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ゴマあじを見つけて。


ゴマあじを見つけて、笑顔になる人を見た。

切り身になったものではなく、自分で捌くタイプの魚。
そのままの姿で海を泳げるような、水族館で泳いでいるような...。
つまり、水あげされたばかりの魚。

そんなゴマあじを見て、微笑む人だ。
きっと料理が上手に決まっている。
きっと、ご飯は炊飯器で炊くんじゃなくて、味噌汁の出汁はだしの素をふりかけるんじゃなくて。きっと、しっかりしているのだろう。

たった一瞬、ゴマあじを見つけて微笑んだだけで、その人についていろんなことを想像することができる。
もしかしたらその人は、ゴマあじの隣に置かれた刺身の盛り合わせを見て微笑んだのかもしれないし、魚を見て興奮するタイプの人なのかもしれないのに。

勝手に私は、その人を「ゴマあじを求めていた人」「魚を捌ける人」「ちゃんとした食生活を送っている人」と一瞬のうちに決めつけてしまっているのだ。そして、なんと羨ましく思っているのだ。

他人がした無意識の行為から、その人の人となり全てを想像してしまうことがある。
こうやって文字にして書き出せば、自分がいかに安直な考えをしていたかわかる。

しかし、ゆめタウンの食品館にいた私は本気で羨ましくなり、自己嫌悪をし、そんな自分を変えたいと思い、自炊で登場したこともないマッシュルームを買ってしまうのだ。

私は、ゴマあじを見つけて笑顔にならない。
ただ、ゴマあじをめぐって一瞬のうちに自炊スイッチが入ってしまう。
馬鹿で安直で多分またすぐ辛ラーメン生活に戻る私だけど、なんだか楽しそうでいいな。
他人を羨ましく思ったっていいさ。自分らしさなんてなくていいさ。
それで自分を3日くらい変えれるなら。色んなことを試せるな〜くらいのスタンスで
生きていけ。馬鹿で安直な私よ。

追記:マッシュルームはほとんど辛ラーメンに入れました。
   包丁とまな板を用意するのが面倒なので、買わなくていいということが
   わかりました。

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