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『私の死体を探してください。』ドラマ撮影現場見学レポート②

note主催の創作大賞2023において、光文社文芸編集部賞とテレビ東京映像化賞をW受賞し話題を集めた星月渉さんの『私の死体を探してください。』。
7月には応募原稿を大改稿した単行本が刊行され、9月3日からはいよいよ連続ドラマがスタート!その撮影現場に見学に行ってきました♪

ドラマ撮影現場見学レポート②

撮影が行われる別荘にたどり着くと別荘のオーナーさまにご挨拶。とても趣のある素敵な別荘です。入った瞬間に目を引かれたのが壁に飾られた2体の鹿の首から上の剥製。

オーナーさまは狩猟をされる方なのかも? と思っていたら、やはりそうでして、別荘の奥にはクマの剥製もありました。クマですよ! クマ!!! どれくらいの距離から狙ったのかを思わずお聞きしたところ、50メートルとのこと。想像していたより近い。クマって確か時速60㎞くらいで走れますよね。想像しただけで身の毛がよだつスリリングな状況です。

クマにも驚いたのですが、別荘の周りを歩いていた時に、自生しているトリカブトの存在を教えていただいたことにも驚きました。こんなにも身近な場所にトリカブトが! メジャーな毒のひとつですよね。それにしても私は何でトリカブトを知ったのだろう? 本なのかドラマなのか映画なのか? はたまた実際の事件なのか? 小学生の時にはその存在を知っていたような気がします。私のファーストトリカブトがなんだったのか。思い出せるなら思い出したいものです。

室内に戻ると麻美さんの書斎に、麻美さんの書籍が並べられていました。装幀もそれぞれ本格的に作られていて、さらには文庫本もあり、N氏と大興奮! ずらりと並んだ麻美さんの書籍を見て私もこれだけ出せるように頑張りたいな、と自分で作り出したキャラクターに励まされるという不思議な現象が起きました。

そうこうしているうちに、麻美役の山口紗弥加さんがご登場。ああ麻美さんがいる! と感動しました。続いて正隆役の伊藤淳史さんもご登場。本日メインキャストのおふたりがご一緒なのはこれから撮るワンシーンだけなので、見学しているだけなのに力が入る私。

過去の回想で山中湖の別荘の内見にくるシーンです。原作でも私が特に気に入っている「なんだか富士山に見張られてるみたい」というセリフを麻美が言うのです。

正隆の私物の設定である時計と指輪を伊藤淳史さんがそっと受け取るのが見えて「ああ、すべてが正隆になる演出なのだ。そして、この撮影までに色んな方が色んな形で関わってくださり必要な物を揃えたり作ったり準備をし、つつがなく撮影が進むように打ち合わせをしたり、私には見えてない沢山の時間があった上で、この瞬間があるのだろうな」ということをまざまざと感じました。

本当にありがたいことだなあと胸がいっぱいになりました。


そして、本番の掛け声が聞こえました。固唾をのんで見守っていたのですが、オッケーと声がかかると、伊藤淳史さんはなんと全力で変顔に。そのお茶目な姿には思わず笑ってしまいました。おかげで私の緊張もほぐれました。

おふたりでの撮影は今日はこれで終了ということで、ありがたいことにおふたりの間に入って写真を撮っていただきました。

次のシーンは麻美が書斎で作中作『白い鳥籠の五羽の鳥たち』を完成させ、物思いにふけって、涙を流すシーン。

PCの画面がモニターに映っているのですが、ここで監督から質問を受けます。「小説を書き終えたとき、最後に何と書くのが一般的でしょうか?」。私はいつも最後に「了」と書くのでその旨を伝え、N氏は「完」の人もいると伝えます。そのとき、モニターには最後の文章のあと数行空けてから、「白い鳥籠の五羽の鳥たち」というタイトルがあって、その下に「完」とありました。「最後にタイトルを書くことはあまりないだろうけれど、演出として分かりやすくはありますね」とお伝えしたところ、監督は少し考えられてから、「タイトルは入れずに『完』だけにしましょう」とおっしゃいました。ささやかですが撮影に協力できたような気持ちになれて嬉しかったです。

そして、いよいよ山口紗弥加さんが泣くシーンの撮影に入ることになったのですが……。

〈つづく〉


『私の死体を探してください。』 税込み1,760円
ベストセラー作家・森林麻美がブログで自死をほのめかし「私の死体を探してください。」という文章を残して消息を絶つ。担当編集者の池上は新作原稿と人気シリーズのプロットを手に入れるため麻美を探すが、その後も麻美のブログの更新は続き、さまざまな秘密が次々に暴露されていく。ブログの内容に翻弄されていく関係者たち。果たして麻美の目的は? そして麻美は本当に死んでいるのか?

テレビドラマは9月3日スタート!テレビ東京・ドラマチューズ!
(火曜深夜24:30~25:00)全6話


星月 渉(ほしづき・わたる)
山県津山市出身。兵庫県姫路市在住。
2017年、『三毛猫カフェ トリコロール』で作家デビュー。2019年、『ヴンダーカンマー』で第1回エブリスタ×竹書房最恐小説大賞を受賞。2023年、『私の死体を探してください。』でnote主催の創作大賞2023光文社文芸編集部賞とテレビ東京映像化賞をW受賞した。


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