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ペトリコール

 「雨が降ってきたよ、亜衣…、早く家にお入り。」
おばあちゃんが心配する声を聞きながら「雨のニオイがするっ!」と…。
 おばあちゃんは傘をさして私のいる所に来て「風邪ひいちゃうよ」と穏やかに優しく話し、スーッと傘に入れて「亜衣は雨のニオイが好きなんだね、おばあちゃんも大好きなんだよ…。」
 「おばあちゃんも!」と亜衣は嬉しそうに笑い、「なんで好きなの?」と…、聞いてみた。
 おばあちゃんは「静かに包み込むような香りがして落ち着くの…」と話す、おばあちゃんの眼差しはとても柔かく穏やかで優しかった…。
 おばあちゃんが「亜衣、魔法をかけるね、ペトリコール!!」、そして「悲しくなったら、思い出してね。」と…。 
 私に魔法をかけたまま、おばあちゃんは亡くなってしまった。
 
 

 「あっ、雨降ってきた。亜衣」と並んで歩く響介は、いろんな事が有った私の生きてた私の隣にいつもいてくれた、そんな人生を伴にした私のパートナー。
 「雨の香り、イイねー」と響介が言った。
 幼い頃に見たおばあちゃんと同じ眼差しを向けて、「雨の香り好き!」と…。
 激しさが微塵も無い、穏やかで優しく話した。


 雨が降ったらする香り、“ペトリコール"を響介と愉しんでいる。
 そして、雨あがりの空には虹が…!


 
 …………………… END ……………………

 

 
 
 


 
  


 


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