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2023年6月の記事一覧
箱庭ダンス 第一章「物語の始まり」その1
第一章 物語の始まり その11.
雲の上まで伸びるビル群に囲まれたこの場所は、今となっちゃここにしか無い“自然”ってものがある。
この街は確かに超高層ビルがあり、空中を走るハイウェイがあり、(空飛ぶ車はまだまだ夢物語だ)太陽光と核融合で膨大なエネルギーが産み出され、ロボットの労働力により人は働かなくて良くなった。“過去”からしたら“理想郷”なんだろうが、100エーカーの街の外は“砂漠”だ。
箱庭ダンス 第一章「物語の始まり」その2
第一章 物語の始まり その24.
雨上がりの“森”で両手を上げた女に見とれているアキムはどこからか流れてくる音を聞いた。
流行りのハードなリズムのロックではない。
かといって昔のロックやポップスとも違う。
微かなモスキート音(この森にだけ蚊はいる。街は乾燥と暑さで虫は全部死に絶えた)に似た鼓膜を揺るがすような、路面電車(周囲が砂漠で地下鉄は無い)で設定をミスった時代遅れの“外耳イヤホン”から
箱庭ダンス 第二章 「二人の物語」その1
1.
何でおーお(名前がよーことはわかったが、おーおと呼んでいる)をオレのアパートに連れて帰ったのかは、オレにもわからない。
ただ、なんとなく“物語の始まり”だって思ったんだ。
オレが読んでいる“紙の本”で物語の始まりは“男の子が女の子に出会う”というものなんだ。だから、オレもおーおに出会って何かが始まるんじゃないかって思ったんだ。
おーおはサイボーグだった。つまり、“脳ミソ以外は全部機械”っ