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カラフル

 街を行き交う人、子供から大人や男性と女性、今時はLGBT…、様々な“カラー"を持ち合わせながら行き交う。
 人の持つ背景までが違う街…。
 それぞれの人はカラーを持っていて艶あり、艶なし、明色系、暗色系…。
 

3人の女性

哀川 美波(仮) 29歳

  誕生は六月の梅雨時期だったせいなのか、海好きの父と母は梅雨明けの美しい波を連想させる名を付けた。
 事務職の両親の性格は几帳面とは限らなく、仕事はミスなくこなすが几帳面ではない。
 いつもザックリとした感じに美波を育てていたが、美波は反面教師に捉えていた。
 何をするにも計画から入り、不測の事態を常に考えるものだから実行までに多くの時間が必要で、即行動はしない。
 運動会の“スタートのピストル音"を確認してから、走り出すタイプ!
 急がずに着実に確認するから、怪我はせず血を流さないから、痛みを知らない…。
良く言えば“慎重"、悪く言えば"臆病“…!!
 人の長所と短所は“イコール"で、ただ場面で変わるだけで…。
見方を変えれば、痛みを知らない冷たい無色透明のダイアモンドは傷つかない…。

志村 紗織(仮)29歳


 
 シングルマザーの母の薫の下で、育ってきた紗織は幼い頃の幼稚園やら小学校での発表会やら父兄参加日が嫌だった。
 周囲は喜ぶ母や父が楽しそうに過ごしているのが、紗織の心をスッと刃物の傷を負わせていた。
 身体の傷は血が出るが心の傷は血を出さない代わりに、心に影を落し消えない。
 そんな沙織は劣等感を感じながら育つが運動はからきっしダメだったが勉強は良く出来て中学の頃から何故か男子から“人気"が…。
 そう“あの影"がなんとなく魅惑的な魅力を放つらしいが、沙織は気にした時はなかったが男子の人気が沙織に取巻きが出来てしまった。
 望んで選んだ訳ではない生い立ちや幼い頃の理不尽さや劣等感をバネにチカラに変えて、彼女は思慮深さや穏和さを身に着けた。
 唯一無二の彼女だけが放つ魅惑する強烈な色彩はまるでサファイアの様に…!!

宇田川 沙羅(29歳)

  

 実業家2代目の父親の慎太と大学の同級生だった、母の茜は関東圏の大学で一緒だった。
 北陸の同郷同士で結婚をして母は華やかさに長けていたが、父は無口なタイプ…! 
 そんな二人の子供が私、沙羅です。
 父はやたら体がデカく反比例して気持ちの小さい人、母はスラッとしていて華やかさを持ちオシャレな人で交友関係も広くアナウンサーの知名度も重なり綺羅びやかな人だった。
 “なぜ…?"と、この二人が結婚したのだろう…?と成長するに従って疑問が…。
 経済的に恵まれて、大事に育てられ私はいつもお出かけの時に連れ回された…、まるでアクセサリの様な存在になっていた。
 父の慎太が継いだ会社の経済力を後ろ盾にする為に、母の茜は人生を計算して結婚したんだと幼い頃から感じながら育った。
 大人になりいつも本当の“私自身"を愛してくれる人を探してしまう。
 経済困窮もなく、社会的な地位の中で育った私は光を反射しないと気付かれない様なゴールドで…。
眩しく輝く人を探してしまう…。


 自分で選べない、いろんな生立ちやいろんな背景の中を生き、いろんなカラーを醸し出す人達が今日も街を行き交う…。
 当たり前の様に混ざり合う…。

 君のカラー、すれ違う人のカラーは何色…、それぞれが違う輝きを放ちながら今を活きている。
 
 
 …………………… 終 ……………………
 
 
 

 
 
 
 
 
 



 


 



 

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