小説:猫は粘性流体だ、などの言葉の塊(450文字)
猫は粘性流体だという話をする。
「ユルゲヌス-ブブッティ反応」はウォーレン・ユルゲヌスとセルゲイル・ブブッティの二人により発見された反応だ。
ごく簡単に説明すると、ベルヌーイの定理の切れ端を梃子の原理で炒めた反応物を反物質にスパッタリングし、そこに析出した薄膜を野良猫に踏ませたときの反応のことを意味する。
猫の鳴き声は通例「カメカメカメカメー」なのであるが、奇跡的に「ニャー」あるいは「ミャー」になるケースが散見されている。ただし論証はなされていない。言うまでもないことだが、ヒロシ・イドガウラの手稿はその試みに失敗している。
海沿いの唐揚げにミジンコをまぶし、夢の枕元にそっと置く。フェルマータで固められた6階は生命に濁点をつけて踊り狂う。
やはり間違いない。
スニーカーを巡る意識は、スニーカーへの意識ではなかった。
スニーカーに対する意識は、スニーカーからの意識を意味し、ドルフィンキックでしびれてみたいな、という願望は官能性を最大化するのであった。
そこまで書いて、彼はあくびを噛み殺した。
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