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『光る君へ』第十一話『まどう心』のネタバレを含む感想記事


このところ毎週恒例になっております、大河ドラマ『光る君へ』の第十一話『まどう心』のネタバレを含む感想を書き綴った記事です
例によって、ドラマ中に発生した事項を箇条書きで書いた後に、詳細の感想を書くという手法でやらせて頂きます
主として自分の楽しみのためのメモの側面が強い記事なので、ドラマを視聴されてない方やネタバレを踏みたくない方、あと長い記事を読みたくない方の閲覧はオススメいたしません、ご注意ください

① まひろ父為時、ヨロヨロとした足取りで帰宅
花山帝が退位し、新たに一条帝が即位し、その祖父にあたる藤原兼家が摂政となったため、式部の丞と蔵人の任(書物を司る役所および帝の側近)を解かれたこと、兼家が右大臣であった頃に為時は間者を続ける事を断ってしまった(第七話)ため、今後の除目(宮廷人事決め)では、もう新たな任官の望みはない、と絶望する
俺はどうしたらいいですか? と不安がる、まひろの弟惟規⭐にも、父為時は何もしてやれん…と告げる
しかし、まひろはひとり、納得の言ってない顔
きっと(個人の好き嫌いや感情で宮廷の人事が左右されるなどおかしいことだ)と憤っているが、それを口にはしない

② 斉信ただのぶ公任きんとう行成ゆきなり、宮中の回廊で、花山帝の突然の退位について噂を交わすが、関白の嫡男の公任きんとうが、真夜中に自邸を訪れ帝の譲位を告げたのは道長であった事を伝え、ならば右大臣家の総出でのはかりごとなのだろう、と結論し、斉信ただのぶは「どうやって帝を連れ出したのだ?」と揺さぶりをかけるが、道長はまったく動じない 陰謀に疲弊する様子も見せないのだった⭐
それよりは行成ゆきなりの写書が気になる様子、漢文が苦手な道長だったのに、まひろのために勉学しようとしてるんだろうか
行成ゆきなりはそれに合わせ、道長の顔つきが(陰謀に荷担した険しさ)になっていることを気にしている

③ まひろ、左大臣家の倫子ともこ姫に会見を願い出て、父に官位をくれるようとりなしをお願いするが、それは無理だと断られてしまう
「摂政様のご決断は、すなわち帝のご決断、左大臣と言えども覆すことはできません」
「では摂政様に直線お目にかかって」
「お止めなさい」
倫子ともこ姫に語気鋭く諌められるまひろ
(前回の予告であったシーン、倫子ともこさまがお怒りになってると思ったら、むしろまひろを心配した言葉だった)

④ しかし東三条邸に無鉄砲にもまひろは出かけてしまう
会談は叶うが、摂政となった藤原兼家はまひろの言葉に耳は貸さない
それどころか為時が望んで自分の元を離れたのだと、わしの目の黒いうちには官職を得ることはないと断じられてしまう
あの時の為時の選択を、まひろも支持してしまっていた事が思い出される
打ちひしがれて(しかしそれを表には出さずに)邸を去るまひろを見て、姿を隠す道長
父に客人があったのかと問うと「虫けらが迷いこんだだけじゃ」と言い放たれる

⑤ 帰宅するまひろ、父は“高倉の女”のところへ出かけており、死に瀕した彼女を看病していた
父の友人で親戚の藤原宣孝のぶたかがやって来て摂政に会った事に対して「すごいなお前」って言う
こういう現代ドラマっぽいしゃべりがちょいちょい出てくるのがいい
苦境に立たされているまひろの家に対して、まひろがしょうとなる形での婿を取ればよい、と勧める宣孝のぶたか
「だれか心当たりでもおらぬのか?」
「おりませぬ」

でもまひろの心中は、あの日、自分の髪や頬に触れた彼のことで占められているのだった

⑥ 一方道長も、父にまひろを侮辱されたことに何も反論出来ないこと、それとあの夜のことも何度も思い出されて弓の鍛練にも身が入らない、百舌彦もびっくりしている

⑦ 摂政となった兼家、艶やかな白の装束で臨時の除目を発し、息子たちを露骨に昇進させる
まだみずらの振り分け髪のお小さい帝が、母の詮子あきこに帝として敬われる扱いをうけながらも、有無を言わさず玉座へ導かれる姿は痛々しい

⑧ 久しぶりの兼家のしょう宅の寧子と道綱くん、嫡男と同等の出世を要求する母寧子を、お菓子をもぐもぐしながら「母上、もうやめて」などと言う道綱くん⭐
新しい帝と母の関係に似ているが、道綱くんは母にやんわりと意見も言えるみたい、まあ大人ですからね
食べてるのは多分揚げてある菓子で、現代で言うチュロスみたいなお菓子

⑨ 一条帝即位式の朝、退位した花山院の読経が交互に写される
高御座に子供の生首が置かれている
まるで花山院が祟ったかのような現象
しかし道長は生首を取り上げて布に包み鴨川に捨てさせ⭐その場に立ち会った侍女や官吏に箝口令を敷く
そして自らの血色のような衣で生首の血を拭う
「汚れてなどおらぬ」
さすが手掘りで人を埋葬した男は一味違う(九話参照)
幼い天皇の装束が麗しい
一方、失意の花山院は播磨の国の圓教寺に旅立ったと伝えられる

⑪ 兼家と道長が自邸の庭で酒を飲んでいる
道長の機転を誉める兼家、生首の件も
「誰の仕業かは分かっておる」

⑫ 道隆、嫡男の伊周これちかと、娘の定子を安倍晴明に紹介し、今後も陰陽道による支援を依頼する
すごく才気走って不遜そうで、藤原を背負って立つ気満々
そこへ道兼が足を踏み鳴らして闖入し、何故自分が祝いの席に呼ばれていないのかと苛立ちを隠さない
兼家は道兼を連れ出して、労をねぎらった上で、この場は定子の入内の前祝いだという説明、そして道兼の娘もいずれ入内させることを約束する
これまでにない、父の前での荒ぶりを見せた道兼と、そんな息子をなだめつつ瞳の奥はまったく笑ってない兼家

⑬ 蔵人の省での仕事をしている道長のもとへ、道綱くんがやってくる ふたりは官位的には同じだった
道綱くんを「兄上」と呼ぶ道長、そこへ突然話しかけてくる藤原俊古としふる、道綱くんに世話になったらしい
道綱くんはまったく顔も名前も思い出せないみたい
道長はそれを察して笑いをこらえる
「一度、美味しいお菓子を頂きました」
道綱くんが退散してしまってから、俊古としふるに、為時の人となりと消息を訪ねる道長

⑭ まひろの家、下男下女に暇を出す
乙丸といとさんは、まひろと共に暇を出した者たちに頭を下げる 決してまひろの家を見捨てないんだな
道長に贈られた和歌の紙を撫でるまひろ、同じようにまひろに贈られた漢詩に触れて相手を思う道長、いつもの月を見上げて互いを思う姿

⑮ 久しぶりの左大臣家での姫君たちの文学会での議題の和歌
『君や来む 我や行かむの いさよいに
    まきの板戸も ささずに寝にけり』
(君が来るのか? 自分が逢いに行こうか…迷ううちに、部屋の鍵もかけずに眠ってしまった……)
に対して、和歌の上では眠ったとしているけど、本当は寝てはいなくて、眠ったことにしないと恋しい人が来てくれなかったことが惨めになってしまう…という意味が込められているのでは? という、これまでにない情感たっぷりアプローチの解釈をするまひろに、姫君たちから感嘆のため息がもれる
倫子ともこさまが、帰ろうとするまひろを引き留めて話をする
倫子ともこさまはこっそり「狙っている殿方がいる」と打ち明ける
「必ず夫にします この家の婿にします」「楽しみですね!」
朗らかに笑い合うふたり⭐

⑯ まひろ、いとさんや乙丸と家の仕事に励み、書も綴る(写本仕事?)
雑巾がけを懸命にする姿は、第一回の幼少の頃のよう

⑰ まひろの家にこっそりやってくる道長、家事仕事に励むまひろに見とれる
表へ出てきた乙丸を呼び止め、いつもの六条の廃院に来て欲しいと伝えるが、乙丸は「若君、もういい加減にして下さいませ」と断ろうとする
しかし道長は頭を下げて頼み込む
それを聞いたまひろは、蕪や大根を盛った笊を手にしたまま、道長の姿を追おうとする

⑱ 六条の廃院の逢瀬のふたたび、真っ直ぐに駆け寄るまひろと抱き止める道長
「妻になってくれ」「北の方(正妻)にしてくれるってこと?」「それは無理だ」「しょうになれってこと?」「おれたちが一緒にいるにはそれしかない、心の中ではまひろが一番だ」「そんなの耐えられない!」「じゃあどうしろと言うのだ! 勝手なことばかり言うな!」

⑲ 何かの手紙をたくさん燃やしてる兼家、そこへ現れて「お願いがございます」と言う道長

予告 今回もわちゃわちゃしている 道長をいじる道綱、険しい顔をする明子、倫子ともこ「生涯猫しか愛でませぬ!」、惟規「まだ三郎と付き合ってたの?」

以上、ドラマ中発生した事項の箇条書きでした

詳細な感想の前に、いつも引用させて頂いてます、ひろうすさんの光君へ絵巻の十一話のものをご紹介します

内容の箇条書き中にあった⭐マークが、ひろうすさんが再現して下さってるシーンになります
いつもながら、素晴らしい絵巻なのです
風呂敷に着目する観察眼!
場面を精密に再現する卓越した画力!
そのどちらにも、ひろうすさんでないと描けない麗しさと絶妙な匙加減のおかしみが溢れています
道綱くんをみちつなくんと表記したのは、こちらの絵巻が発祥です ムーヴメントも生み出すひろうすさんです
冷徹な表情もするようになった道長の表情も描写しつつ、あの凄惨な場面を風呂敷包みカテゴリでご紹介するセンスもたまりません
『源氏物語』において散逸したという説のある、輝く日の宮とは、ひろうすさんのことだったのでは…!?
輝く絵巻の描き手のひろうすの宮、それがひろうすさんなのではないだろうか

しかし、ひろうすの宮様の絵巻にほっこりしつつ
今回のドラマは興味深いところと首を傾げるところが半々くらいだったなーと気になってたまらないです
主に、賢く明晰なはずのまひろが、無鉄砲で物分かりの悪いシーンが多かったのが気になります
倫子さまに止められたのに、摂政へ直談判へ出かけて、何か秘策があるのかと思ったらそうでもなく、普通に率直に(長年にわたり為時に間者役をやらせてた事を報いよと言わんばかりの皮肉も込めて)訴えたので、なんでそれでイケると思った? と分からなくなります
話が通じるとは思ってないけど、黙って従うだけなんてしたくないって事なのかな
道長の妾への誘いも、この当時の婚姻体制及び、道長の家とまひろの家のパワーバランスを鑑みるにしごく真っ当だし、その件についてはそれぞれの素性を知った段階(第四話のラスト)で分かってる事のはず
それでも、どうしても、ただひとりの存在でありたいと叶わなくても願ってしまうほど、道長が好きでたまらないのだろうけど…
前回の和歌と漢文の相聞がめちゃくちゃ良かったから、それを成し遂げたあとだと、喧嘩が幼稚に見えてしまうんです
でも、ふたりはこれまで喧嘩したことないから、喧嘩慣れしてないって事なのかな、仲直りしてほしいな、とけっこうションボリな気持ちでおります
あんなにお互いが想い合っている描写がたっぷりで、まひろが恋歌の解釈に冴えた視点を(我が身を顧みて)持っていたり、それだけ道長に逢いに来て欲しい、自分でも行きたい、なんて思っていたはずですし、道長だってずっとまひろの事を想っていて、複数の妻を持つことそのものに忌避感だって感じていた(10話の姉との会話で)のですから、道長だって本当はまひろを妾に置きたくなんかないんですよ、お互いにただひとりの相手なんですよ
そこをもっと擦り合わせしてくれよ! ふたりは気持ちが同じなんだからさあ! ってもどかしくなります

そんな子どもっぽい二人より、権力の座を極めたと言っていいほどの権力者になった兼家お父さんが、バリバリ仕事をこなしてたり、露骨に息子を昇進させたり、息子のうちの一人が増長してるのを宥めたり、無冠の徒の娘の話も一応聞いてやったりしてて大忙しなところが何とも魅力を感じてしまいます
映画の『ゴッドファーザー』の冒頭のドン・コルネオーネが愛娘の結婚式の日だというのに、式にかこつけて集まってる縁者たちの頼み事をあれこれと聞いてやったりしてるシーンを思い出しました
権力者って忙しくて大変だなって実感します
今回のラストで手紙をたくさん燃やしてたのも様々な陳情というか頼み事を吟味して整頓してるところなのだと思います

あと、記事中⑨の高御座の生首事件ですが、あたかも花山院の呪詛により生首が現出したかのような演出でした
もちろんそう解釈してもいいですが、しかし、真相は別にあると考えても良いシーンではと思います
花山院の亡くなった女御の怨霊も、結局安倍晴明の騙だったのですから、生首も生身の人間が用意して置いた物だと思います
おそらく高御座の支度をする侍女か官吏の中の誰かが実行犯で、主犯は摂政への敵対心のある政敵か、もしくは安倍晴明が愉快犯的に用意したのかも
(それを兼家は看破しているのかも)

あと、道長がまひろを廃院に誘おうとしたところに、乙丸が「いい加減にして下さい!」って言ってくれたところ良かったですね…
そうなんですよ、正式に妾にもしないまま家の外で逢瀬をするなんて、状況的にまひろが遊ばれてるだけになっちゃうんですよ
だからもう会わないか、妾になるか、別れるかするしかないんですよ、真に互いの事を考えるのなら…
それをちゃんと指摘してくれた乙丸は真の忠義者の従者だと思います、今週もMVPです!

でも、家のこと頑張ってへこたれないまひろだって、本当に素敵だったんですよね…⑯のシーンなんか、第一話をなぞるような演出をしていて、あの頃と同じように父は無冠になって、でも自分は当時より漢文の知識も増えたし成長した、家の役に立てると、むしろ生き生きとしていて(道長が垣間見た時のように)輝いてすら見えました
まひろが無鉄砲な事をしたり、判断が鈍ったりしてしまうのって、道長との家の格差を突き付けられた時に、そうなってますね
以前も、小麻呂を探しに行ったのにそのまま帰っちゃった時(七話)って、まひろの家は身分が低すぎて結婚の対象にならないと貴公子たちが影口を言ってるのを聞いてしまったからでした
台詞のテキストに現れない部分で、身分や家柄の劣等感に苛まれているんだろうなと感じます しんどいです
あれ、そう言えば今回、小麻呂出てきてないですね
また迷子かな 次回は無事が確認できると良いんですが…

話は違いますが、⑫の才気走る伊周これちかについてなのですが、母の高階貴子役の板谷由夏さんが、娘の定子は妃がねとして厳しく育てたが、息子の養育は甘くしちゃってて、伊周これちかがああなっちゃったんじゃないか? という、息子を特別に甘やかしてしまう母という、とてもリアルな視点のお話が聞けるポッドキャストがありましたのでオススメです~

こちらは今回の視聴メモです
そんなに大したことは書いてないですが、それなりに怪文書っぽいのでのせときます

今回の記事ヘッダーは#かなふみです
良くみると「摂政殿」って書いてある

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