、そりゃあやさぐれるわ


ギュスターヴ・モロー 『キマイラ』

ギュスターヴ・モロー氏の作品は、サロメのモチーフで有名で自分も大好きですが、こちらも耽美と狂気を感じて大好きです
キマイラが無表情で、ひょっとしたら自分が(人から見たら)異形の存在なのだと気がついてなさそうで
その首に抱きつく乙女は幸せそうで…
今にも崖の下に転落しそうな、危うさが美しく感じてしまう作品です


ギュスターヴ・モロー
『オイディプスとスフィンクス』

こちらの作品は、ギリシア神話のスフィンクスの謎かけのエピソードのシーンですが
スフィンクスは謎かけに失敗すると身投げをして絶命するのです
しかしこのスフィンクスは、ちゃっかりオイディプスに付いてきそうな、可愛いちっちゃさと愛嬌があります
著名なモンスター的な存在が、描き手によって解釈が違うのって面白いですね


フェルナン・クノップフ 『スフィンクスの愛撫』

以前noteの記事にした、グレッグ・イーガンのSF短編集『しあわせの理由』の中に収録されている『愛撫』のモチーフになっている絵画です
この短編は大変恐ろしい内容でしたが、この絵の持つ耽美さとグロテスクさが、素晴らしく盛り込まれていました
ところでこのスフィンクスは、豹と人間なんですよね
豹のバージョンは地味に珍しいです 他にないかも


フランツ・フォン・シュトゥック
『スフィンクスのキス』

直球に官能的な作品です
スフィンクスを扱った絵画は美しい半身半獣の女に謎かけをされる男性というシーンが基本ですが、この作品はその辺はどうでも良さそうで、これが描きたいんだよ! と性癖がほとばしっています
男性が襲われてるようにも見えますし、お好きな方はたまらないのでしょう 自分も好きです


ヴィクトル・ヴァスネツォフ
『シリンとアルコノスト、悲しみの鳥と歓喜の鳥』

獣の身体を持つ女性のクリーチャーシリーズですが、こちらもすごく好きです
表情や色彩の対比がはっきりと分かりやすい、でも珍しいモチーフ、という面白さですが…
陰キャ女子と陽キャ女子の対立というか馬の合わなさってあるよね、と身近な感覚で鑑賞もできるのがいいです

アルノルト・ベックリン  『夏の日』

先ほどの戦争の絵画を描かれていた作者さんですが、『死の島』という作品で有名です
この風景画は、新緑の瑞々しさや澄んで穏やかな川、高く青く広がる空に、たなびく薄雲という、非の打ち所のない美しい風景ですが、あの世の光景なのでは?   と、疑いたくなる美しさだと思います


ポール・デルヴォー 『提灯のある風景』

不穏な美しさの風景画その2です
遠近感が少しおかしかったり、建物に屋根も戸もなく壁だけだったり、現実の風景には見えないのですが
遠方に死体とおぼしきものを運んでいる人物がふたりいますので、ひょっとしたら集団墓地の風景画なのかもしれません

フェルディナン・クナブ
『バイエルンの風景』

やはり陰鬱な風景画…のように空の色味は見えるのですが、よく見ると水辺には小さな花が咲いているし、レンガ作りの小さな橋の上には人がふたりいて、川面を泳ぐ鴨をおそらく眺めています
秋の夕暮れの、生命力にあふれた風景画なのだと感じます


ウィリアム・ルーカー 『秋の風景』

秋の風景、と題名されているのが心憎いです
紅葉した木の下で、たくさんのひつじがごろごろしている、ほかほかする作品です


レッサー・ユリィ 『夜のポツダム広場』

数年前の『印象派・光の系譜展』にて、それまで日本ではほとんど知られてなかった作家、レッサー・ユリィ氏がこの絵によって大評判になったそうです

この絵画がなぜウケたのか? についての解説で、こちらの動画がとても分かりやすくオススメです


マリ・バシュキルツェフ 『傘』

張布が骨から外れた黒い傘をさす、黒いコートの少女
それだけの絵ですが、氷雨が降る寒さを感じます
この少女の、頑なで力強い瞳が実に美しい絵です


エドゥアール・ヴュイヤール 『 ベッドにて』

人物と白い寝具だけの、シンプルな絵です
それなのに、不思議な暖かさとほっこりするものを感じます
きっといい夢をみてるんだろうな、と思います


という訳で、今回も色々とご紹介しつつ、好きな感想をのびのび書かせて頂きました
この絵が好きです! オススメの絵あります! という方は、ご連絡頂けると、嬉しいです

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