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豪雪の山里から ~ 4mの雪に抗う秘策

こんにちは。ご来訪ありがとうございます

この地は、積雪4mも珍しくないところです。そんな集落でも皆さん普段通りに暮らしています。
都会だと数センチの雪でもパニックになってしまうのに、どうしてここの人たちは平然としていられるのでしょうか
その裏には、先人が知恵を絞ってあみ出した数々の秘策が隠れています

今回は、豪雪を生き抜くための知恵が詰まった、そんな暮らしを紹介します

家のかたち

魚沼に来てまず気づくのは、関東では見慣れない風変わりな形の家と、かまぼこ型の車庫。その形にはちゃんと意味がある
一階部分がコンクリート造で木造二階家がその上に乗っかっている。一階部分が雪に埋もれるのを前提とした形。玄関は階段を上った先にある
そしてとんがった屋根は、人が上って除雪しなくても自然に雪が落ちる仕掛け。この自然落下式の屋根の他にも、温水をまわして屋根雪を解かす仕組みの屋根や、転落防止用に柵のついた屋根もある
車庫がかまぼこ型をしているのは、雪に埋もれても圧力が分散されて壊れないから
広い土地があるのに、家々の玄関が道路に面しているのは、玄関から道までの除雪作業の負担を軽減できるから
家の周りには雪消し用の池があったり、家屋の周囲や道までのルート上には小さな穴を空けたパイプを這わせ、地下水を散布して雪を解かす仕組みの家もある
窓には、積雪の重みでガラスが破損するのを防ぐために落とし板(雪囲い)をはめる。その板も昔は隙間なく覆って部屋が真っ暗になっていたが、今は隙間を設けて部屋に光が入るよう改良されている

道路除雪

かつて雪の朝には「かんじき」履いて峠の下まで歩いて道付けをしたり、キャタピラの付いた雪上車で行き来したりした時代もあるが、現在、幹線道路は除雪ドーザーやロータリー(フライヤーとも言う)といった除雪車による道路除雪が徹底されている
だから、雪で集落が孤立するようなことはそうそうない
仕事で通勤する人、通院や買い物に出る人、そして下の町から物資を運んでくる人のために、朝夕の移動に支障が出ないよう、除雪隊がタイミングよく道路をきれいにしてくれる
ただし、その道は県道1本だけ。それ以外の道は、除雪を諦めて春まで通行止めにする潔さ
除雪車のオペレーターは、土木関係の従業員の他、農家の人などが季節雇用で担っているが、慢性的な人材不足はどこも一緒
その他、街に降りると、ところによっては道路の真ん中から地下水がシャワー状に出て雪を溶かしてくれる。除雪不要なのはありがたいが、地下水のくみ上げ過ぎによる地盤沈下が問題となったり、道路を走る車が水を跳ね上げて歩行者をずぶ濡れにするのが難点

除雪の道具

雪国の人は、さまざまな道具を駆使して雪に抗う
少しの軽い雪なら「ラッセル」。楽に雪を押して寄せられる道具。融雪抗(雪を流せる水路)なんかがある場所では重宝する
そして「アルミスコップ」。通常のスコップより大きく軽いので雪を切り取って投げるのに使う。凍って固い雪に対しては不向きで、通常のスコップが勝る
ここらの雪は重くて大量。そんな中で一番重宝するのは「スノーダンプ」。数あるスノーダンプの中でも一番人気は「くま武(クマタケ)」というブランド。ステンレス製で先端部分が厚く強化してあり壊れにくい。門払い(玄関周りの除雪)でも屋根の雪掘りでも活躍する優れもの
ダンプもスコップも、軽くて女性でも扱いやすいプラスチック製のものもあるが、ここらの雪では簡単に壊れてしまう
その他にも屋根から大きくはみ出した雪庇を切っておとす「雪庇落とし」や、屋根に上らずに雪を滑り落とせる「イースライダー」という新兵器もある
あとは、動力で動く「投雪機」。主流は自走しながら回転するブレードで雪を掘削し、シューターという筒を通して遠くに飛ばす除雪機。小さく取り回しの楽な電動のタイプから、大型のガソリンやディーゼルエンジンのものまであるが、重くて固いここらの雪に対しては、中途半端なものでは太刀打ちできない。そのため、外車が買えるくらい高価な大型投雪機を備えている家が結構多い

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投雪機を買う余裕のないわが家は、スノーダンプでひたすら雪かきの日々
寒いからと厚着してやると真冬でも汗だくになる。結構なエクササイズになるが、やりすぎると全身筋肉痛になる。しかも凍って固い雪に対抗すると、腰や手首を痛めることも…。ほどほどにしないと

ではでは。



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