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Episode.1 SNSいじめ

〈あらすじ〉
男嫌いの仁和は、中学生の頃ある祭りで不登校になった。そのせいで偏差値の低い奈留高等学校しか受けることが出来なかった。そして新種のウイルスが拡大を増し、1ヶ月弱も休校が続いた。その高校で仁和は女嫌いの男子生徒・侑久に出会う。ウイルスが蔓延する中、2人は異性嫌いが治るのか?ーー

 2018年8月6日。今日は、夏祭りの日。私は高校の頃茶道部だった母から浴衣を借りて、祭りの会場へ向かった。
 祭り会場、出入り口。会場に着くと、焼きそばのソースの匂いやたこ焼きの匂いが鼻に付き食欲をそそる。今年の夏祭りは、私が当時通っていた中学校の近くで開催されていた。私が祭り会場で歩いて数分後に
「よう! そこの嬢ちゃん!」
グラサンにタバコ咥えた男性が私に声をかける。
「俺たちと、チョメチョメなことしねぇか?」
グラサン男性の取り巻きなのか、モヒカンの男性もいた。私は
「遠慮します」
と。言い、去って行こうとすると
「おい! 待てや!」
グラサン男性に浴衣の袖を引っ張られる。
《誰か……助けて……》
私が心の中で、助けを呼ぶと空から下駄が降って来て、グラサン男性とモヒカン男性の頭上に直撃して失神していた。私はこの2人が目を覚ます前に逃げた。
 秘密地。私はかき氷を買って、自分だけが寛げる場所に来た。ここは、とても神聖な場所。奥には山が2つあり、琵琶湖ぐらい大きい湖で周りは木々が生い茂り隠れている。そこには、1席だけベンチがある。私はそこのベンチに腰を下ろし、かき氷を頬張る。一口が大量だったのか頭がキーンっとなる。
 数分後。湖に大きな花が映し出された。花火が上がったのだ。私は湖に映る花火を鑑賞していた。すると
ーーグルルル……
かき氷を食べたせいなのか、下痢に襲われた。
《ここから、簡易トイレまで結構距離があるのに……》
私は必死で腹を抑える。だが、下痢は激しさを増していく。
《ここは、ににゃしか知らないはず……恥ずかしいけど、ここでしようかな》
私は自分だけしか知らない秘密地で脱糞することにした。簡易トイレまで行こうとしても、途中で漏らすよりはマシである。私は浴衣の下半身を捲り、腹巻き(?)的なものに押し込む。そして花を摘む体制をして、力む。言葉で表現するのが恥ずかしい程の、排泄音が響き渡る。そこで、私は気づいてしまった。
《下着降ろすの忘れてた!》
私はパンティを脱ぐことを忘れてしまい、排泄物がこびりついてしまった。私はパンティを脱いで、排泄を再開した。パンティに着いた排泄物もその場に落とす。私はポケットティッシュで尻を拭いて、石や草で排泄物を隠した。
《家近くだし……すぐ帰ろう……》
私は小物入れに、茶色に染まったパンティを入れて帰宅した。
 十数分後。私が風呂から上がり、髪をタオルで乾かしていると無料通話アプリLEADリードから通知音が鳴り響く。
ーーリード♪ リード♪
私は、スマホを手に取り、LEADを開く。すると、女子友達グループからだった。私はトークルームを開く。
 中学女子限定グループ。
『さよ:今日の祭りさー』
『にな来てたよー』
グループの創設者兼リーダーのさよがLEADして来た。このグループはリーダーがトークをやらない限り、しちゃいけないルールになっている。
『レイナ:そうなの!』
花屋の娘、レイナが驚く。
『あかね:私見たよ!』
『あかり:あたいも!』
あかねとあかりは姉妹だ。2人は私を見かけたらしい。
『あやね:だけど、花火後から見てないんだよねー』
グループの新規、あやねは花火後から私を見ていないと言う。
《ににゃ……あの後、言えない事したから》
『さよ:私は見たよ!』
さよが、画像を出す。その画像はサーモグラフィーでお尻辺りが赤く染まっている。
『レイナ:え! その赤い部分って』
『さよ:になさ! クソ漏らしてたの!』
『あかね:え! マジ!』
『あかり:キモーい』
さよによって、私が俗に言う野糞をしていたことがバレてしまった。
『あやね:こんな女子力ない女、グループに入らないよね!』
『さよ:退会させよー』
『レイナ、あかね、あかり、あやね:賛成!』
私はグループから退会させられて
『トーク相手が居ません』
と。表示された。
 中学女子限定グループ。
『さよ:あおいくんは、どう思う?』
『あやね:碧くん、になと幼馴染でしょ?』
碧くんとは、私の幼馴染、葵ちゃん。男子になりきって、このグループに入っている。
『碧:信じられない……』
『になを傷つけて』
『さよ:え? 碧くん?』
『碧:俺もグループから抜ける』
『君たちとは、絶交!』
『碧がグループから退会しました』
 あおいのトークルーム。
『葵:にな?』
『葵:大丈夫?』
私は、グループから退会させられた直後泣いていて、葵にメッセージを送れなかった。もう、学校に行けなくなった。
 夏休みから一ヶ月後。私は野糞がバレてしまった怖さで、不登校になった。中学の頃の担任は、体育教師でクラスの女子だけ集めて
篭瀬かごせが、『学校行きたくない!』と言っていた! 誰か事情知っている人、挙手!」
と。怒鳴ったが、誰も名乗り出なかった。この日は、私が学校に来なくなって2日目のことらしい。私は、高校入試の前日、当日、卒業式当日だけ、学校に通った。中学三年生の時に母が不倫して、離婚した。私は父が婿養子だったため、父の旧姓、亀山かめやまに変わった。しかし、父はいつ間にか失踪し消息をたった。私は嘉穂かほ団地に暮らす父の妹、莉愛りあ叔母さんと同じ5号館の団地に住むことになった。私の進学先は、偏差値50未満の『奈留なる高等学校』。

Episode.1の続き

Episode.2

Episode.3

Episode.4

Episode.5

Last Episode

あとがき


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