失敗作

 今日、私はマックに行った。何日も外に出てなくて、勉強も捗らないってから。あと、時間を潰すため。

歩いて40分かかるそこは、ダウンロードした明るい曲を聴くのにはちょうど良かった。

はずなのに、
暗い私が明るい曲を聴くのに違和感があって、うるさくて、アップテンポになってく曲と反対に歩くスピードが落ちていく。

もう無理だ。そう思って一曲目のラストのサビ前でイヤホンを外した。

 音楽は楽しかったし、好きだった。これが私の生きがいだった。ギターを弾く事も歌う事も隠れた名曲を探すのも大好きだった。

でも、今じゃその好きだった事が苦痛に感じる。それ以外にも友達と話すこと、遊びに行くこと、サイクリングをすること、甘いお菓子を食べること、お風呂でどーでもいい動画を見ること、全部全部やりたくない。いや、できない。

どうしてこうなってしまったのだろう。

そう考えながらモバイルオーダーしといたハンバーガーセットを受け取って1番端っこの席に座る。
もちろん、味なんかしない。ただ時間を潰せるならなんでもいい。

しばらくして、私と同い年ぐらいだろうか、アイドル4人組が後ろの席に座る。始めは何を食べようとか、今日のライブ大変だったとか、昨日行ったカフェ屋さんが可愛かったとか、アイドルらしい会話で聞いてるのが楽しかった。

けど、同じグループの子の愚痴大会が始まったら纏ってた空気が一変してアイドルらしさが無くなっていった。

怖かった。どんどん速くなる会話と増えてく口数。声も力強くなっていって、私は耐えられず逃げるように外に出た。

音楽が煩わしくてイヤホンを外したように。

「仕方ない、歩くか。」

まだ時間には余裕があったから、カタツムリと同じ速度歩く。5分で着く所を10分かけて着いた所は心療内科。

ここに来るまで長かった。助けを求めて探していた。この毎晩寝れないほどの気の落ち込み、無気力、無関心。

これをどうにかして欲しくて、治して欲しくて、助けて欲しくて、連絡したそこは半年先まで予約で埋まっていた。

半年、ずっとずっとこれらと付き合うための時間を潰し続けて生きてきた。辛かった。これでおわる。

やっとの思いで入った心療内科にはたくさんの患者で埋め尽くされていた。

私と同じ人がこんなにたくさんいるのかと思った。ずっとずっと甘えだと思ってた。そう言われ続けてきたから。だから、私は失敗作だと思ってた。

でも、これは私たちが失敗作なんだろうか。こんなにたくさん神が失敗するとは思えない。もしかしたら、この世に病んでない人なんかいないのでは?

だとしたら、この社会が失敗作なのでは?

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