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豪雪の山里から ~ 田舎のお財布

こんにちは。ようこそ

田舎への移住を考える人が
いちばん気がかりなことの一つが、お財布事情でしょう

あんまり計算しすぎても
怖気づくだけだよ…と言いつつ

実際はどうなのか、個人的に気になった点に
触れておこうと思います
まぁ、住むところや暮らし方しだいで変わる
要素も大きいから、あくまで個人的感想として

まずは収入面。
よく聞く話ですが、
田舎は、総じて給与相場が低いです(職種にも寄るでしょうが)
勤めも未だに週休二日制は隔週が普通です
有休とか産休とか育休の取得について実際のところは知りません
ちなみに現在、東京と新潟では、最低時給に180円、平均年収に100万円の開きがあるようです

何年前か、都心で移住相談の応対をしていた時に、移住後の仕事の希望について訊くと、「今と同じくらいの待遇であれば良い」ってよく言われたけれど、そもそも地域間でそのぐらいの格差はあるって前提で考えた方が良いと思います
年収に差があるからって、田舎暮らしが一概に貧しいとは思いませんが

もちろん、コロナ以降、完全在宅で勤務できる会社なら、都心の会社に席を置きながら田舎に住むということもできるのかもしれません。それであれば都会と同じ待遇が現実になるでしょうし、インターネットを介した仕事をすれば、時給の地域格差もないでしょう

あと、田舎の求人状況についても良く訊かれましたが、給与にこだわらなければ、求人数はそれなりにあるとは思います。ただ、都会のように多くの職種から選べるわけではありません
起業するならともかく、目指す田舎暮らしで、職種にどれだけこだわるかは考えようだと思います

それから農家も、普通の兼業農家とは別に、雪国ならでは、夏は専業で農家を、冬は耕作できないので除雪やスキー場勤務などをするというパターンがあります
農業以外にも冬場にできない種類の仕事があるので、季節で職種を切り変える暮らしのスタイルも珍しくありません
大変ではあるけれど、その分、経験と人間関係の幅が広がると思えば、まんざら悪いことばかりでもないとは思っています


一方で支出面。
よく田舎暮らしはお金かからないと言いますが、果たしてどうなのか…

もちろん、自給自足の暮らしと街での勤め人の暮らしでは全く違いますが、私の今の暮らしをベースに見てみると…

食費については、ご近所さんから野菜とかおすそ分けしてもらったりするから、あまりかからない?
まあそれはあるけれど…常にではない
それ以外は?

まず、外食したくても、飲み屋に行きたくなっても、
この集落内にはお店が無くて、車で町まで行かなきゃならないから
いざ「酒飲むぞ!」ってなったら車中泊するか、運転代行のお世話になる覚悟がいります(下戸の人が一緒で運転してくれるとか、迎えに来られる家族がいるなら良いけれど)
必然的に、ひとり暮らし(単身赴任中)の自分は、外食にも飲みにも行かず、ほぼ毎日が自炊です(野菜もある程度は自前で調達)。だから食費は確実に低く抑えられています
でも、外食だったりコンビニ食中心の食生活を送りたい人なら、田舎に住もうが大差ない出費だと思います(都会は安いお店も選べるけど、誘惑も多い)
あくまで自炊中心になり贅沢な外食をしなくなればという前提でなら、当然安くつきます
そして、新鮮で美味しい食材にありつけます

誘惑という点では、都会には洗練された遊び場所やイベントなどが目白押しで、魅力にあふれていて、その点で田舎はかないません
ただし、その多くは誰かが企画運営しているもので、大抵のことにはお金がかかります
田舎はその点、おしゃれなイベントやスポットは多くないですが、身近に四季の自然を満喫できる場所がたくさんあり、当然ながらそれを楽しむのにお金もかかりません。例えば、今の季節(晩冬)なら自然の山の中をスノーシューを履いて自由に歩きまわったり、バックカントリーをスキーやスノボで滑ったりもできます
そういう自分ならではの遊びのネタと場所をたくさん発見できれば、きっと一年中飽きることなく楽しめるはずです

貧弱なのは交通網
都会の様に鉄道が縦横無尽に走っているわけではありません
というか、この山里に鉄道はなく、最寄りのJR駅まで7キロの峠道です
しかも、そのJR路線は1日4往復のみです
だから勤めや買い物など、どこに行くにも車で行きます
峠越えで、街の大型スーパーまでは片道20キロくらいあるので、ガソリン代はそれなりにかかります
タイヤやブレーキの減りも早いし、車のメンテナンス費とかも普通よりかかります
雪国だからスタッドレスタイヤなど冬用の装備も必須です
あまり遠出しない軽トラックでも年間1万キロくらい走ります
都会と違って信号とか渋滞とかないから、燃費は良くて、長い距離を走る割には安上がりだとは思います
車種も、都会だと駐車場狭くても結構ミニバンとか立派な車を選ぶ人が多いですが、ここでは実用一本、軽自動車やコンパクトカーが主流だから、車単体にかけるお金は少なくて済みます(ただし1人に1台の世界)
いっそのこと、車を持たないという選択肢もあります
かなり行動は制約されるけれども、路線バス代わりに運航されるデマンド型タクシーを利用して、最寄り駅や近くの町までは行けます(1回200円、平日のみ、行き2本/帰り4本)
集落にあるAコープ(農協系スーパー)で最低限の買い物はできるし、ネット通販で商品を頼めば普通に届くから、不便さはあるが暮らせない訳ではありません

水道光熱費はどうか…
夏の冷房は、家の風通しにもよりますが、年に数回ある熱帯夜にエアコンを入れる程度で、扇風機だけで過ごす人もいるくらいです。真夏でも朝が涼しいこの地は、エアコン無しでは夜でも熱中症リスクがある都心とは別世界です
一方で冬の暖房は不可欠。主流は、灯油のストーブやファンヒーターなどで灯油代がかかります
薪ストーブにすればお金は節約できますが、そのためには薪材を調達する必要があります。薪を買う人はいないけれど、自身で木を切ったり薪割りしたりとそれなりに手間がかかるのと、薪を1年乾燥させるための保管場所が必要になります

驚いたのは、ガス代です
ここ魚沼市でも街場であれば都市ガスだから、そんなんでも無いけれど
ここらはプロパンガスで、家までガスボンベを運んでもらいます
人家の数が少ないのと運搬費がかさむから、仮に使用量が同じでも都市ガスの5倍以上も料金がかかるので、伝票を受け取るたびにグッときます
だから、お風呂もガスではなく灯油のボイラーの方が人気があるそうです

水については、我が家の場合には、家の裏に池があり、年中10℃くらいの水がコンコンと湧き出ていて、そのまま飲める水質(保健所が良い顔しないでしょうが)なので、夏の作業後にのどを潤したり、野菜を洗ったり、色々と使えます
上水道も引かれていますが、この山の水を家まで引いてこられれば使わなくてすみます

除雪も、スノーダンプなど人力でやれば、コストはかかりませんが、時間と労力を考えてエンジン付きの投雪機を導入すれば、機械代とともに燃料費もかかります
投雪機の機種は、だいたい40万円台から400万円台まで豊富な種類がありますが、中越の雪は重くて一度に降る量も尋常じゃないので、最低でも中型、多くは大型のものを使っています
勤めの人は、朝の通勤前と夕方の帰宅後の除雪が日課になるので、投雪機を使うケースが多いです。高価ですが時間と労力には代えられないというところです

夏は、庭が広ければ草刈りをするのに、エンジン付きの草刈り機が重宝します。数万円で購入できますが、春から秋まで何度も刈るので燃料代もそれなりにかかります

住宅については、自治体による空き家バンク制度もありますが、
地区の人と仲良くなって相談すれば、良い空き家を紹介してくれることもあります(今はこの集落にはちょうど良い空き家がないけれど)
実は、空き家に見えても、盆と正月だけ帰省して使うとか、施設に入った親がいるうちは他人には貸せないとか、家財の片付けや仏壇終いをしないといけないとか、色々と事情があったりするので、地区の世話好きな人に口を利いてもらうのが良いと思います。個人間でのやり取りなら格安で貸していただけるか、あるいは譲り受けられるかもしれません
実は、空き家を解体するのには数百万円の費用がかかるので、タダでも引き受けてくれたら有難いというのが持ち主の本音なのです(Win&Winというやつ)
ただ、我が家の様に築50年以上の古家(過去の中越地震で歪んだ家)ではすき間風が入ってくるし、空き家になってから何年も経っていると水回りなどの修繕が必要になる可能性があります
そもそも自力でリフォームするつもりの人にはあまり関係ないかもしれませんが、業者に修理を頼めばそれだけ費用がかかります
街の方でアパートなどを借りたいとなれば、もちろん都会よりは家賃は安いですが、この辺りでは家賃や管理費の他に、除雪費を上乗せしたりするケースもあるので要チェックです

一方で、移住者には2年間の家賃半額補助や、空き家バンク物件の購入支援など、自治体からの支援策もあります
その他にも子育て世代であれば、教育費はかかりますが、自治体による様々な子育て支援も充実しています

結局のところ、田舎暮らしだからといって、必ずしも生活費が安くてすむとは言えません
田舎だからこそ、かかる出費もあるということです
しかも普通に就職して仕事をするなら、たいていは収入面も減るでしょう

が、都会の華美な暮らしや価値観から離れて、田舎の自然環境の中で暮らす術(すべ)を身に着けたなら、そんなにお金をかけなくても満足度の高い暮らしができると思います

まあそんなところです
参考まで

ではでは








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