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『私の死体を探してください。』ドラマ撮影現場見学レポート①

note主催の創作大賞2023において、光文社文芸編集部賞とテレビ東京映像化賞をW受賞し話題を集めた星月渉さんの『私の死体を探してください。』。
7月には応募原稿を大改稿した単行本が刊行され、9月3日からはいよいよ連続ドラマがスタート!
その撮影現場に見学に行ってきました♪

ドラマ撮影現場見学レポート①

ドラマ撮影現場見学の日。

私は光文社のN氏に指定されていた電車に乗り裾野駅に向かいました。裾野駅のホームでN氏と合流。撮影が行われる喫茶店アムールは駅から見えるほどの距離で、もう撮影スタッフが沢山いる様子がうかがえ、わくわくしました。

テレビ東京のプロデューサー阿部真士さんの姿が見え、ほっとするのも束の間、出演者のおひとりである、本宮泰風さんを紹介していただいたのですが、私はここで早速やらかしてしまいました。

「ああ、神永役の?」

「「「橋本役です」」」

本宮さんご本人、阿部さん、N氏三人からすかさず突っ込まれました。

私のポンコツぶりが早々に露見した瞬間です。なぜ、間違ってしまったのだろう。今日の撮影に神永がいないことはタイムスケジュールで知っていたはずなのに。いや本宮さんが橋本だということも知っていたはずなのに、なぜ神永と言ったのだ? 私よ私。ああ、誰か十秒でいいから時間を巻き戻してくれないか! そんなことを考えて変な汗がダラダラ出ました。

ドラマの脚本は原作を改変している部分があるのですが、大きく変わった点の一つが橋本良介のキャラクターです。原作では正隆母の同級生ですが、ドラマでは正隆母よりも若い怪しい投資コンサルタントという設定になっていまして、このほうが映像で映えそうだなあという印象でした。

脚本の橋本役のイメージに本宮さんはぴったりですとお伝えして私はどうにか変な汗を自力で止めました。

そうこうしているうちに正隆母役のかたせ梨乃さんが登場され、ご挨拶をしたのですが、大女優のオーラに当てられ私の挙動不審が全開です。ずっと「ありがとうございます」と念仏のようにひたすら唱えていた記憶しかなく……。かたせ梨乃さん、本当に素敵でした。

このアムールでは正隆母が橋本良介に籠絡される予感のするシーンが撮影されるということで、阿部さんに勧められるまま中へ。
田中眞一監督とご挨拶も早々に撮影の様子を見学することに。

それにしても当たり前のことなのかもしれませんがスタッフの方全員が台本を持っているということにとても感動してしまいました。これだけ多くの人が関わって一つの映像作品ができるのだなあと実感した瞬間だったんですよね。

ビニールのブックカバーに入れている方、沢山付箋を貼っている方、そして、田中監督の台本には数色のマーカーと鉛筆の書き込みが沢山あるのが見えました。台本の最小限の情報をどんな風にシーンにしているのだろうか。映像を作る方の感覚も興味深いです。

さて、いよいよ籠絡シーン撮影なのかな? と思っていたら橋本役の本宮さんが「これはこうしてみては」という案を出され、それがぴったりハマっていて、よりドキドキするシーンになりました。どのシーンなのかは、ぜひドラマで観ていただきたいと思います。

オッケーという声が聞こえて、終わったのかな? とド素人の私は思ったのですがこれで終わりではありませんでした。カメラの位置を変え必要な絵を全部撮っていくのです。

その間に入る撮影スタッフの動きやメイクさん衣装さんの動きを見つつ、監督が見ているモニターを覗き込みました。

テレビドラマの撮影というと私は華やかな世界を思い描いていたのですが、どちらかというとこれは職人技の世界なのではと思いはじめていました。

喫茶店での撮影は終了し、今度は別荘での撮影に移る、ということで、私とN氏はスタッフの車に同乗させてもらい、別荘に向かうことになりました。

今回の見学で残念だったことは脚本家の入江信吾さんが不在だったこと。

ドラマの脚本を最初に3話くらいまでいただいて読んだところ、原作の改変は確かにいろいろとありました。しかし、原作の面白さやスピード感と、ストーリーの要となる部分はしっかり汲んでいただいた上で、映像作品としてより面白い脚本になっていると思ったのです。

その後、ZOOMで何度か打ち合わせをさせていただき、更に私の意見をお伝えしたり、原作で描かれていないキャラクターの心情などを話し合い、それらを反映していただき現在の台本にたどりついたのでした。

いい脚本にしていただけたこと、本当はご本人に直接お礼が言いたかったのですが私の想いは阿部さんが伝えてくれることになりました。

車の中でN氏に聞いておきたかったことや雑談などをしているうちに別荘にたどり着きました。

〈つづく〉


『私の死体を探してください。』 税込み1,760円
ベストセラー作家・森林麻美がブログで自死をほのめかし「私の死体を探してください。」という文章を残して消息を絶つ。担当編集者の池上は新作原稿と人気シリーズのプロットを手に入れるため麻美を探すが、その後も麻美のブログの更新は続き、さまざまな秘密が次々に暴露されていく。ブログの内容に翻弄されていく関係者たち。果たして麻美の目的は? そして麻美は本当に死んでいるのか?

テレビドラマは9月3日スタート!
テレビ東京・ドラマチューズ!(火曜深夜24:30~25:00)全6話


星月 渉(ほしづき・わたる)
山県津山市出身。兵庫県姫路市在住。
2017年、『三毛猫カフェ トリコロール』で作家デビュー。2019年、『ヴンダーカンマー』で第1回エブリスタ×竹書房最恐小説大賞を受賞。2023年、『私の死体を探してください。』でnote主催の創作大賞2023光文社文芸編集部賞とテレビ東京映像化賞をW受賞した。


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