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#好きな漫画10個上げると人柄がバレる/を2023年ベストコミックに代えて発表する記事

少し前に、Twitter(X)の方で
#好きな漫画を10個あげると人柄がバレる
というタグのネタポストをしました


好きな漫画を勢いで上げたネタでしたが、よく見返してみると、2023年に初めて読んで気に入った作品も含まれているので、やりそびれてしまった2023年ベストコミック紹介の代わりに、こちらを紹介するまとめ記事を書く事にしました
こちらでご紹介する漫画は、1巻完結しているものや、連載されているものでも巻数がさほど進んでいないものばかりなので、新しく読み初めて頂くには、それほどハードルが高くない作品揃いとなってます
よろしければ、お手に取って頂ければ嬉しいです


Bye-Bye アタシのお兄ちゃん 竹内佐千子

以前、noteの別の記事でも取り上げた作品なのですが、2023年に読めたコミックのベストは、この作品だったので、どうしてもまた上げたくなり、持ってきました
竹内佐千子さんの作品は、色々と拝見していますが、以前あった『赤ちゃん本部長』では、壮年男性であった主人公が赤ちゃんの姿になってしまうものの、やり手の営業本部長の仕事を周囲のサポートを受けて続ける事を通じ、世にある様々なジェンダーの問題を見定めたり、“強く生きることが難しい”人たちに寄り添えるようになった主人公の変化を描いていた作品でした

この作品は、“妹”として生きるひとたちが、出会うお兄ちゃんたちの辛さや悲しみが癒えるように、本人も幸せになれて、人にも幸せを届けられるように…そんな、たくさんの願いが込められている作品です
“お兄ちゃん”たちも、妹たちも、みんな幸せであって欲しい…
そんなテーマが、都市伝説的なホラーだったり、切れ味鋭いギャグであったりする描写と共に提供されるから、情緒が良い意味でしっちゃかめっちゃかになっちゃう快作で怪作なのです すごくオススメです


困ったじいさん 大江しんいちろう

初読はずいぶん前の漫画なのですが、たびたび読み返してて、以前やっぱりnoteの記事にも書いたのですが、また入れました
ほんとに気楽に読める、ほっこりする、おじいさんとおばあさんが、仲良しでラブラブで、おじいさんが何かというとおばあさんをトゥンクさせちゃうギャグラブストーリーです
というか、ほんとにそれだけの話でひたすら安心して、笑えたりほっこりしたり出来る作品です
おじいさんの「ワザとじゃよ」の顔は反則です
おばあさんをトキメキさせすぎ罪で有罪です

ふすまドンもすきです

あとこの作品は、友人などに貸したり見せたりをあちこちでやって、だいぶ百発百中でウケたので、それも嬉しい漫画でした
友人宅に貸し出したら、そのお宅の親御さんまで読んで貰えて感想がもらえたりもしました
そんな漫画は、なかなかない


私たちは無痛恋愛がしたい 瀧波ユカリ

こちらは2024年1月現在4巻まで刊行されてる作品です
瀧波ユカリさんのこれまでの作品では、フェミニズムなどの問題提起を、さりげなく差し出してくれるように語られていましたが、この作品ではエグい程の露悪的と言っていい描写で、様々なハラスメントやDV、嫌がらせ、若年層への性的搾取などが提示されます
この世には残念ながら、こういうことがあるんだよ
気を付けないと、君もこの事例の加害者になるかも知れないし、被害者になるかも知れない
そして身近にも、今まさにこうした事例の当事者がいるかも知れないし、あなた自身はそうじゃない? って突き刺さるようなストーリーが展開される作品なんです
面白い漫画ではあるけど、オススメだけど、子どもがいたら読んで欲しいけど、でも人は選ぶし、読んでてすごく辛くなっちゃう人もいるだろうな…と迷ってしまう作品でもあります
そんな話の中で、すごく個人的にほっこりした点と言えば、主人公が疎遠だった友人に10年ぶりに会えたエピソードです
ずっとお互いに、心にかけていたんだな…胸熱すぎるじゃん…と泣きかけました
シビアな現実と、でもそんな中で自分の幸せを掴みたくて、生きる人たちのお話です
ほろ苦すぎる風味ですが、決意を込めて飲み下したい作品なんです


夢なし先生の進路指導 笠原真樹

高校生の子が目指す『夢』に対して、その夢を目指す過程でのリスクや、実現した後でもどう生きていくか、を深く指導してくれる、やりすぎで熱心で、かなりおかしいほどの生徒思いの先生の話です
学生だった頃からだいぶ離れた人間からすると「こんな指導を受けてみたかったな」とうっかり思ってしまうのですが…
自分自身や身近な人のために、この先生みたいに、『夢』を叶えるって事に対して考え尽くして、夢を離れても、しがみつくのでも、自分を幸せにしてやれる方法をいつも模索できるようでありたいと感じるのです
ところで先生が生徒のために行う(つまりは作者さんの行ってる)生徒の『夢』のためのリサーチがめちゃくちゃ凄すぎるので、こんなレベルの進路指導をしていたら過労死まったなしなのではないかと案じられます
先生も幸せになってくれ 指導のし過ぎで死んではいけない

巻末に掲載されている参考文献、圧巻


33歳独身女騎士隊長。 天原

タイトルの通りの、33歳独身の女騎士隊長(処女で喪女)の主人公が、日々ブラックな王国の騎士として働いて、働き続けて、たまの休みには酒を飲んでエロ小説を読んでオナニーするのが唯一無二の楽しみ…という話です
エロいシーンや女騎士が「くっ…殺せっ!」っていう定番のシーンとかもあるんですが、全編に湿っぽさやイヤらしさが無くて淡々と日常の描写としてそれがあるので、妙に癖になる安心さと面白さがあります
そして主人公が所属する国と周辺諸国との戦争や政治的な駆け引きなどの話が出てくると、わりと本格的な深謀遠慮で丁々発止のやりとりが出てきて、それがまた魅力的です
主人公が仕える姫様が、凄いドスケベで頭が切れて政治も戦争もめっちゃ出来るので推しです
そのドスケベ姫様の妹姫様は、ねんねで純粋で可愛い姫様で「汚したくないけどそろそろ大人になってもらわないと仕事が進まねえなあ~」くらいの扱いなのも無情でいいです
ぜひ読んで! とは言いにくいのですが、1人でこっそり楽しむには、もったいない そんな作品です


雪の峠・剣の舞 岩明均

歴史ものの短編が2作収められた作品です
『雪の峠』は関ヶ原の合戦後に、大幅に石高が減らされた地に転封された殿様とその家臣が、新しい城と城下町の設計を行う話
『剣の舞』は家族を無惨な形で殺された少女が、剣の達人の元に弟子入りして仇討ちをする話
どちらもすごく淡々としているのに、急にとぼけたギャグが入ったりするところは、あくまで優しく緩やかで、しかし戦国時代の名残がある世界観だから、残虐な描写は容赦がない
すごく地味で渋い短編集ですが、何度でも読み返して噛み締めてはしみじみと面白い、片口鰯のような漫画です
そしてどちらの作品にも共通しているのは、関ヶ原の合戦後に戦国の世が終わり、それに取り残された人と新しい世に生きていく人の対比です
それはどこか、現代の不安定な世相の中で身につまされるテーマのように感じるのです
ちなみにこの作品は、電子書籍などもなくこの記事内では古い作品なので、購読して頂くのはやや難しいかも知れません、申し訳ないです

チート転生した猫は嫁の膝で丸くなりたい 樹るう

樹るうさんの作品は、現代を舞台にした不思議猫漫画や、面白芸術家親子漫画、アイヌの時代物漫画など色々と拝見しています
しかし元々は、ファンタジー系の漫画から知って好きになった作家さんなので、このたび満を持してファンタジー系の作品に着手してくれた! しかも猫が出る! と大喜びしました
こちらの漫画は実にタイトルの通りの内容となってます
現代に生きるファンタジーRPGが大好きな青年が、ひょんな事から王道のファンタジーの世界に魔法が使える子猫として転生し、とんでもないチートスキルをもって“魔王”として覚醒し、薄幸な身の上の姫君を妻として迎え、ついには誰もが安心して暮らせる地を建国する…という
ゴリゴリの、直球の、今流行りの、チート転生ものファンタジーなんです
しかしその直球がしっかり面白さにあふれているのが凄くて、子猫魔王も、その新妻の姫君も、忠実な侍女も、配下のモンスターたちも、ドラゴンも、エルフも、ドワーフも、みんな魅力的で個性的で、子猫魔王にメロメロで、新しい良い国を作ろうと頑張っていて
そして、そこに迫る危機として、人間の世界における強大な帝国の侵略の危機が迫っている…! という抜かりない程のどストレートな苦難がそこにあって、彼らはそれにどう立ち向かうのだろうなあ! と楽しみでたまりません
樹るうさんのこれまでの作品をずっと追っていた人間にとっては、これまで描かれてきた作品のエッセンスと経験がすべて、この作品に詰め込まれていると分かるので、ファンサが素晴らしくて、喜びもひとしおなんです
渾身の、直球の、にゃんこ建国ファンタジー、次巻は2024年の2月22日、にゃんにゃんにゃんの日発売です
今から待ち遠しいです


裸一貫! つづ井さん つづ井

『腐女子のつづ井さん』から続いてきた、つづ井さんシリーズの、おそらくいったんの完結編です
毎日の暮らしを友達や家族と一緒に、楽しく謳歌するつづ井さんの日常は、いつも尊い出来事に溢れています
『腐女子のつづ井さん』の頃は、めちゃくちゃ腐女子あるあるの日々に共感したり、その腐深度の深さにおののいて憧れたりしていたものですが、『裸一貫!』が始まる少し前くらいから、つづ井さんの腐女子濃度は低くなってきたんです
でも、推しを想いそれを糧にして日々の生活を幸せに彩るという姿勢はそのままで、オタクの人の推しの話を聞かせてもらうのって、やっぱりいいなあ~と、ため息が出るのです
あと(個人的な思い入れで恐縮ですが)自分の腐女子濃度の変化の軌跡の時期がつづ井さんと一緒なので、そのところも、つづ井さんに入れ込んでしまう一因です
この巻で、完結と書かれてますが…きっとまた、つづ井さんは帰ってくるはず

うみべのストーブ 大白小蟹

このマンガがすごい! のランキング入り高評価の帯につられて購読したら、確かにすごい! と唸った傑作短編の漫画集です
あっさり目の絵柄に、最小限のモノローグにセリフテキストで綴られる、とても静かで淡々とした作品ばかりです
しかし、不意に内心の奥底に潜んでいた悩みや怒りを、呼び覚ましてくれる力がある作品でもありました
とても好きですが、読み返すには体力が要ります
でもタイトルの通り、うみべにストーブが出かける、少し不思議でとぼけた世界観の作品でもあって、そんな柔らかい優しさが溢れている、素敵な漫画です
収録されている作品の最後に、そのお話を表す短歌が掲載されているのも美しい余韻が染々と響く作品です

と言うわけで、#好きな漫画を10個あげると人柄がバレる をまとめてみたのですが、人柄わかりますでしょうか?
良く見たら9作品しか上げてなかったので、数を数えるのは苦手なんだな、というのはバレますね
あと一作は何にすべきか、今年はどんな漫画に出会えるか、よくよく読んでいこうと思う次第です

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