- 運営しているクリエイター
記事一覧
【vampire ID】その1
あらすじ
ヴァンパイアが日光で死ななくなった代わりに、不死ではなくなり、首にヴァンパイアIDを埋め込まれて人間から狩られる存在になった。それはどうして起こったのかを一人のヴァンパイアを通して語られる物語。
【Vampire ID】その1
1.エセイサ国際空港
南米アルゼンチンの首都、ブエノスアイレスの玄関口であるエセイサ国際空港は閑散としていた。 世界的な流行り病が終息を迎えてしばらく経ってい
【vampire ID】その2
【vampire ID】その2
1.Cementerio de la Recoleta/レコレータ墓地
黒のBMWは高速道路を走り、北東にある大統領府のあるカサ・ロサーダ地区を抜け、Cementerio de la Recoleta(セメンテリオ・デ・ラ・レコレータ)へと到着した。
「ヴァンパイアの会合にはうってつけの場所だな」
加藤は皮肉混じりに言うと、アマラントは笑った。
「まあな。
【Vampire.ID】その3
1.白木の杭
マトリックスでの銃弾を避けるネオのような体勢から起き上がった加藤の顔のほんの数ミリの距離を白い稲妻が通った。
ビリビリと空気を振動させたその稲妻は、アマラントのBMWのドアに突き刺さった。
「ちっ!外したか」
ヴァンパイア・ハンターの一人は悪態を付くと、背中の白木の杭に手を伸ばした。
「焦るな」
老齢のハンターが若いハンターを窘める。
「心臓を狙うな、胸の中央に狙いを
【vampire.ID】その4
1.vampireID
同じ狼狂の氏族だった女の残骸からICチップをつまみ上げると、加藤は握りつぶした。
加藤は自分の頸の後ろを触った。自分にも埋め込まれているだろうICチップを今にも抉り出したい気分になった。
だが、それは出来ない。ヴァンパイアIDを抉り出そうとしてそのまま息絶えたヴァンパイアを知っているからだ。
女ヴァンパイアが目の前で「X」に変わる。死んだヴァンパイアは“名前が無く
【Vampire.ID】その5
1.新しい王
長老と側近達の首を割り、汚い血をアスファルトに撒き散らした男は血で濡れた指を舐めた。
「さあて、これで僕と君だけになったね」
兵士に囲まれていることなど忘れているように言うと、男は這いつくばる加藤にしゃがみこんだ。
「ヴァンパイアはたくさんはいらないんだ」
パトリシアスの一斉発砲で全滅したヴァンパイア達の痕跡を眺めながら男は言う。
「これで、君を殺せば、僕がこの世界の王に